アナと世界の終わり|動画配信情報・感想・評価・解説

アナと世界の終わり
2012年製作/114分/日本 予告動画を検索

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キャスト・スタッフ

監督
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原作
-
出演
音楽
製作

アナと世界の終わりをサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「アナと世界の終わり」はジョン・マクフェール監督によって、2019年の5月31日に劇場公開されています。

もともとは2010年にライアン・マクヘンリーによって短編映画として執筆した「Zombie Musical」が、長編シナリオへと拡張されたものです。

余命幾ばくもない老人と看護師とが当て所ない旅へと繰り出していく「Where Do We Go Here?」や、国外追放の危殆に瀕したミュージシャンが偽造結婚を目論む「V for Visa」など。

高齢化社会から移民問題までを幅広く取り上げている、スコットランド・グラスゴー出身の映画作家・脚本家が長編第2弾を発表しました。

ある日突然にゾンビ・パンデミックに見舞われたイギリスの片田舎を舞台にして、高校生たちが歌って踊るミュージカル映画です。

あらすじ

イギリス・ペンブローク州の西部に位置する田舎町リトル・ヘブンで、アナ・シェパードは父親のトニーとふたりっきりで暮らしていました。

通っているのはごく普通の高校で、クラスメイトたちも地元の企業で働くか都心部の大学を受験するかのいずれかです。

しかしながらアナは就職活動をスタートさせるつもりも、高校を卒業した後に進学するつもりも毛頭ありません。

何かひとつ周りの人たちとは違ったことにチャレンジしてみたいアナは、密かにアルバイトに励みながら貯金をしています。

まとまった金額が貯まったら独りでオーストラリアまで行く計画を打ち明けましたが、トニーにはまるで理解して貰えません。

親子ケンカの果てに最悪なムードから始まったアナのクリスマスは、予想外の事態へと発展していくのでした。

退屈なヒロインを等身大で盛り上げる

ヒロインのアナ・シェパードを演じているのは、1998年生まれでイングランド・デヴォン州出身の女優さんエラ・ハントです。

撮影当時はまさに現役の女子高校生で、退屈な日常生活の繰り返しにうんざりとしているアナを等身大に体現していました。

ちょっぴり気弱な性格でアナとは友だち以上で恋人未満な男子高校生、ジョンの役にマルコム・カミングが扮しています。

アナたちの友人・ステフ役で出演しているサラ・スワイヤーは、本作の振り付けを担当するプロのダンサーです。

弾けるような年若い男女のパフォーマンスと比べてみても、円熟味あふれる中年男性たちも負けてはいません。

アナの父親・トニー役にキャスティングされているのはマーク・ベントンで、過去にはBBCのテレビダンスコンテストに出場した経歴の持ち主です。

パッと見るとお堅い校長先生にしか思えないアーサー・サヴェージ役ポール・ケイの、終盤での大立ち回りにも注目して下さい。

死者も甦るような楽曲

本作品のサウンドトラックを手掛けているのは、マクフェール監督と同郷のグラスゴーで誕生した音楽ユニット「ロディ・ハート&トミー・ライリー」です。

いつもの見慣れた通学路をアナが歩き始めていくと、オープニングナンバーの「Turning My Life Around」がかかります。

イヤホンでお気に入りの曲を口ずさみながら、スキップしつつ学校へと向かっていくアンがキュートでした。

ハイテンションな彼女の背後には既に異変の兆候がちらほらと現れていますので、見逃さないように気をつけて下さい。

無傷のままで学校まで着いて自分の下駄箱を覗き込んでいたアナが1枚の手紙を手に取った途端に、「Break Away」を歌い始めます。

アップテンポで軽快なリズムとポジティブな歌詞を聴いていると、雁字搦めな校則から文字どおり「脱走」したくなるはずです。

「明日死ぬかもしれないから今日を楽しもう」という思いが詰まったエンディングテーマ「What A Time To Be Alive」は、壮絶なパニックを生き残ったあの人のために用意されています。

天国から地獄へ

朝起きて自宅を出てから学校へ、授業が終わると学校から町の中心地に出来たばかりのショッピングセンターへ。

家から学校までの道のりは父・トニーが自動車で送ってくれますが、何かにつけて詮索好きで口うるさいという難点があります。

せっかく運転免許を取得したのに、心配性なトニーからは車のキーを取り上げられた上にハンドルを握らせて貰えません。

放課後に気の合った仲間たちと寄り道をして時間を潰す方法は、せいぜいショッピングかボーリングくらいです。

家、高校、ショッピングモールとリトル・ヘブン内のたった3つのポイントを行き来することだけで、アナにとってはライフサイクルが成り立っていました。

「小さな天国」と名付けられているこの町が地獄絵図と化していく、中盤以降のスピーディーな展開には驚かされるでしょう。

外へ飛び出したい娘と手元に置いておきたい父

いつもは落ち着いた街並みがクリスマスを迎えて、何となく浮き足立っている中で物語は幕を開けていきます。

清掃員の仕事を頑張りながら男手ひとつで娘を育て上げてきた、トニー・シェパードの眼差しが優しかったです。

思春期真っ只中のためか初めての海外旅行を反対されてしまったせいか、アナは父親と目線を交錯させることもありません。

その後の急転直下を考えると、この時のありきたりな父と娘のコミュニケーション不足が何とも悔やまれました。

トニーへのわだかまりを残したままでアナの日常は終わりを告げて、非日常のサバイバルへと突入していきます。

校内は華やか外は死の香り

自主制作映画に夢中で監督気取りのクリス、性的マイノリティの権利向上に燃えるステフ、粗暴ながらも腕っぷしが強くいざというときに頼りになるニック。

「くだらない連中」とアンは級友たちを突き放しますが、いずれもひと癖もふた癖もあって魅力が伝わってきました。

この多様性に満ちあふれたメンバーが一カ所に集まっていたことこそが、絶体絶命の窮地を切り抜けられた大きな要因です。

教職員がゾンビ化して半ばやけになった生徒たちが、教室の中に立て籠りクリスマスパーティーを始めてしまうシーンには笑わされました。

校内では饗宴がいつ果てるともなく続いていきますが、一歩でも敷地内の外に出ると生命の保証はありません。

腐ったような町と人生にさよなら

高校内にも感染者が拡大していき、遂にはゾンビ同士による共食い巻き起こっていく終盤戦が迫力満点でした。

サヴェージ校長やクリスとリサのバカップルなど、明らかに前半とはキャラクターが違っている人もいて面白いです。

阿鼻叫喚の坩堝を何とか脱出したものの何処へ迎えばいいのか分からずに、ただひたすらに車を走らせる一命を取り留めた3人が哀愁たっぷりでした。

死んだように若さと青春を浪費してきた少年少女たちが、初めて「生」を実感する瞬間を鮮やかに捉えています。

こんな人におすすめ

本作品の原作者であるライアン・マクヘンリーは闘病生活を続けた末に、2015年に27歳の若さでこの世を去っています。

ミュージカル映画としては記録的なヒットとなった「ラ・ラ・ランド」の主演俳優、ライアン・ゴズリングとも個人的な付き合いがあったそうです。

類いまれな才能に恵まれていて、生きていれば数多くの名作を世に送り出せていただろうと思うと、余りにも早すぎるその死が残念でなりません。

「ハイスクール・ミュージカル」のような明るさの中にも、何処か一抹の寂しさが漂っているのは夭逝の天才へのレクイエムが込められているからなのでしょうか。

決まりきった学校生活に何となく物足りなさを覚えている、中高生の皆さんは是非ともこの1本をご覧ください。

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