君が生きた証|動画配信情報・感想・評価・解説

君が生きた証
2014年製作/105分/アメリカ 予告動画を検索
激務の間を縫って、息子との食事の予定を取り付けたサム。当日、約束の時間になっても現れない息子を不審に思っていると、テレビから息子が通う大学での銃乱射ニュースが。それから二年の月日が流れ、ようやくサムは息子の遺品を受け取る覚悟を決めるのだった。

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キャスト・スタッフ

監督
脚本
原作
-
出演
音楽
製作

「君が生きた証」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「君が生きた証」はウィリアム・H・メイシー監督によって、2015年の2月21日に劇場公開されています。

大都会に生きる9人の男女の奇妙な繋がりが浮かび上がる「マグノリア」や、タバコ業界の内幕を暴いた「サンキュー・スモーキング」等。

数多くの名監督からバイプレイヤーとして重宝されている、1950年生まれでフロリダ州出身の俳優がメガホンを取りました。

無名の脚本家ケイシー・トゥエンタとジェフ・ロビンソが書き下ろしたオリジナルシナリオを、メイシー監督が1年以上かけて推敲して完成に漕ぎ着けています。

オクラホマシティで主要撮影が行われていて、繁華街のブリックタウンやヘフナー湖のでの現地ロケを敢行しました。

2014年度のサンダンス映画祭でプレミアム上映された他、ミュージック・クリップやDVD化にネット配信などメディアミックスもされています。

息子の死によって絶望に立たされていた父が、音楽との出会いによって立ち直っていくヒューマンドラマです。

あらすじ

広告業界で働いているサム・マニングは激務の合間を縫って、久しぶりに息子のジョシュとの食事の予定を取り付けます。

約束の時間になっても現れないジョシュを不審に思っていると、店内のテレビから流れていたのは州立大学で発生した銃乱射事件のニュース速報です。

この日を境にして順風満帆だったサムの人生は一変してしまい、仕事も家族との関係もまるで上手くいきません。

すっかりアルコールに溺れて自暴自棄に陥っていたサムは、事件から2年が経過した後でようやくジョシュの遺品を受け取る覚悟を決めました。

その中からはジョシュが愛用していたギターコレクションや、亡くなる直前に吹き込んだオリジナル曲が見つかります。

ジョシュが遺した作品を地元のバーや小さなライブハウスで歌っているうちに、止まっていたサムの時間も少しずつ動き始めていくのでした。

苦悩する親子をファミリーで体現

ある日突然に悲劇に見舞われる主人公のサム・マニングに、1968年生まれでニューヨーク出身の俳優ビリー・クラダップが演じています。

オープニングでの仕事ひと筋の顔つきから、中盤以降は人間味あふれる表情へと劇的な変化を遂げていました。

キャメロン・クロウ監督の2000年作「あの頃ペニー・レインと」ではロックスター役に抜擢されていて、その歌唱力はお墨付きですね。

サムの息子・ジョシュに扮しているのはマイルズ・ハイザーで、ストーリーの都合上短い時間となりますが鮮烈な出演シーンです。

サムの元妻エミリーの役はフェリシティー・ハフマンで、息子の死と向き合っていく母なる強さを表現していました。

私生活でも監督のウィリアム・H・メイシーと結婚していて、夫婦でのカメオ出演もライブ会場でのワンカットに用意されていますので見逃さないで下さい。

夭逝のメロディー

映画の冒頭で流れているのは「ASSHOLE」という曲で、サイモン・ステッドとチャールトン・ペッタスによって作曲されています。

歌詞の中には若さ故の向こう見ずな愚かさが込められていて、この後の衝撃的な展開を思うと何とも意味深です。

クエンティン役を務めているのはアントン・イェルチンで、プライベートでもバンドを組んで演奏の続けていました。

劇中でもギターを華麗に掻き鳴らす姿を披露していて、ピアノの弾き語りのシーンはプロのミュージシャンにも負けていません。

この映画が本国で公開されてから僅か2月後に、27歳の若さで不慮の事故によって亡くなっているのが惜しまれます。

18歳でこの世を去ってしまったジョシュの生涯とも重なるものがあり、その歌声には強く心を揺さぶられますね。

飛び交う弾丸とバッシング

いま現在でも銃規制の進まないアメリカ社会に対して、真っ向から挑んでいくようなストーリーには考えさせられることでしょう。

サムの自宅や勤め先にまで押し掛けてきてカメラやマイクを向けるレボーター、踏みにじられていく故人のプライバシー。

事件に対しての過剰なまでのメディアの報道姿勢も、リアリティーを追及したタッチから再現されていました。

ジョシュとお付き合いをしていた女子大学生のケイトが、名前を変えて別の場所で暮らさなければならない不条理には憤りを覚えるはずです。

前半では被害者遺族の側から映し出されていく物語が、中盤以降では加害者サイドに逆転していく構成も見応えがあります。

罪を犯した人間を徹底的に糾弾するばかりではなく、如何にして事件を社会全体で共有するするのかが大きな問い掛けです。

孤独な彼の歌声

冒頭ではキャンパス内で仲間内で大騒ぎを繰り広げる、体育会系の男子大学生たちの姿が映し出されていきます。

学生寮の自室で独りオーディオ機材に向かって黙々と録音を続けているジョシュ・マニングは、いかにも目立たないタイプです。

繊細な作業中に勝手に部屋の中に入ってくるがさつな友人たちに対して、不快感を露にしながらも何も言わないジョシュの不器用さが心に残りました。

自分の気持ちを言葉にするのがいまいち苦手で孤独な青年が、歌詞の中に込めたメッセージが何とも気になります。

荒れ果てていく心と生活

ジョシュの死から2年の歳月が流れても、一向に癒やされることのない傷を抱えて生きるサムの姿が痛々しいです。

一流企業に務めていたのが今では肉体労働に明け暮れてその日暮らし、愛車のアウディは生活費を工面するために売り払って自転車で通勤。

完璧にセットされていた髪の毛や綺麗に剃られていた髭は延び放題で、身なりにも気を使わなくなっていきます。

妻のエミリーと離婚した後にサムが住むことになる、波止場に係留されている小さなボートハウスが印象的でした。

世間からの好奇の視線と荒波に揉まれ続けたサムにとっては、ようやくたどり着いた隠れ家だったのかもしれません。

ミュージックなしには生き甲斐なし

ジョシュが遺した自作の曲を聞きながら、少しずつ彼の不在を受け入れて立ち直っていくサムの変わり様が感動的です。

ギブソンレスポールの78年モデルに代表されるような、ヴィンテージ・ギターに纏わる蘊蓄や零れ話にも味わいがあります。

やたらと人懐っこく純真無垢な青年、クエンティンとの音楽を通した触れ合いにも心温まるものがありました。

サムは生前のジョシュから得られなかったものをクエンティンとの時間から取り戻して、親の愛を知らずに育ったクエンティンはサムの中に父性を見いだして。

ライブをこなしていくうちにふたりの間に芽生え始めていく、疑似親子のような関係性には胸を打たれます。

こんな人におすすめ

一度は音楽活動から退いたクエンティンがアルバイトに励んでいる街角のドーナツショップを、サムが訪ねていくことで物語は終幕を迎えます。

店内のショーケースに色鮮やかに並んでいる、チェリードーナツからブルーベリー・フリッターまでが実に美味しそうです。

それとは対照的にカウンターを挟んで対峙したふたりの間で交わされるぎこちない会話は、決して甘いものではありません。

被害者の父親でもあり加害者の父でもあったという、二重の苦しみを隠して生きてきたサムに訪れる僅かな救いにホロリとさせられます。

年頃のお子さんとのコミュニケーションが上手くいかないお父さんは、是非ともこの1本をご覧になってください。

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