四月の永い夢|動画配信情報・感想・評価・解説

四月の永い夢
2017年製作/93分/日本 予告動画を検索
恋人の死をきっかけに教師を辞めて、蕎麦屋でアルバイトをしながらぼんやり暮らす初海。今の職場に不満はなかったが、店主の体調不良で蕎麦屋は店じまいに。仕事を探すことになった初海は思わぬ人たちとの再会によって、捉われていた過去が動き出すのだった。

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キャスト・スタッフ

監督
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原作
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出演
音楽
製作
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「四月の永い夢」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「四月の永い夢」は2018年の5月12日に劇場公開されている、中川龍太郎監督によるヒューマンドラマです。

大学時代に発表した作品ながらもロードショーにまで漕ぎ着けた「雨粒の小さな歴史」から、自伝的な青春ドラマ「走れ、絶望に追いつかれない速さで」まで。

詩集の出版からミュージッククリップの製作まで多才な一面を持つ、1990年生まれの新進気鋭の映像作家がメガホンを取りました。

モスクワ国際映画祭のメインコンペティション部門や、台北映画祭のアジアプリズム部門に正式出品されています。

国立市フィルムコミッションと富山県朝日町からの全面的なバックアップを取り付けて、ふたつの町でのロケを敢行している作品です。

恋人との別れによって止まっていた主人公が、再び自らの人生と向き合っていくまでの過程を追っていきます。

あらすじ

大学生の頃にお付き合いをしていた風間憲太郎が亡くなった時に、滝本初海は突発的に教師として勤めていた中学校を退職してしまいました。

それ以来アルバイトや派遣の仕事を転々とするばかりで、定職を探すこともなくやりたいことも見つかりません。

今現在の彼女の勤め先は家の近くにあるお蕎麦屋さんで、常連客の1人に志熊藤太郎という名前の若い男性がいます。

染め物職人を目指して地元の工房で働いている藤太郎は何かとアプローチしてきますが、つれない素振りをしてしまうのは何時ものことです。

今の職場に不満はなかった初海でしたが、店主の高齢からくる体調不良もあって店じまいが決まってしまいます。

仕事探しに追われることになった初海は思わぬ人たちとの再会を通して、捉われていた過去からも抜け出していくのでした。

桜の中に映える俳優たち

美しくも何処か儚げな佇まいのヒロイン・滝本初海を演じているのは、1991年生まれ神奈川県出身の女優さん・朝倉あきです。

2007年くらいからNHKの朝の連続テレビ小説に出演したり大手電話会社のCMに抜擢されたりしますが、突如として所属先の事務所との契約打ち切りに追い込まれてしまいます。

芸能活動を休止していた2014年から15年にかけては一般企業で事務員の仕事をしていたというから、正に本作の初海役にはピッタリですね。

初海に仄かな気持ちを抱いている志熊藤太郎に、三浦貴大が木訥とした雰囲気を漂わせながら扮していました。

楓役の川崎ゆり子は舞台やモデルとして活動していて日本映画では無名の存在ですが、強く脳裏に焼き付きます。

物語の終盤で初海にとって大きな支えとなる、憲太郎の母・風間沓子役を務めている高橋恵子もベテランらしく確かな存在感を発揮していました。

静けさに包まれた彼女の生活

大学生の頃から慣れ親しんでいる町・東京都の国立市で、初海は静かにアパートで独り暮らしを送っています。

学園都市として駅前通りは若者たちで賑わいながらも、都会でもなく田舎でもない程よい距離感がありました。

休日には教員時代の友人とカフェでランチタイムを楽しんだり、地元の夏祭りに飛び入りで参加したりと楽しげです。

初海はラジオを聴くのもお好みなようで、家の中にテレビを置いていないところに独自の美学を感じませんか?

熱心な洋画ファンで映画館にも足しげく通っていますが、新しく都市部に完成したシネコンや興行ランキングトップのヒット作品には目もくれません。

昔ながらの名画座で、スクリーンに映るイングリット・バーグマンに見とれるうっとりとした表情が素敵です。

心も身体も温まる銭湯

初海が中学教師時代の教え子・楓と一緒に出掛ける、近所にある銭湯がノスタルジックな雰囲気たっぷりでした。

慣れた様子の初海とは対照的に、普段は銭湯に行くこともなくちょっぴり恥ずかしそうな楓が可愛いらしかったです。

ふたりで熱唱する映画「カサブランカ」テーマソングとして有名な、「As Time Goes By」も心地よく響き渡ります。

中川監督はよっぽど銭湯に思い入れがあるようで、2019年度公開予定になっている最新作「わたしは光をにぎっている」にも登場しますよ。

昭和の初めから営業を続けてきた銭湯が閉館へと追い込まれていく、時代の流れについても考えさせられました。

単に入浴施設としての役割りばかりではなく、地元の人たちからは憩いの広場として求められているのかもしれません。

鮮やかな桜と交わることのない目線

今まさに満開を迎えている桜の樹の下に、喪服を身に纏ってぼんやりと立ち尽くす滝本初海の姿からこの物語は幕を開けていきます。

死別から3年の歳月が流れながらも、未だに元恋人・憲太郎のことを忘れられない彼女の横顔が何とも切ないです。

何となく始めた蕎麦屋のアルバイトにも身が入らずに、接客を任せれているにも関わらずお客さんと視線を合わそうとはしません。

生前は彼女や親しい友人と話す時でさえ目を合わそうとはしなかったという、憲太郎の影響があるのでしょうか。

そんな初海に対して客席から熱い眼差しを送っているのが志熊藤太郎で、ふたりの仄かなロマンスの行く末が気になります。

立ち止まる元先生と走り続ける元生徒

休みの日に映画館に出掛けた帰りに初海が出会ったのが、かつては中学校の担任として受け持っていた楓です。

「大人しくて人見知り」とは中学生時代の村松楓を評した初海の言葉ですが、サングラスに派手な花柄のワンピースからは想像つきません。

ジャズシンガーという大きな目標に向かってひたすら走る楓と、言い訳ばかりな初海とのコントラストが浮かび上がっていました。

サングラスを外すと露になる眼窩の青あざや、太ももにくっきりと刻まれた擦り傷が何とも痛々しかったです。

その一方ではパートナーからの理不尽な暴力に対しても屈することのない、強い意志がその瞳には込められています。

もう一度サクラサクために

非常勤講師の採用面接にチャレンジしてみるなど、少しずつ自分自身の将来について前向きになっていることが伝わってきました。

そんな初海が過去との決別のため富山地方鉄道に乗り込んで遠路はるばる向かった先は、憲太郎が生まれ育った小さな田舎町で豊かな自然と開放感が素晴らしいです。

亡き息子と初海との絆に今でも深い理解を示している、憲太郎の母親・沓子は多くを語ることなく彼女を温かく迎えてくれます。

すっかり自宅に居着いてしまった楓、返事を保留にしている藤太郎からの告白、なかなか決まらない自分自身の新しい就職先。

次から次へと降りかかってくる厄介事をひとつひとつ解決していく、初海のステップアップが感動的です。

こんな人におすすめ

憲太郎から最期に受け取った手紙をほったらかしにしていた初海が、覚悟を決めて封を切るシーンが心に残りました。

「自分が言いたいことじゃなくて、相手が喜ぶことを書く」という、憲太郎が残した言葉には胸を打たれます。

言いたいことはたくさんあっても、相手の気持ちまでは考えてこなかった初海との対比になっているところが心憎いです。

何もかもに投げ遣りになっていた初海が、クライマックスで踏み出していく小さな一歩には励まされます。

大切な人との別れを経験したばかりの方たちや、新しい何かに挑戦してみたい皆さんは是非ともこの映画をご覧になってください。

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