インサイド・マン|動画配信情報・感想・評価・解説

インサイド・マン
2006年製作/128分/アメリカ 予告動画を検索

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キャスト・スタッフ

監督
脚本
原作
-
出演
音楽
製作

「インサイド・マン」をサクっと解説

ライター/東一葉

かなり雑食ではありますが、月に5〜6本は映画を観ています。ズンと心にのしかかってくるような作品が好きです。

作品概要

ハリウッドの奇匠スパイクリーがメガホンをとったクライムサスペンス。

マンハッタンを舞台に繰り広げられる強盗犯と交渉班の刑事の駆け引きは見応え十分だ。

スパイクリーお得意の人種問題的な発信は少なめのため、メッセージ性は低いが、その分単純にストーリーを楽しめる上に、オスカー俳優たちの豪華な共演は見応えがある。

強盗犯のリーダーを「グローリー」のクライブ・オーウェン。

強盗犯と駆け引きをする刑事役に「マルコムX」でスパイク・リーとタッグを組んだこともあるデンゼル・ワシントン。

そして弁護士役としてジョディ・フォスターが参戦した。

あらすじ

マンハッタン信託銀行に白昼堂々と押し入った強盗犯4人組。

ペンキ屋に扮して銀行内に侵入した4人は、行員、警備員、客50人あまりを人質にとって立てこもる。

事件発生の知らせを受け、交渉班の捜査官であるキース・フレイジャー(デンゼル・ワシントン)が現場である銀行に急行する。

キースは直ぐに犯人たちの周到に練られた計画に気がつく。

ひとり、ふたりとメッセージを持たされ釈放される人質。

犯人グループからはバス2台とジェット機の要求があるが、それすらも時間稼ぎのものだとキースは考える。

銀行内では全員が同じ作業着に着替えさせられ、犯人たちは穴を掘っている。

そんな中、市長が弁護士ホワイト(ジョディ・フォスター)を連れて現場にやってくる。

銀行内での犯人グルーブとの接触を求めてきた弁護士は、銀行の創業者であるアーサー・ケイス(クリストファー・プラマー)が雇った人物だった。

銀行強盗事件の裏に何かあると睨むキースだが、弁護士は決して口を割らず、膠着状態が続く。

ジェット機の手配の交換条件として、銀行内の人質たちの無事を確認することになったキースは、犯人グルーブのリーダーであるダルトン(クライブ・オーウェン)と接触することに成功する。

極限状態の人質たちを目にしたキースはダルトンにハッパをかけることにした。

手荒な態度で挑発してみたがダルトンはキースに手を出そうとはしない。

それに疑問を持ったキースは前線対策本部のある車内で対策を練り直すことを提案する途中、銀行内での初めての人質射殺が確認されてしまう。

犯人は人殺しはしないと踏んでいたキースを混乱させる。

実施されることとなった強行突破で事件は解決するのだろうか。

念密に練られた完全犯罪は成功してしまうのだろうか。

クライムサスペンスなのに

ド派手なアクションもなく、スマートな泥棒たちが犯罪を華麗に仕上げていくような犯罪映画でもない。

それなのにどことなくおしゃれなのだ。

音楽、映像のカット、そして芸達者なハリウッドスターたち。

まさに、映画でなければ実現しないクライムサスペンスとなっている。

人種入り乱れるニューヨークの街で、個性豊かな面々が犯人であり、刑事であり、目撃者となる。

随所にスパイク・リーらしい表現も散りばめられてはいるが、それはアメリカの経済の中心地であるニューヨークと言う街のリアルも伝わってくる多人種多文化の一旦として表現されている。

まずは音楽に魅了され、登場人物たちの眼力に心奪われ、騙し合いともとれる頭脳戦心理戦に脳を刺激される。

あとから思い返すと合点がきくことも多い。

クライムサスペンスには珍しく、余韻に浸れる作品だ。

距離感

デンゼル・ワシントンとジョディ・フォスターが演じた捜査官と弁護士の距離感を楽しみたい。

お互いの能力を認め合いながらも相容れない考え方や立場を身に纏った立ち居振る舞いが、物語に魅惑的な雰囲気を与えている。

この二人が同じ場面に登場する回数は多くない。

市長の車内での対面シーン、銀行内の犯人と接触するシーン、裁判所で会うシーン、市長とのパーティにキースが乗り込むシーンくらいだろうか。

中でも裁判所のベンチで2人が足を組み話し込む場面はその距離感と駆け引きで見応えがある。

善悪の分別のある大人が2人、善と悪、正義と利益の優劣を競い合うのだ。

不祥事の疑いをかけられていたキースにとってホワイト弁護士の持ちかけてきた出世への近道、ホワイト弁護士にとっても銀行の会長に有利な働きをすれば桁違いの報酬が手に入り、口を効いた市長を今後も利用できる。

単純明快な勧善懲悪ではない距離感の絶妙な駆け引きがこの映画に深みを施している。

夢の共演

顔ぶれがすごい。

デンゼル・ワシントンといえばアフリカ系アメリカ人のなかでもトップクラスのハリウッド俳優であり、芯のある作品選びとその眼力に心奪われている観客も多いはずだろう。

社会派作品からスポーツを題材にした人間ドラマまで、幅広い役で魅了してくれる俳優だ。

犯人グルーブのリーダーを演じたクライブ・オーウェンは、抑制された演技を得意とするいわゆる何にでも化ける役者だ。

「クローサー」では、ジュード・ロウやナタリー・ポートマンなどと肩を並べ堂々たる演技で評価も高かった。

そしてジョディ・フォスターだ。

語る必要もないほどの大女優だ。

出番は多くはなかったが、今作で彼女の存在感を目の当たりにした。

歳を重ねてから、悪役に磨きのかかった会長役のクリストファー・プライマーも権力の塊のような嫌な役を見事に演じている。

主役級の役者の豪華な共演は時間を忘れさせる120分となっている。

犯人の狙い

犯人の狙いが正義にあるのか復讐にあるのかそれともただの金銭にあるのか。

映画を最後まで観ても明確にならない。

結局はその全てであったように感じる。

銀行内の壁の中に隠れていたリーダーが営業が再開された銀行の正面から出て来たときに謎の貸し金庫を空ける裁判所命令を引き下げて来行したキースと肩がぶつかる。

そこでキースが気がつくと思いきや、素通り。

肩がぶつかった相手が犯人グループのリーダーだと気がつくのが、帰宅したキースがポケットの中から一粒のダイヤモンドを発見した時なのだから、隙のない完全犯罪の成功だ。

今作での悪は犯人なのだろうか。

それとも銀行の会長なのか、すべての権力を利用しようとする女性弁護士なのか、出世を手にしようとする捜査官なのか。

それとも、全員が悪を持っていて悪と悪とが持たれかかった隙間にのみ善が脆く存在しているのか。

程よいテンポ

目まぐるしく展開する映画で内容を誤魔化そうとしない、そんな骨太感も伝わってくる。

かと言って膠着状態が続く作中にあっても飽きさせないリズム感がある。

そして女性弁護士の登場がスパイスのようなアクセントとなる。

なぜ、物語の途中で翌日以降の取り調べ風景が挿入されるのか分からなかったが、最後まで見終わると違和感なく感じる。

全体のバランスが取れているからだろう。

腹八分目といった感じで終わるのだが、だんだんとお腹が膨らんできて少し経つとものすごい満足感を感じるような、そんな作品だ。

心地よいテンポ感がそうさせてくれたているのだ。

そのテンポの心地よさを感じるのは、おそらく多角的な視点が小刻みに変化するからだ、と気がつくのは終演後のことだった。

まとめ

社会問題を考えるときには常々意識している「端的な視野は危険である」という発想を映画鑑賞時には忘れがちである。

映画にはリアルよりもついつい作品自体のメッセージに傾倒したくなってしまうからだ。

しかしこの作品はそれを許してくれない。

いや、許してくれているのかもしれない。

リズム感に溢れるエンターテイメント性溢れる作品なのだから。

どこから観てもどんな感覚で観ても満足できる、そんな作品をスパイス・リーは目指したのかもしれない。

リー監督ががあの笑顔で舌をペロッと出しているような気がする。

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