プラネタリウム|動画配信情報・感想・評価・解説

プラネタリウム
2016年製作/108分/フランス・ベルギー合作 予告動画を検索
ローラ・バーロウは、霊能力を秘めたケイトとアメリカで心霊パフォーマンスの巡業を続けていた。あるとき彼女たちは海外遠征を敢行したところ、映画会社を経営するコルベンの目に止まる。コルベンが思いついたのは、バーロウ姉妹が呼び出した霊で映画を撮ることだったが…。

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キャスト・スタッフ

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原作
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音楽
製作

「プラネタリウム」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「プラネタリウム」はレベッカ・ズロトヴスキ監督によって、2017年の9月23日に劇場公開されているミステリードラマです。

愛する家族を失った少女の喪失感をテーマにした「美しき棘」から、原子力発電所と男女の愛を融合させた「グランド・セントラル」まで。

メッセージ性の強い社会派ドラマから大胆なラブストーリーまでを手掛けている、1980年生まれパリ出身の新進気鋭の映画作家がメガホンを取りました。

実話を基にした物語で、心霊ショーの海外公演にやって来た姉妹と映画プロデューサーとの奇妙な関係に迫っていきます。

あらすじ

ローラ・バーロウは生まれながらに霊能力を秘めた妹のケイトとふたりで協力して、アメリカで心霊パフォーマンスの巡業を続けていました。

国内だけでの成功に飽き足らないローラはパリへの海外遠征を敢行すると、映画会社の経営者にしてプロデューサーでもあるコルベンの目に止まります。

かつては映画発祥の地として栄えていたフランスも、1930年頃になるとアメリカ作品に押され始めていてかつての勢いはありません。

そんな現状に前々から不満を抱いていたアンドレ・コルベンが思い付いたのは、バーロウ姉妹を使って呼び出した霊を映画にすることです。

以前から女優に憧れていたローラはやる気満々でしたが、内気で大勢の観客の好奇の視線に晒されらるのが苦手なケイトはいまいち気が進みません。

ローラとケイトの仲が気まずくなっていく中で、コルベン自身にも予想外のトラブルが舞い込んでくるのでした。

姉と妹には豪華なふたりの女優さんを抜擢

海を渡った異国の地でも野心あふれる姉のローラ・バーロウの役を、ナタリー・ポートマンが凛とした表情と立ち振舞いで演じていきます。

興行主としても計算高く渡り歩きつつ、平行して女優としてのキャリアを積んでいく抜け目の無さも持ち合わせていました。

成功に執着する余りに我が身の破滅を招いてしまうような危うさには、「ブラック・スワン」の時のバレリーナを彷彿とさせます。

引っ込み思案で何処までも純真無垢な妹・ケイトには、リリー=ローズ・デップのイメージがぴったり合っていました。

そのインパクト抜群な名前からも察しが付くように、ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの娘さんです。

1999年生まれで本作の撮影時には若干16歳ながらも、多彩な表情と強い意志を秘めた瞳には父親譲りの大器の片鱗を感じませんか?

本物よりも偽物の方が輝く時代

本作品のタイトルにもなっているプラネタリウムは、1923年にドイツのハイデルベルクで今現在のモデルとなるタイプが完成しています。

日本でも1937年にはアジア初となるレンズ式のプラネタリウムが、大阪の市立科学館に設置されていたそうです。

昼間からまばゆい光を放つ人工の星が、館内に詰めかけた人たちを驚かしている情景を思い浮かべてしまいました。

映画撮影の機材もスタッフも飛躍的に進歩したのがこの時期であり、最先端の技術を使えば心霊現象を演出してフィルムに収めることは容易く出来ます。

そんな流れに逆らってまで「本物」の心霊現象を映画にしようとするのが、本作の影の主人公とも言えるコルベンです。

単なるミーハーなオカルトファンが美しくも怪しげな姉妹に魅せられていき、遂には映画狂へと変貌を遂げていく姿を見届けて下さい。

最も美しく平和だった頃のパリ

世界各国から多くの人たちが押し寄せてくる1930年代のパリの賑わいが、色鮮やかなタッチから映し出されていきます。

ケイトが身に纏っている緑色のベレー帽や灰色のブレザーなど、綿密なリサーチから再現されているファッションも興味深いです。

バラエティー豊かに着飾った女性たちと比べてみると、男性の衣装は今の時代とそれほどの違いは見受けられません。

ふたつの世界大戦に挟まれたつかの間の平和を謳歌するこの国にも、自由なムードが失われていく予感が漂っていました。

ローラが足を踏み入れることになるフランスの映画業界では、特定の人種や宗教へのあからさまな差別や攻撃が罷り通っています。

伝統的なヨーロッパ映画の衰退が、刻一刻と近づいてくるナチスドイツの台頭を暗示しているようで何とも不気味です。

生き馬の目を抜く姉と死後の世界を見つめる妹

創作活動に没頭するアーティストから一攫千金を狙う起業家や商人、大いなる野望を胸に抱いた革命家まで。

当時のパリの路地裏や街角にまで行き渡るような、行き交う人々の得たいの知れないエネルギーには圧倒されます。

生まれ育ったアメリカからはるばる新天地へと舞い降りたローラ・バーロウには、すこしの迷いや戸惑いもありません。

意気揚々と人混みの中をかけ分けていく姉の背中に、ピッタリと寄り添うように歩いている妹のケイトが可愛いらしかったです。

交霊術を興行と割り切っているビジネスライクなローラと、死者との対話に謙虚な姿勢で臨んでいるケイトとの微妙な距離感もありました。

そんな正反対な姉と妹がステージの上で披露するショーを、客席から見つめている大物映画プロデューサーがいます。

三者三葉に明暗が別れる

ローラが主演する映画のロケ地となった、フランス南部地方の豊かな自然や歴史ある街並みが美しさ溢れていました。

新進気鋭の俳優・フェルナンドとドライブへと繰り出したり、ふたりっきりのビーチで羽目を外してしまう無防備さも憎めません。

女優としてもステップアップしていきプライベートでも充実しているローラとは対照的に、日毎に窶れていくケイトが痛々しいです。

いつまで経っても完成することのない新作、制作費の遣い込み疑惑、自称ポーランド系フランス人の意外な正体。

製作会社や株主から見放された上に次から次へと浮上してく悪い噂によって、コルベンも窮地に追いこまれていきます。

初めて大切な人と向き合う

ひとりの男性とふたりの姉妹とがバランスを保ちながら続けてきた心地良い関係も、遂には終わりを迎えることになります。

自分自身が理想とする映画を創り上げることとり憑かれていたコルベンは、目の前にいる1番大切な人の存在に気がつきません。

カメラのレンズを通してしかローラを見ることがなく、スクリーンに映し出された彼女の虚像を真実だと思い込んでいたのでしょう。

そんなコルベンが初めてローラと真正面と向き合うことになった場所が、警察に逮捕されて連行された先の留置所だったのが皮肉です。

ふたりの間を隔てている分厚いガラスを貫くほどの情熱的な眼差しを注いでいるコルベンに対して、ローラが言い放った冷たいひと言が心に残りました。

こんな人におすすめ

フランス国籍を失ったコルベンは収容所へ、闘病生活を続けるためにケイトは病院へ、ひとり残されたローラは女優としてスタジオへ。

それぞれが独自の決断を下した3人にクライマックスで待ち受けていたのは、決して前途洋々たる道のりではありません。

それでもローラが満天の星空の下で呟く、「素晴らしい明日が待っている」というセリフにはほろりとさせられました。

オカルトから映画業界の舞台裏に20世紀前半のヨーロッパの社会的な背景まで、様々な要素が盛り込まれています。

ルイス・ブニュエルやアベル・ガンスに代表されるような、古き良き時代のフランス映画に興味のある方は是非みて下さい。

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