月とキャベツ|動画配信情報・感想・評価・解説

月とキャベツ
1996年製作/100分/日本 予告動画を検索

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キャスト・スタッフ

監督
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原作
-
出演
音楽
製作

「月とキャベツ」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「月とキャベツ」はエース・ピクチャーズ社と西友によって合同製作されているファンタジードラマです。

シネセゾンの配給によってテアトル新宿で封切られた後に、1996年の12月21日から全国ロードショーされました。

個人経営の中古家電ショップで仄かなロマンスが繰り広げられる「洗濯機は俺にまかせろ」や、高校の演劇部で上演される戯曲が哀しい事件を巻き起こしていく「死者の学園祭」など。

王道のラブストーリーから本格的なミステリードラマまでを手掛けている、篠原哲雄監督がメガホンを取っています。

鶴間香による第2回さっぽろ映像セミナーの入選作品「眠れない夜の終わり」をもとにして、演出家の真柴あずきが99分のオリジナルシナリオを書き下ろしました。

群馬県中之条町での合宿撮影を敢行していて、2001年の秋から開催されている伊参スタジオ映画祭でも毎年恒例上映されています。

売れなくなったミュージシャンと不思議な女の子とが、短くも忘れ難いひと夏に心を通わせていく感動作です。

あらすじ

伝説的なバンド「ブレインズ」のボーカルとして活躍した花火ですが、解散後は田舎に引っ込んで農作業に明け暮れています。

カメラマンの理人や音楽プロデューサーの木村からは活動再開をせっつかれていますが、本人にその気はまるでありません。

ある日の夕暮れ時に近所をブラブラと散歩をしていた花火は、丘の上でひとりで踊っている女の子の姿を目撃しました。

ヒバナと名乗った彼女はダンスコンクールに参加するつもりでしたが、財布を落として立ち往生しているようです。

交通費を貸してあげるつもりが勝手に花火の自宅にまでついてきて、なし崩し的に共同生活を始めることになります。

純真無垢なヒバナの振る舞いに癒されていく花火でしたが、夏の終わりと共に残酷な事実を知ることになるのでした。

人気ミュージシャンと実力派女優との共演

個性派のシンガーソングライターとして数多くのヒット曲を飛ばしてきた、山崎まさよしが花火役で名演技を披露していきます。

映画序盤での愛想のないぎすぎすとした表情から、中盤以降の人間味あふれる変わりように注目してみて下さい。

花火の熱烈なファンを自称して転がり込んでくるミステリアスなヒロイン、ヒバナの役を好演しているのは真田麻垂美です。

美しくも何処か儚げで捉えどころのない佇まいからは、いつかは訪れることになるであろう別れの予感が漂っていました。

お節介焼きの友人・理人役の鶴見辰吾や、花火のカムバックをサポートする木村役のダンカンがしっかりと脇を固めています。

食べることが再び輝くことに

タイトルバッグは今まさに食べ頃を迎えているみずみずしいキャベツで、サラダやロールキャベツに使いたくなります。

知り合いの理人が毎年自宅まで持ってきてくれるのは、青梅の果実を砂糖と焼酎でじっくりと寝かせた梅酒です。

自家製の製法にこだわり抜いた自慢のリキュールで、「機が熟さないと素晴らしいものは出来ない」というセリフが意味深でした。

一向に創作意欲が湧いてこないで煮詰まってしまった曲作りのようでもあり、人生の活動休止期間に入った花火のようでもあります。

ところ構わずに喉の渇きに襲われる体質のようで、ミネラルウォーターのペットボトルを手放すことが出来ません。

昼食時になると手早くそうめんを茹で上げて、クーラーのスイッチを入れることなく汗を流しながら掻き込む姿が爽やかです。

夕食にはキャベツステーキと名付けた健康的なメニューに舌鼓を打ち、缶ビールのプルトップを空けて一気に飲み干す細やかな楽しみが微笑ましいですね。

孤独なふたりを繋ぐ名曲

物語の静かな幕開けと共に、アコースティックギターが奏でるノスタルジックなメロディーが鳴り響いていきます。

かつて花火が所属していて絶大な人気を誇っていたロックバンド、ブレインズの代表曲が「月明かりに照らされて」です。

もちろん架空のバンドですが、この映画のためだけに製作されているプロモーションビデオまで用意されていました。

主題歌は1997年の1月22日に山崎まさよしによってポリドール・レコードからリリースされている、「One more time, One more chance」です。

劇中ではピアノの弾き語りバージョンも披露されていて、花火がヒバナの秘密に気がつく重要なシーンにもなっています。

歌詞の中に登場する「夏の思い出がまわる」と「ふいに消えた鼓動」という、ふたつのフレーズに込められた深いメッセージを味わって下さい。

月光の下に白が映える

夜空のど真ん中に鮮やかに浮かび上がった、見事なまでの満月がオープニングショットから映し出されていきます。

ぼんやりと射し込んでくる月の光に照らされながら、キャベツ畑に立ちすくむ少女のシルエットが美しかったです。

彼女が身に纏っている真っ白なワンピースが、辺り一面に広がっているキャベツのグリーンに良く映えていました。

付近の原っぱに停められた車のエンジン音や、カーラジオから微かながら聴こえてくるJ-POPも心地よかったです。

いつの間にか土手に向かって躍り始めた少女と、運転席に座っていた花火が吹くハーモニカの音色が重なり合っていきます。

停滞ムードを一転させる訪問者

人気絶頂の最中に引退宣言をしてから、田舎に引っ込んで悠々自適の隠遁生活を送っている花火が羨ましいです。

自由気ままなドライブの途中で渋滞に巻き込まれてしまった花火が、車窓から投げ掛ける眼差しが心に残ります。

お盆期間中で帰省シーズンの真っ只中に突入しているために、世の中の流れそのものが停滞しているようでした。

長年来の付き合いがある理人からは、「キャベツ作ってないで新曲作れ」などと軽口を叩かれてしまう場面には笑わされます。

停まっていたはずの花火の時間の流れが、突然の闖入者・ヒバナによって動き始めていく瞬間がドラマチックです。

夏休みの終わりと新たな始まり

初対面の花火の家に遠慮なく上がり込んで、平穏無事な日々を引っ掻き回していくヒバナも不思議と憎めません。

自由奔放なヒバナに振り回されているうちに、少しずつでも心を開いて打ち解けていく様子が微笑ましかったです。

近所の穏やかな川を見ただけで気を失ってしまうほど、異様なほど水を怖がっているヒバナの過去が気になりました。

夏休みが残り僅かとなっていく中で、楽しかったふたりだけの時間にも否応なしに終わりが迫ってきて切なくなります。

もう1度歌手としてステージの上に立って自分の言葉で歌うのか、プロデュース業に転向して後進の育成に務めるのか。

彼女との痛切な別れを乗り越えた花火が、無意識のうちに目を反らし続けていた自分自身に向き合っていく決意が伝わってきました。

こんな人におすすめ

ようやく完成させた新曲を熱唱する花火からは、何度でもやり直すことが出来る人生の素晴らしさが伝わってきます。

花火の旅立ちを後押しするかのように、ヒバナが披露する素敵なラストダンスは涙なしには見ることは出来ません。

23年ぶりに篠原監督と山崎まさよしがタッグを組んで贈る、「影踏み」が2019年の11月15日に公開を控えています。

最新作を見るために映画館まで足を運ぶ予定がある皆さんは、是非ともこの映画でおさらいをしてみてください。

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