ピアノ・レッスン|動画配信情報・感想・評価・解説

ピアノ・レッスン
1993年製作/121分/オーストラリア 予告動画を検索

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音楽
製作

「ピアノ・レッスン」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「ピアノ・レッスン」はジェーン・カンピオン監督によって、1993年にフランス・ニュージーランド・オーストラリアの3カ国で合同製作されています。

ヴィクトリア朝の旧弊的な風潮と階級社会の中でひとりの女性がまったく新しい生き方を模索する「ある貴婦人の肖像」や、実在する母国の作家・ジャネット・フレームの数奇な人生に迫っていく「エンジェル・アット・マイ・テーブル」など。

121分のオリジナルシナリオを書き下ろしてメガホンを取ったのは、1954年生まれでニュージーランド・ウェリントン出身の映画作家です。

第46回カンヌ国際映画祭でワールドプレミア上映された後に、日本でもフランス映画社の配給で1994年の2月12日に全国ロードショーされました。

女性監督としては世界初の快挙となるパルムドールを獲得している他、日本でも第68回のキネマ旬報外国映画ベスト・テンの第1位にランクインしています。

失語症の女性が父親が勝手に決めた嫁ぎ先のニュージーランドで、1台のピアノを通じて真実の愛と自我に目覚めていくラブストーリーです。

あらすじ

エイダ・マクグラスがひとり娘のフローラをつれて母国・スコットランドを出発したのは、 1852年のことでした。

遥々と船に揺られてふたりが向かった先は、ヨーロッパからの移民や投機家で溢れかえったニュージーランドです。

上陸の日はあいにくの天気となりましたが、エイダの結婚相手のスチュワートが地元の人たちと一緒に出迎えてくれます。

エイダが国から持ってきた大切なピアノを新居まで運び入れてもらうように懇願しますが、まるで聞き入れてもらえません。

仕方なく野外でピアノを弾いていると、スチュワートの仕事仲間のジョージ・ベインズがその様子をじっと見つめています。

エイダが奏でる音色と美しい佇まいに心を奪われたベインズは、彼女のために秘密の取り引きを持ちかけるのでした。

全身全霊で表現する俳優たち

新天地に愛と自由を見出だしていくヒロイン、エイダ・マクグラスの役を演じているのはホリー・ハンターです。

ハンディキャップがあって言葉を発することが出来ない難しい役どころを、多才な表情によって体現していました。

エイダとは許されざる関係へと陥っていくジョージ・ベインズの役には、ハーヴェイ・カイテルが扮しています。

エイダの夫にしてベインズに激しいライバル心を燃やしていく、アリスディア・スチュワート役のサム・ニールの怪演も必見です。

エイダの愛娘にして外の世界との橋渡し役となる、フローラ・マクグラスにはアンナ・パキンが起用されています。

カナダ・マニトバ州のウィニペグ出身で1982年生まれの女優さんになり、撮影当時は若干10歳だったのがビックリです。

母親の生誕地がニュージーランドであり、5000人の応募者が殺到したオーディションを勝ち抜いたという裏話も運命的ですね。

生命力と多様性に満ち溢れたメロディー

本作品のオリジナルサウンドトラックを担当しているのは、音楽評論家から演奏家までと幅広く活躍していて映画音楽の名匠でもあるマイケル・ナイマンです。

伝統的なクラシックだけでなくビートルズを始めとするポピュラー・ミュージック、果てはルーマニアやスコットランドの民族音楽まで。

新しい試みや多様な価値観を貪欲に追い求めていく、型破りなスタイルが本作品でも存分に発揮されていました。

エイダが命の次に大切にしているのが愛用のピアノで、出国する際には船に載せて運搬するほど思い入れがあります。

がさつな現地の人たちに手荒く運び出された挙げ句に、波打ち際に打ち捨てられたようなピアノが何とも哀れです。

ピアノに向かって演奏している時だけが彼女にとっては無上の喜びであり、その表情にも輝きが満ちあふれていました。

主演女優のホリー・ハンターは幼少の頃からピアノを習っていただけあって、劇中で海を背景にして披露する姿も様になっています。

危険も魅力もいっぱい

オランダのアベル・タスマンやヘンドリック・ブラウエルに、イギリスのキャプテン・クックまで。

過去に世界各国の冒険家たちが目指した夢の国、ニュージーランドの豊かな自然や独自の文化が映し出されていきます。

19世紀には7つの海を支配する大英帝国の連邦下に入り、犯罪者の流刑地としての役割を押し付けられてしまうのがほろ苦いです。

本作でエイダ親子が到着した時分には、1849年にカリフォルニア州で端を発したゴールドラッシュが大平洋を越えたこの地にまで押し寄せていました。

盛り場ではひと山当てることを夢見てこの国へとやって来た、屈強な炭坑労働者から如何わしい山師たちでいっぱいです。

未開の土地としての危険な雰囲気ばかりではなく、フロンティアとしての無限大の可能性と魅力も伝わってきます。

海の先で待ち受けているのは

年端も行かない娘の手を握りしめて海を越えていく、エイダ・マクグラスの不安げな眼差しがオープニングを飾ります。

長い船旅がようやく終わって大地を踏みしめて、小さなテントの中で寄り添うように一夜を過ごす母と娘にほっこりさせられました。

芸術を愛するゆとりもなく、粗野で俗物的なアリスディア・スチュワートとエイダの夫婦生活が上手くいく訳はありません。

天賦の才に恵まれて情緒豊かなエイダの胸の内を理解できるのが、縁もゆかりも無い異国の地でフローラただ独りなのも心細いです。

砂浜から始まるロマンス

海岸までの道案内役を嫌々ながらも押し付けられてしまう、ジョージ・ベインズの困惑ぶりが笑いを誘います。

砂の上の演奏席に座った途端にピアニストへと変貌を遂げる、エイダの鋭い眼光とただ者ではない気配が伝わってきました。

大自然を背景にしたステージで即興リサイタルに聞き惚れる、ベインズのすっかり魅せられた表情も印象深かったです。

見違えるように活気を取り戻し始めた妻に対して、スチュワートが注いでいる疑り深そうな視線も気になりました。

水面下で渦巻く思惑と欲望

海沿いの土地が欲しいスチュワート、他人の敷地内に置き去りにされたピアノを取り戻したいエイダ、エイダの演奏が見たいジョージ。

それぞれの利害関係が複雑に入り乱れていく中で、お互いの腹を探り合いながら結ばれていく密約がスリリングです。

レッスン料として鍵盤をひとつひとつエイダに譲り渡していくジョージが、遂には一線を越えてしまう瞬間が心に残りました。

嫉妬心にとり憑かれたスチュワートが斧を振りかざしながら凶行へと駆り立てられていく姿には鬼気迫るものがあります。

こんな人におすすめ

最後までお互いへの気持ちを貫き通したベインズとエイダの生きざまと、フローラを加えた一向が流れ着いた北の町が忘れがたいです。

右手の人差し指を奪われたエイダですが、ベインズが造ってくれた義指のお陰でそれほど痛々しさはありません。

周りの人たちが余所者に対して浴びせる好奇の視線に怯むことなく、発声練習にも取り組むようになった彼女の旅立ちを応援したくなります。

血の繋がりではなくピアノのメロディーを拠り所とした3人が、家族になっていく過程を鮮やかに捉えていました。

子供の頃にピアノ教室に通っていた思い出のある方たちや、クラシック音楽に造詣の深い皆さまは是非ともご覧になって下さい。

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