オンネリとアンネリのおうち|動画配信情報・感想・評価・解説

オンネリとアンネリのおうち
2014年製作/80分/フィンランド 予告動画を検索

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キャスト・スタッフ

監督
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原作
出演
音楽
製作

「オンネリとアンネリのおうち」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「オンネリとアンネリのおうち」は2018年の6月9日に、サーラ・カンテル監督によって劇場公開されています。

第2次世界大戦下での母と娘の愛憎渦巻く関係をテーマした「星の見える家で」が高い評価を受けた、1968年生まれフィンランド出身の映画作家がメガホンを取りました。

もとになっているのはフィンランドの国民的作家マリエッタ・クレンニエミによる、「オンネリとアンネリ」です。

日本でも全4シリーズとして発表されたうちの、1966年に刊行されて北欧の児童文学賞に輝いている第1弾が映像化されました。

ミカ・カウリスマキ監督の「旅人は夢を奏でる」で脚本を担当した、サミ・キスケ=バハラがオリジナルシナリオを書きおろしています。

あらすじ

オンネリとアンネリは同い年で同じ小さな町に住んでいて、同じ学校に通っていてクラスも同じで親友同士です。

学校が夏休みに入ったある日のこと、ふたりで川へ泳ぎに行く途中のバラ横丁で1通の茶色い封筒を拾いました。

表面には「正直な拾い主に差し上げます」と書かれていて、中には真っ赤なリボンで結んだ札束が入っています。

封筒を元にあった場所へ置いておこうとしたオンネリたちに声を掛けてきたのは、バラの木夫人という不思議な女性です。

建てたばかりの家が気に入らないという彼女に封筒のお金を手渡すと、ふたりのためにその家を譲ってくれます。

お金を受け取ったバラの木夫人は旅立っていき、オンネリとアンネリのふたりだけの暮らしが始まっていくのでした。

物語の中で成長していくふたりの子役

ヒロインのオンネリを演じているのはアーバ・メリカントで、アンネリに扮している子役がリリャ・レフトです。

女の子らしく無邪気にはしゃぎ回る姿ばかりではなく、時折どこか大人びた眼差しを浮かべていてドキリとさせられました。

2018年の11月24日に発表された第2弾の「オンネリとアンネリの冬」、2019年5月25日の第3弾「オンネリとアンネリとひみつのさくせん」。

シリーズを追いかけてふたりの演技を見ているうちに、我が子の成長を見守るような気分に浸ることが出来ます。

ふたりの親代わりとなるバラの木夫人役の、エイヤ・アフヴォの確かな存在感にも安心させられるはずです。

まばゆい夜の美しさ

北極圏に近いスカンジナヴィア半島に位置するフィンランドでは、夏の間は陽が沈むことはありません。

日没から日の出までの時間は太陽の光が乱反射していて、白夜と呼ばれている独特な夜の明るさが神秘的です。

待ちに待った夏休みに突入した子供たちが、時間を忘れるほど夢中に外で遊び回ってしまうのも仕方ないでしょう。

大人たちは仕事が終わって帰宅して、ゆっくりと夕食を済ませた後に夜の街へと繰り出していきます。

穏やかに流れていく時間の中で自分らしく毎日の暮らしを謳歌する、この国の人たちのライフスタイルが羨ましいです。

キュートな衣装にお洒落なアイテム

オンネリが身に纏っている夏仕立ての薄手のワンピース、オンネリが髪の毛を纏めるのに使っているカラフルなリボン。

子供用の小さなデザインの洋服やアクセサリーも、細部までこだわり抜いて作り込まれているために可愛いらしかったです。

髪型も背丈も同じくらいのふたりが、色違いや柄の違いによってしっかりと自己主張している点にも注目して下さい。

バラの木夫人から譲り受けた素敵な家の中は、北欧スタイルのインテリアやアンティークのような玩具で溢れかえっています。

リンケリという名前の干し葡萄入りのパンや、バターやシナモンを振りかけて食べる「プーロ」と呼ばれる麦のミルク煮も美味しそうですよ。

実の家庭ではちょっぴり複雑な事情を抱えているふたりですが、仮の宿で好きな物に囲まれている時は実に幸せそうでした。

愛を求める子供たち

9人きょうだいの真ん中で上の兄姉とも下の弟妹からも疎外されているオンネリ、大学教授の父親と婦人会の会長を務める母親が別居中のアンネリ。

それぞれのバックグラウンドを微妙に違えども、オンネリもアンネリも家族の愛に餓えているという点では同じです。

そんなふたりがお互いの孤独感を埋め合わせるかのように、築き上げていく友情には心温まるものがありました。

その一方では幼い娘の外泊にもまるで心配することのない、彼女たちの両親の無関心さには呆れてしまいます。

オンネリとアンネリのが手に入れた家は秘密の隠れ家でもあり、大人たちへ反旗を翻すための砦なのかもしれません。

夏の限られた時間の中での子供たちによる細やかな戦いという点では、宗田理の「ぼくらの七日間戦争」を思い出してしまいました。

子供だけでなく大人も不満でいっぱい

中年の男女のロマンス、親子関係に悩んでいるアイスクリームショップの店員、早くに夫との死別を経験した女性。

心のどこかで物足りなさや居場所の無さを引きずっているのは、オンネリとアンネリたちばかりではありません。

純真無垢な少女の目線から映し出されていた夏の風景や人間模様が、時折大人の目線へと切り替わっていきます。

子どもであれ大人であれ、悩み傷つきながらでも少しずつ成長していくひたむきな姿からは勇気を貰えました。

長閑な街並みに人々のおおらかさ

魔法を使えるお年寄りが当たり前に町内に住んでいたり、それぞれが思い思いの派手な服装で表通りを歩き回ってもご近所トラブルには至りません。

全編を通して穏やかですムードの中で物語は進行していきますが、後半には思わぬ空き巣事件も用意されています。

犯人が取り押さえられて現場にはピストルを構えた警察官が駆け付けてきますが、シリアスになることなく笑いに変えてしまうのは流石です。

罪を憎んで罰することよりも、犯人を諫めて社会復帰をサポートすることを重視する寛容性溢れるお国柄があるからなのかもしれません。

家の外で待ち受けている大きな喜び

夏休みも残り僅かになった頃に開催された、オンネリにとっては初めてのバースデーパーティーが楽しげでした。

9人きょうだいの家で生まれ育ったオンネリが、今まで一度も誕生日を祝って貰えなかったのは致し方ありません。

そんなオンネリのためにパーティーの終わりに用意されている、思わぬプレゼントにはほろりとさせられました。

この家にふたりで残るのか、家族のもとへ帰るのか。

オンネリとアンネリが下した決断には、新しい家族の在り方が伝わってきます。

小さな家の中だけで満足していたふたりが、外の世界へと小さな一歩を踏み出していくようなクライマックスが清々しいです。

こんな人におすすめ

エンディングテーマとして地元の子供たちによるラップミュージックが流れていて、下町のお祭り騒ぎのような賑わいがありました。

原作は日本でも2015年の10月25日に福音館書店から、フィンランド文学協会会員の渡部翠によって翻訳刊行されています。

トーベ・ヤンソンの「ムーミン谷」シリーズから、アストリッド・リンドグレーンの「やかまし村の子どもたち」まで。

北欧のジュヴナイル文学やファンタジー映画に興味のある方たちは、是非ともこの1本をご覧になってください。

かつて人形遊びやおままごとを楽しんだ女性の皆さんが見ると、童心に返ったかのようにリフレッシュできるでしょう。

女の子の夢の中にも現実の社会への鋭いメッセージが込められているために、小さなお子さんを抱える親御さんにも見て欲しいです。

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