バイス|動画配信情報・感想・評価・解説

バイス
2018年製作/132分/アメリカ 予告動画を検索
トラブルを起こし続け大学を去ることになったチェイニー。恋人リンのサポートもあり、徐々に私生活と素行を改めていくチェイニーだったが、とあるインターシップでの下院議員のドナルドとの出会いによって政治家を志すようになる。そして数々の問題を乗り越えたチェイニーは、遂にアメリカ合衆国副大統領の座を手にするのだった。

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キャスト・スタッフ

監督
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原作
-
出演
音楽
製作

「バイス」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「バイス」は2019年の4月5日に劇場公開されている、アダム・マッケイ監督によるヒューマンドラマです。

脚本執筆や劇団公演の他にもプロデュース業も積極的に手掛けている、多彩な映画作家の最新作です。

「マネー・ショート 華麗なる大逆転」でマッケイ監督とタッグを組んだブラッド・ピットが本作でもプロデューサーを務めています。

アカデミー賞には8部門でノミネート、ゴールデングローブ賞では主演のクリスチャン・ベールが男優賞に耀きました。

2001年から2009年までジョージ・W・ブッシュの下で副大統領を務め上げた、ひとりの大物政治家の素顔に迫っていきます。

あらすじ

名門のイェール大学への入学を果たしたディック・チェイニーは、トラブルを起こし続けた末に学校を去ることになりました。

故郷へ帰り電気工として働き始めた彼のことを、恋人のリンは見捨てません。

リンのサポートもあって徐々に私生活と素行を改めていくチェイニーは、ワシントンで開かれている若者のためのインターンシップを見学に行きます。

ここで出会ったのが、当時は共和党の中でも新進気鋭の下院議員として有名だったドナルド・ラムズフェルドです。

彼のアシスタントに抜擢されたチェイニーは、やがて自らが政治家を志すようになり下院議員選挙への出馬を決意します。

敵対勢力からの妨害工作に次女のメアリーのカミングアウト、更には自身の健康問題まで。

公私ともに不安を抱えているチェイニーでしたが次々と幸運と要職が転がり込んできて、遂にはアメリカ合衆国の副大統領の座を手にするのでした。

大統領を越える副大統領にそっくり

数々の役どころに挑んできて「カメレオン俳優」とも称えられているクリスチャン・ベールが、主人公のディック・チェイニーに成りきっていました。

大好物のカスタードデニッシュをむしゃむしゃと頬張りながら、中東への空爆攻撃を決定する場面は必見です。

コミカルな物真似に止まることなく、シリアスな表情と迫真の演技力によって政治ドラマを演出していきます。

ジョージ・W・ブッシュの役を務めている、サム・ロックウェルとの息の合った掛け合いもユーモアたっぷりです。

地盤と人脈を当然のように受け継いで父親に言われるままに大統領になったブッシュが、今度は副大統領にコントロールされていく過程に注目して下さい。

謎めいた語り部の正体は?

物語の語り手はカートという名前の男性で、この人の目線からディック・チェイニーの波乱万丈な人生が語られていきます。

カート本人は政治家の秘書としてチェイニーの近くに居る訳でもなく、彼とは血縁関係がある訳でもありません。

やたらと愛国的で中産階級に所属していて、如何にも共和党の候補者に投票してそうな典型的な白人労働者です。

今の時代に現れたのならトランプ支持者の集会に参加して、「アメリカ・ファースト」とでも叫んでいるのでしょうか。

終始一貫して傍観者の立場で崩すことのなかったカートの運命が、チェイニーの運命と交錯する瞬間が圧巻です。

陰のヒロインの魅力

チェイニー副大統領本人は言うまでもなく政財界の協力者に敵対者、更には家族までもが実名で勢揃いしています。

妻のリン・チェイニーの凛とした立ち振舞いからは、優れた判断能力と並々ならぬ意志の強さが伝わってきました。

演じているのはエイミー・アダムスで、強くて美しい妻であり母親でもある女性のイメージにはぴったり合っています。

優柔不断な夫を見放すことなく、時に優しく時には厳しい言葉を浴びせてでも引っ張っていく様子が感動的です。

今でこそ女性の政治家や社会進出が珍しくない時代ですが、1960年代当時の閉鎖的な政界の風潮も描かれていました。

ひょっとしたらリンこそが1番にアメリカの指導者に相応しいのではないかという、数多くの武勇伝には男女を問わず勇気を貰えるでしょう。

若き日の破天荒過ぎるエピソードの数々

重度のアルコール依存性気味な上に肝心の学業の方はイマイチぱっとせず、暴力沙汰を繰り返す割りには臆病で意志薄弱。

オープニングを飾る大学時代のチェイニーのエピソードには、凡そ他人から好かれるような要素は見当たりません。

せっかく苦労して入学したアイビーリーグの大学を、あっさりと放校処分に成ってしまう若き日の姿が不甲斐なかったです。

砂漠のど真ん中に立つ電柱に登る作業員のアルバイトや、飲酒運転で留置場にまで入れられてしまう逸話には圧倒されました。

そんなチェイニーに秘められた可能性をただひとり信じていた、恋人・リンの先見の明は称賛されるべきでしょう。

将来への夢も希望もなかったチェイニーは、リンにけしかけられるかのように下院議員への道のりを歩んでいきます。

守るべき3つの掟と1度は終わったはずのチェイニーの物語

無口であれ、秘密を守れ、いつ如何なる時でも忠実であれ。

この3つはアシスタント時代のチェイニーが、師匠のラムズフェルドから成功への近道として教えられた言葉です。

思わず日光東照宮の三猿でお馴染みの、「見ざる、聞かざる、言わざる」を連想してしまう方もいるかもしれません。

政治の世界に限ることなく、ビジネスや恋愛などの様々なシチュエーションに応用できるのではないでしょうか。

3つの掟を守って出世を重ねていき大統領の座を掴みかけるチェイニーでしたが、一度は娘の秘密を守るために議員を引退します。

映画の中盤にも関わらずスクリーンにはスタッフロールが流れ始めますが、騙されて席を立たないように気を付けて下さいね。

ヴァージニア州の田舎町に家族と一緒に引っ込んでいたチェイニーのもとに、意外な人物が訪ねて来ることによって映画はまだまだ終わりません。

悪運強き悪徳者

ブッシュ政権下では遂に副大統領にまで上り詰めましたが、アフガニスタンへの侵攻やイラク戦争の責任を問われることになります。

保身のために法律を都合の良いようにねじ曲げて情報操作によって切り抜けるシーンには、現政権への強い政治不信にも繋がるものがあるはずです。

30代の頃から心臓に不安を抱えて5回も手術を受けていることなど、プライベートでも何かにつけて悩みは絶えません。

幾度となく窮地に追い込まれながらも、その度に何処からか助けが舞い込んできて上手くその場を切り抜けていました。

計算高さでもなく大胆不敵さでもなく、政治家として最も必要なのはいざというときの悪運の強さなのかもしれません。

権力を掌握して多くの真実を闇に葬り去ったチェイニーが、初めてメディアの前でその胸の内を語る場面で終幕を迎えます。

こんな人におすすめ

本作の原題は「Vice」ですが、副大統領の「副」という意味の他にも「悪徳」といった意味も隠されています。

一時は「Backseat」というタイトルに決まっていましたが、本国アメリカで公開される3カ月前に急遽変更されたようです。

「Backseat」だと「目立たない地位」だとか「口出しする人」とも訳せるために、こちらの方がしっくり行くかもしれません。

果たして真の悪はチェイニーなのかラムズフェルドなのかブッシュなのか 、それとも現職のアメリカ大統領なのか。

アメリカの政治の闇に潜む魔物たちの傲慢さと滑稽さを、笑い飛ばしながらご覧になって頂きたいと思います。

ロブ・ライナー監督の「記者たち 衝撃と畏怖」を始めとする、ブッシュ政権の内幕をテーマにした作品に興味がある方にもお勧めです。

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