ブルーアワーにぶっ飛ばす|動画配信情報・感想・評価・解説

ブルーアワーにぶっ飛ばす
2019年製作/92分/日本 予告動画を検索

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キャスト・スタッフ

監督
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原作
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出演
音楽
製作

「ブルーアワーにぶっ飛ばす」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「ブルーアワーにぶっ飛ばす」は箱田優子監督によって、2019年に製作されているヒューマンドラマです。

日本国内ではビターズ・エンドの配給によって2019年の10月19日に封切られた後に、香港、ドイツ、台北と海外上映されました。

麻生久美子と神木隆之介が姉弟役で共演した「Renta!」や、竹原ピストルがあらゆる世代に向けた応援歌「オーバー・ザ・オーバー」など。

テレビCMからミュージッククリップまでを手掛けている、1982年生まれで茨城県出身のクリエイターが長編劇場デビューを果たしています。

2016年度のTSUTAYA CREATOR’S PROGRAM FILMで審査員特別賞に輝いた、92分のオリジナルシナリオを映像化したものです。

長らく実家から足が遠退いている広告ディレクターが、親友とふたりで気ままな里帰りへと出発する感動作に仕上がっています。

あらすじ

つい最近になって30歳を迎えたばかりの砂田夕佳は、CM業界で映像製作に明け暮れる多忙な日々を送っていました。

結婚後も第一線に立ってキャリアを積んでいくつもりのために、夫の篤との間に子供を作る予定は今のところありません。

近頃では仕事を通じて知り合った広告代理店勤務の冨樫晃との不適切な関係を、お互いに割り切って続けています。

すっかり疎遠になっていた実家に珍しく顔を出してみることにしたのは、幼い頃から大好きだった祖母・ときが余命いくばくも無いからです。

砂田にとっては唯一無二の心の拠り所になっている、清浦あさ美が実家のある茨城県の田舎町まで送り届けてくれます。

自由気ままなドライブの道中で、砂田は故郷への愛憎半ばする思いや自分自身のこれからについて向き合っていくのでした。

ふたり合わせて一心同体の名演

終始一貫して仏頂面な異色の主人公、砂田夕佳の役を演じているのは1991年生まれで東京都出身の女優・夏帆です。

今作ではこれまでに培ってきた爽やかなイメージと好感の持てる笑顔を封印して、口汚く罵る毒のある役どころにチャレンジしていました。

砂田の相棒にして何事にも捉われることのない陰のヒロイン、清浦あさ美の役をシム・ウンギョンが好演しています。

松坂桃李とタッグを組んだ衝撃作「新聞記者」では、真実を追い求めていくジャーナリストを熱演していたのが記憶に新しいですね。

国境を越えた同世代の実力派俳優による共演は見ごたえがあって、劇中の息の合った掛け合いも実に楽しげでした。

砂田の父親に当たる浩一役のでんでんや母・俊子役の南果歩に代表されるような、ベテラン勢もしっかりと脇を固めています。

ぶっとんだサウンドの数々

CM撮影のために大物俳優に海援隊の「贈る言葉」を歌わせるという、無理難題を押し付けられた砂田のとっさの機転が痛快です。

仕事終わりに仲間たちと一緒に繰り出した飲み会のカラオケで、大中恩作曲の「犬のおまわりさん」を熱唱するシーンも必見ですよ。

息苦しい現実から脱出するかのように、フィアット・パンダに乗り込んだ砂田と清浦が合唱するのは尾崎豊の「15の夜」です。

本作品のサウンドトラックを手掛けているのは、3人組バンド・鹿の一族のメンバーやシンガーソングライターとしても活躍している松崎ナオです。

「清く、ただしく」が鳴り響くと同時にエンドロールが流れていき、名残惜しいような気持ちが涌いてくるでしょう。

青く光る時間をどこまでも走る

本作品のタイトルにもなっている「ブルーアワー」とは、夜明け前と黄昏時に僅かに空が青く染まる時間のことを差します。

小学生くらいかと思われる砂田が、太陽が昇る前の薄明かりに包まれた草原を全力疾走で駆け抜けていくオープニングが幻想的です。

せっかくの貴重な休日に喫茶店で無為な時間を過ごした砂田は、最近になって購入したという清浦の車を見に行きます。

彼女の愛車はイタリアの老舗メーカー・フィアットが製造する小型のハッチバック・タイプで、車体のメタリックブルーが美しいです。

何気なく左側のドアを開けて助手席に乗り込もうとした砂田は、この自動車が左ハンドル仕様にデザインされていることに気がつきます。

これ以降は清浦が左の運転席でハンドルを握りしめ、砂田が右側の助手席に座っているポジショニングに注目して下さい。

ふたりの別れはヘッドライトが灯り始める夕暮れ時ですが、小さな奇跡が訪れるブルーアワーには驚かされることでしょう。

都会で枯れ果てていく彼女の心と身体

映画の序盤では砂田が愛人の冨樫と密会している東京都内のラグジュアリーホテルの寝室や、彼女の自宅マンションが映し出されていきます。

清潔感と機能性を重視したスタイリッシュなイメージが漂う場所ばかりですが、どことなく無機質な印象で生活感がありません。

朝早くから仕事に出掛けて真夜中過ぎまで飲み会に参加して朝帰りしても、妻に文句ひとつ溢すことのない篤には感心させられました。

余りにも物分かりが良すぎる過ぎる夫の気を引きたいがために、ついつい毒づいてしまったり奇行を繰り返す砂田がいじらしいです。

職場の同僚たちの前では売れっ子ディレクターの仮面をかぶり続けている砂田の、ギリギリにまで追いこまれている精神状態が伝わってきます。

彼女にとって心の奥底から本音をぶつけ合うことが出来る相手は、「秘密の友だち」という清浦あさ美しかいません。

穏やかな風景と時間に癒される

都内の一般道と高速道路とのジャンクションで、恐る恐るアクセルを踏み込んでいく清浦の姿が印象的でした。

何とか無事に高速に乗って都県境を越えていくと、みるみるうちに高層ビルが消えて田園風景が広がっていきます。

湘南の海辺の町に生まれ育ったと打ち明ける清浦が、山奥にある砂田の故郷へ寄せる並々ならぬ好奇心が微笑ましいです。

石岡市の観光スポットであり日本一大きな獅子舞オブジェ、石岡獅子頭のシュールな佇まいに呆気にとられた様子の清浦には笑わされました。

牛久市では牛久沼河童像の前でふたり揃ってボンヤリと座り込み、豊かな緑に包まれて日頃の疲れをリフレッシュしていきます。

サービスエリアの喧騒やお昼時のイタリアンレストランの店内から聞こえてくる、独特なイントネーションも心地よかったです。

縮んでいく帰郷への葛藤

子供の頃には果てしなく広かったはずの故郷が、大人になって帰ってきた途端に小さく感じてしまう砂田の困惑ぶりには共感できました。

地方ならではのプライバシーの無さや閉塞感に加えて、若者たちの選択肢の少なさや生きづらさも相変わらずです。

骨董品集めに興じる父に引きこもりがちな兄、ワンオペ家事と介護に疲れきった母に認知症の進行が著しい祖母。

自分の居場所を見つけることが出来ずに、地元の息苦しさから逃げるように東京へと帰っていく砂田の後ろ姿が寂しげに映ります。

こんな人におすすめ

惰性的に続けてきたCMディレクターにも愛着がなく然りとて他にやりたいこともなく、ふるさとを愛することが出来ずに東京にも馴染むことが出来ずに。

迷走を繰り返してきた砂田がようやくたどり着いた抜け道と、クライマックスで目の当たりにした僅かな光が清々しいです。

プライベートでも社会人としても人生における重大なターニングポイント迎えている、アラサー女性の皆さんは是非とも見て下さい。

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