みなさん、さようなら|動画配信情報・感想・評価・解説

みなさん、さようなら
2012年製作/120分/日本 予告動画を検索

動画配信

U-NEXT(ユーネクスト) U-NEXTで検索
31日間無料

TSUTAYA TV(ツタヤTV) TSUTAYA TVで検索
30日間無料

キャスト・スタッフ

監督
脚本
原作
出演
音楽
製作

「みなさん、さようなら」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「みなさん、さようなら」は中村義洋監督によって、2013年の1月26日に劇場公開されている青春ストーリーです。

久保寺健彦によって2007年11月10日に幻冬舎から刊行されている、第1回パピルス新人賞受賞作が映像化されました。

332ページに及ぶ長編小説を中村監督と脚本家の林民夫の共同執筆によって、120分のオリジナルに纏め上げています。

「絶対恐怖 booth ブース」や「@ベイビーメール」等、メガホンを取ったのはホラーからサスペンスドラマまでを出掛けている個性派の映画作家です。

生まれ育った団地から一歩も出ることなく生きることを宣言した、12歳の少年の20年間を追った異色作に仕上がりました。

あらすじ

渡会悟は物心ついた時からマンモス団地の一室で、看護師として働く母親の日奈とふたりっきりで暮らしています。

悟と同い年の子供たちは団地の中には全部合わせて107人いて、みんなで同じ近所の小学校に通って卒業しました。

小学校時代の6年間を無遅刻無欠席で通して皆勤賞も貰った悟でしたが、中学生になってからは1日も登校していません。

心配して家庭訪問にやってきた担任の教師に対して悟が打ち明けたのは、団地の中だけで一生を過ごすという計画です。

呆れ果てて帰っていく教師でしたが、日奈や小学校からの友だちに団地の住人たちは温かく悟のことを見守っていきます。

やがては仲間たちもひとりまたひとりど団地を後にしていき、悟自身も重大なターニングポイントを迎えるのでした。

豪華な俳優たちが入居済み

12歳から30歳までの数奇な運命を辿っていくことになる主人公の悟を演じているのは、中村監督と今作で通算5回目のコンビを組んでいる濱田岳です。

10歳の時に浜田雅功と共演した「ひとりぼっちの君に」でデビューしていて、独特な喋り方とコミカルな演技でお馴染みですね。

持ち前の童顔に子役のイメージが強いせいか、映画序盤で披露するランドセル姿にもそれほど違和感はありません。

緒方早紀役の倉科カナや松島有里役の波瑠を始めとする、華やかな女優さんとの仄かなロマンスも気になります。

悟とは不思議な一体感と厚い友情で結ばれていく、薗田憲明役に扮している永山絢斗もいい味を出していました。

堀田役にキャスティングされている田中圭が、好青年の仮面を被った汚れ役を怪演しているために驚かれるでしょう。

風変わりでトラブルメーカーな息子を拒絶することなく、陰ながらサポートしていく渡会日奈役の大塚寧々も存在感バッチリです。

かつての未来の家の移り行く様子

高度経済成長期には夢の未来型住居と呼ばれていた、団地内の暮らしぶりや人間模様がユーモラスに綴られていきます。

竣工間もない頃は入居希望者が殺到して、厳正な審査と高い応募倍率の抽選会まで行われたという逸話にビックリですね。

外に出られない悟のために友人たちが同窓会を開いてくれたのは、コミュニティーセンターと呼ばれている14棟の集会場です。

広大な敷地内ではランニングやサッカーも可能で、遊戯室やトレーニングルームも設置されているために運動不足の心配もありません。

商店街にはケーキ屋「タイジロンヌ」が店を構えていて、ショーケースに並んだモンブランが美味しそうでした。

映画前半では若い夫婦や子供連れが目立ちましたが、後半以降はブラジル系移民のマリヤたちのような外国人一家や高齢者の姿が目立つようになります。

団地暮らしよりもマイホーム購入への憧れが高まっていく、ひとつの時代の転換期を捉えていて 味わい深いです。

健全な肉体に健全な魂が宿る

皆が学校に行っている朝から夕方まで有り余る時間の中で悟が自らに課したのは、団地の平和を守るためのパトロールです。

非常事態に現れるかもしれない不審者と対峙するためには、パトロール隊員は常日頃から身体を鍛え上げておかなければなりません。

ふとした気まぐれからコミュニティーセンターの図書室で悟が取った1冊は、国際空手連盟・極真会館を立ち上げた大山倍達の自伝でした。

田園コロシアムでの素手で牛と繰り広げた激闘や、つのだじろうの漫画「空手バカ一代」のモデルになった生涯など逸話には事欠きません。

この空手家の虜となった悟が平手腕立て伏せからスクワットに腹筋までを毎日こなして、見る見るうちに逞しくなっていく成長ぶりに注目して下さい。

本作品でも大山倍達の娘であり極真会館宗家の代表理事を務めている、大山喜久子の特別協力を取り付けています。

終盤で堀田の人質となったマリアを救出するために、悟が空手を使って挑んでいく決闘シーンが用意されていて必見です。

彼の世界が狭すぎる理由

お節介焼きな中学校の担任の女性教師が、悟の家にまで押し掛けてくる場面からストーリーは幕を開けていきます。

「あなたの世界は狭すぎる」という先生の必死の呼び掛けに対して、勉強から仕事に結婚までの全てを団地で済ますという悟の決意は揺るぎません。

頑ななまでの悟の態度には小学校の卒業式に起きたある事件が原因となっていますが、かなりの衝撃的な内容でした。

小学生の頃のクラスメートや母・日奈には理解して貰えるものの、通りすがりの若い主婦からは「世界じゃ毎日、何万人って人間が殺されている」と言われてしまう一幕がほろ苦いです。

107人いた悟の同級生たちも進学や就職などの諸事情によって団地を引っ越していき、88人にまで減っていきます。

初恋も失恋も団地で経験

ダイニングキッチンの引き戸を開けてベランダに出ると、団地の均等に並んだ建物や公共施設を見渡すことが出来ます。

お隣に住んでいる幼馴染みの松島有里とベランダ越しに交わす会話や、気だるげにタバコを吹かしている彼女の横顔が色っぽいです。

1番に近くにいるのに一線を越えられないもどかしさと、やがては訪れる別れの一夜にはホロリとさせられました。

同窓会を通じて仲良くなった緒方早紀とは婚約にまで漕ぎ着けますが、彼女からも「普通の暮らしがしたい」と告げられてしまいます。

老朽化と空き部屋が顕著になっていく団地の物悲しさと、ふたりの女性から受けた痛手を抱えたままの悟が切ないです。

団地の外に広がる未知の世界へ

商店街の洋菓子店に何とか雇ってもらいケーキ職人としての道のりを歩んでいく悟にも、数々の試練が降りかかってきハラハラさせられっっぱなしです。

師匠の山田泰二郎は認知症を患って引退、ようやく見つけたパートナー・薗田憲明は精神的なバランスを失って入院。

ケーキ教室の講師をしながら団地の見回り活動を続けていた悟に待ち受けていた、最愛の母との突然の死別には涙してしまいまいました。

母の死を乗り越えて30歳を迎えた悟が、ようやく団地の外へと一歩を踏み出していくその時にクライマックスを迎えます。

こんな人におすすめ

107人目の渡会悟が消えて0人となった瞬間に、スタッフロールが流れてエレファントカシマシの「sweet memory」がかかります。

ボーカルの宮本浩次やギターの石森敏行が幼少期に住んでいたのは、東京23区内では初めての大規模団地として造成された赤羽台団地です。

力強いメッセージと不思議なノスタルジーに満ちあふれたナンバーが、物語の余韻に心地よく重なり合っていきました。

子供の頃に公団団地や集合住宅で暮らしていた思い出がある皆さんは、是非ともこの作品をご覧になって下さい。

みんなのレビュー

【投稿されたコメントをシェア】
秀逸なコメントをSNSに投稿して
みなさん、さようなら」を
布教しちゃってください!
【コメント募集中】
みなさん、さようなら」の
おすすめのポイントを
自由に紹介してください!