ぶどうのなみだ|動画配信情報・感想・評価・解説

ぶどうのなみだ
2014年製作/117分/日本 予告動画を検索
音楽の才能に恵まれていたアオは、家で同然で生まれ育った北海道から東京へ向かう。しばらくして、突然のアクシデントによって音楽家を諦めることになったアオは、弟が暮らす実家に帰ることに。自暴自棄になったアオが生きがいを見出したのは恵まれた土壌で究極のワインを完成させることだった。

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キャスト・スタッフ

監督
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原作
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出演
音楽
製作
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「ぶどうのなみだ」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「ぶどうのなみだ」は2014年の10月11日に劇場公開されている、三島有紀子監督によるヒューマンドラマです。

谷崎潤一郎の処女作を現代に蘇らせた「刺青 匂い月のごとく」から、家族の新しい在り方を問いかけた「幼な子われらに生まれ」まで。

文芸作品の映像化からオリジナルのシナリオまでを幅広く手掛けている、実力派の映画作家がメガホンを取りました。

北海道新聞社や北海道テレビ放送とのタイアップを取り付けて、中西部・空知地方での現地ロケを敢行しています。

地元で弟と共にワイナリーを切り盛りする男性と、放浪癖のある女性との素敵な出会いを描いた作品です。

あらすじ

幼い頃から音楽の才能に恵まれていたアオは、父親の反対を振り切って生まれ育った北海道から家出同然で東京へと向かいました。

間もなく父の訃報が舞い込んできますが、指揮者として多忙なアオは帰郷することはありません。

突如として降りかかったアクシデントによって音楽家の道が閉ざされることになり、アオは唯一の肉親となってしまった弟のロクが住む実家へと戻ります。

自暴自棄になっていたアオが生き甲斐を見出したのは、土壌に恵まれたこの土地で究極のワインを完成させることです。

そんなある日のこと兄弟が暮らしている土地に、見ず知らずの若い女性がキャンピングカーでやって来ます。

エリカと名乗る突拍子もない彼女の言動にあきれ果てながらも、アオは自らの過去と向き合い周りの人たちとも関わっていくようになるのでした。

15年ぶりに北の大地に舞い降りたヒロイン

オープニングショットでキャンピングカーに乗りつけて颯爽と登場するのは、安藤裕子扮するヒロインのエリカです。

映画出演は1999年公開の落合正幸監督「催眠」以来実に15年ぶりとなりますが、威風堂々たる立ち振る舞いでした。

シンガーソングライターとして2000年代の前半に残した、「ドラマチックレコード」や「忘れものの森」に代表されるような名曲を懐かしく思い出してしまうのではないでしょうか。

ストーリーの舞台となる空知地方の緑豊かな風景の中に、彼女が好んで身に付けているワンピースの赤い色がよく映えます。

幼い頃に経験した大切な人との別れを引きずることのない、根無し草のような生きざまに魅了されてしまうはずです。

訳ありな3人とワインが醸し出す芳醇な味わい

葡萄の樹の傍らで幾度となく試行錯誤を重ねながらアオが挑み続けているのは、最高級赤ワイン・ピノノワールのオリジナル商品です。

原産地はワインの聖地として名高いフランスのブルゴーニュ地方で、その独特な果実の色から「黒いダイヤ」と称えられています。

春の訪れと共に葉や枝の先端から吸い込んだ水を放出する姿は、まさに葡萄が涙を流しているようですね。

難聴が原因でオーケストラの指揮者を諦めたアオ、兄への愛憎半ばする気持ちを抱えているロク、自身を捨てた母親を未だに許せないエリカ。

それぞれが人生の長い冬の中で眠り続けているような3人が、涙と共に雪解けを迎える瞬間を存分に味わって下さい。

年の離れた男兄弟の静かな暮らしぶり

豊かな自然に囲まれている北海道・空知の景色と、広大な敷地にポツンと佇んでいる赤い屋根の一軒家が独特なタッチで映し出されていきます。

兄はぶどうの木を植えてワイン造りに打ち込みつつ、弟は小麦粉の栽培に精を出し。

鮮やかに移り変わっていく季節に穏やかに流れる時間と、アオとロクの余計なものは要らないシンプルな暮らしぶりには癒されるはずです。

会話こそ少ないもののお互いを気遣い合う信頼感に満ち溢れた兄弟関係は、一回り以上年齢の離れていることを感じさせません。

今は亡き両親に纏わる哀しいエピソードも明かされていき、ふたりが過去のわだかまりを如何にして乗り越えていくのかにも注目してください。

心を閉ざす兄と木琴を叩く弟

かつては東京で数々の音楽コンクールで輝かしい成績を収めながらも、予想外のアクシデントによって実家に帰ることになったアオの過去に思いを巡らせてしまいました。

一度は自らの生命を絶とうとしたアオのことを救った、丘の上に植えられた1本のぶどうの木が神秘的です。

遠い昔にこの地に移住してきたアオの父親の記憶が、今でもまだ木の中に息づいているのかもしれません。

アオの弟・ロクが夜遅くにひとりで打ち鳴らす木琴のメロディーが、閉ざされた兄の心の扉を叩いているかのように何とも物悲しく響き渡ります。

ひとつ屋根の下に暮らしながらも、ふたりの間には微妙な距離感が横たわっていました。

そんな兄と弟の土地にある日突然ひとりの女性が転がり込んでくることによって、心地良いバランスが誕生していきます。

凍てついたアオの心を溶かしていく放浪者と地元民の温かさ

人様の敷地内にいきなり上がり込んでスコップで地面を掘り返してしまうなど、エリカの行動には終始一貫して脈絡がありません。

そんな破天荒な彼女に魅せられてしまうのは、この地域で暮らしている個性的な人たちです。

身重の妻を気遣う心優しい警察官のアサヒ、そのお店が地元の人たちの憩いの場となっているバーバーミウラの主人、うっかりもので何処か憎めない郵便配達員の月折。

見知らぬ土地からやって来たエリカをすんなりと受け入れていく、彼らの誠実な人柄にも自然と共感が持てます。

食事のシーンで皆のおもてなしのためにロクがテーブルに並べる、北海道の食材をふんだんに使用している料理も実に美味しそうでした。

本能の赴くままに振る舞いはた迷惑の塊のようなエリカに振り回されながらも、アオも長らく忘れていた人間らしい喜怒哀楽を取り戻していきます。

樽も心も潤すワイン

何かを探して穴掘りを続けていくエリカが、本当に欲しかったものを打ち明けるシーンにはホロリとさせられます。

お互いの秘密を共有することとなったアオとエリカの、友情や恋愛感情を超えた絆も感動的でした。

過去と決別するためにエリカは生き別れとなった母親のもとへ、アオは相も変わらずにワイン造りのために葡萄の樹の下へ。

二度と巡り合うことはないかと思われていたふたりを再び結び付けたのは、手作り感のたっぷりとした1個のワイン樽です。

空っぽの樽の中に瑞々しいワインが注ぎ込まれていくように、それぞれの心の虚無感が満たされていく様子には癒されました。

強く抱き合って喜ぶアオとエリカを祝福するかのような、降りしきる雨も清々しいです。

こんな人におすすめ

顔ぶれ豊かな登場キャラクターたちが一堂に会する、青空の下での結婚式で物語はハッピーエンドを迎えます。

当然のことながら新郎新婦はアオとエリカと思いきや、思わぬ新婚カップルの誕生には驚かされました。

ようやく完成したぶどうのなみだも、数多くのワイン愛好家の舌を唸らせることでしょう。

ビールや日本酒よりもワイン党だという皆さんは、是非ともこの1本をご覧になってください。

大泉洋が原田知世と夫婦の役で共演して2012年に発表された、三島有紀子監督の「しあわせのパン」と合わせて見て頂きたいと思います。

こちらの作品の舞台となるのは北海道の名勝地・洞爺湖のほとりで、手作りにこだわり抜いた焼き立てパンと淹れたてのコーヒーが魅力的です。

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