志乃ちゃんは自分の名前が言えない|動画配信情報・感想・評価・解説

志乃ちゃんは自分の名前が言えない
2017年製作/110分/日本 予告動画を検索
内気で人前ではうまく話せない志乃。そんな彼女に話しかけてきたのは、ギター好きな加代だった。音楽好きながら音痴な加代は志乃の美しい声に気が付いていた。最初は嫌々だったバンド活動も徐々に夢中になり始めた志乃のもとに、新メンバーとしてある男子生徒が加わることに…。

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キャスト・スタッフ

監督
脚本
原作
出演
音楽
製作

「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」は湯浅弘章監督によって、2018年の7月24日に劇場公開されています。

メガホンを取ったのはテレビドラマの制作現場を経て本作品で長編デビューを果たした、1978年生まれの映像作家です。

池田エライザの主演でドラマ化された「ぼくは麻里のなか」から、伊藤健太郎と玉城ティナの共演で映画化予定の「惡の花」まで。

作品の多くが映像化されている押見修造が、2011年から2012年にかけてウェブマガジンで連載していたマンガが元になっています。

全11話のうちの主要なエピソードをピックアップして、脚本家の足立紳がオリジナルのシナリオに纏め上げました。

それぞれが複雑なコンプレックスを抱えながらも、心を通わせて成長していくふたりの女子高生を描いた作品です。

あらすじ

幼い頃から内気でコミュニケーションが苦手だった志乃は、人前に出ると緊張の余りに上手く喋ることが出来ません。

お昼休みになっても一緒に過ごす友達がいないために、お弁当を片手に校内をうろうろとしているばかりです。

そんな時に志乃に話しかけてきたのは、懐かしの曲にやたらと詳しくてギターを弾くのも大好きな加代でした。

音楽への情熱はひと一倍ながらも音痴なのが玉に瑕な加代だけは、志乃の意外なほどの美しい声に気が付いています。

強引な加代に嫌々ながらバンドの練習に付き合わされているうちに、今では志乃の方がすっかり歌うことに夢中です。

学園祭のライブに向けて猛特訓を始めたふたりのバンドに、志乃にとっては因縁浅からぬ男子生徒が追加メンバーとして加わることになるのでした。

みずみずしい等身大の俳優たち

シャイで口数の少ない大島志乃の役を、南沙良が時に伏し目がちに時には感情を圧し殺しながら演じていました。

2002年生まれの女優さんで撮影当時は正に現役の高校生だったこともあり、自然と教室の隅っこや屋上の陰に溶け込んでいます。

そんな引っ込み思案で冴えないヒロインを導いていく岡崎加代 に扮している、蒔田彩珠もフレッシュで良かったです。

志乃の「静」のイメージに対して「動」の役どころがピッタリとはまっていて、ギターを掻き鳴らす姿や時には平手打ちも辞さない勝ち気な一面も披露していました。

ふたりの女子にとっては鬱陶しくもちょっぴり気になる男子生徒、菊地強の役を務めているのは萩原利久です。

密かに思いを寄せている異性に対して素直になれないいじらしいキャラクターは、深夜ドラマの「電影少女-VIDEO GIRL MAI-2019」での健人役に重なるものがありますね。

ふたつの町とふたつの映画に不思議な繋がり

テリー・ツワイゴフ監督によって2001年に発表された、「ゴーストワールド」という映画を観たことはありませんか?高校を卒業した後も進学も就職しないふたりの少女を主人公にしていて、原作コミックのモデルになったとも言われています。

若干17歳のスカーレット・ヨハンソンが初々しい演技を披露していて、撮影時の南沙良と同い年なのも不思議な縁ですね。

加代たちが住んでいる地方都市の情景からは、ゴーストワールドの舞台に設定されているロサンゼルス郊外の街並みを彷彿させるものがありました。

放課後に自転車を押しながら志乃と加代が寄り道する、地元のアーケード商店街もノスタルジーに満ちています。

海沿いの道路を2人乗りしながら逆光を浴びて駆け抜けていくシーンは、青春キラキラ映画の王道を行く美しさです。

古き良き時代のメロディー

今時の女子高校生の感性からは程遠い、加代の渋みのある音楽趣味には幅広い世代が感情移入してしまうはずです。

団地の一部屋はさながらレコードショップのようで、立て掛けられたアコースティックギターが郷愁を誘います。

手軽な音楽ダウンロードで済ませるのではなく、中古のCDを気長に集めているコレクター心理にも共感できました。

自室にはボブ・ディランのポスターが貼られていて、加代が自作の曲にやたらとこだわり抜くのはノーベル文学賞受賞者の影響のかもしれません。

フォークバンドブームを経験したオールドファンには感涙ものの「あの素晴らしい愛をもう一度」、1990年代に高校生だった30代には忘れられないザ・ブルーハーツやミッシェル・ガン・エレファント。

随所で鳴り響く懐かしのヒットナンバーからは、それぞれの青春時代がアルバムのように甦ってくることでしょう。

言葉が駄目でも文字なら心通わせる

3年間の高校生活で周りよりも優位なポジションに立つための競争は、登校初日のホームルームから既に始まっています。

そんな一大イベントでの簡単な自己紹介でも例によって失敗してしまい、独りぼっちの学校生活を送っている志乃の後ろ姿が寂しげでした。

一方の岡崎加代はスクールカーストに捉われることもなく、周りの視線を必要以上に意識することもありません。

ひとりは他人と接するのが苦手で言葉が出てこない女の子、もうひとりは孤立を恐れずにずけずけモノを女の子。

決して交錯することのなかったふたりの運命を結び付けたのは、会話が不得意な志乃のために加代が思い付いた筆談です。

メモとペンを手渡して「何か面白いことを」と大喜利のような無茶ぶりをする加代に対して、志乃が切り返した一言が衝撃的でした。

仲良しなふたりの間に割り込んでくる余計なひとり

破天荒な加代に振り回されっぱなしな志乃が、少しずつでも彼女に心開いていく成長ぶりには勇気を貰えました。

カラオケボックスで熱唱したり、ストリートライブへと繰り出していくなど思いの他積極的な志乃の姿も見ることが出来ます。

そんなふたりの友情を微妙に拗らせてしまうのが、ひと言余計な性格で空気が読めない同期生の菊地の存在です。

一見すると汚れ役のようにも思えながらも、彼自身も残念だった中学時代と孤独感に引き摺っていることが伝わってきました。

女子ふたりと男子ひとりの短絡的な三角関係に陥ることなく、三者三葉の葛藤を掘り下げていて好感が持てます。

ふたりで踏み出していく新しい世界

お互いへの誤解が解けないままで迎えた文化祭の当日、独りでバンドコンテストに出場する加代に対して志乃は以前のように体育館の片隅に蹲っているだけです。

スタート地点に戻されてしまったような焦れったさを吹き飛ばしてしまう、終盤での志乃の魂の叫びが胸に響きました。

初めて自分自身の感情を爆発させた志乃からは、傷つくことを恐れずに一歩踏み出していく素晴らしさを感じます。

口には出せない志乃の気持ちを代弁したかのような、加代のオリジナルソング「魔法」に込められている熱いメッセージも感動的です。

こんな人におすすめ

加代はいつかの屋上でギターの練習に夢中で、菊地は教室の席に座って弁当を食べて、志乃は元のように独り校舎をさ迷い歩いて。

物語はありきたりなハッピーエンドで幕を下ろすことなく、3人がバラバラになっていくようなほろ苦い後味です。

どこか観客を突き放したような物足りないクライマックスの中にも、志乃が思わぬプレゼントを受け取るサプライズも用意されていてホロリとさせられました。

クラスメートとの関係性について思い悩んでいたり、教室で居場所の無さを覚えている中高生にはお勧めだと思います。

学生時代にバンド活動に明け暮れていた皆さんや、音楽に思い入れのある方たちは是非ともこの1本をご覧になって下さい。

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