食べる女|動画配信情報・感想・評価・解説

食べる女
2018年製作/111分/日本 予告動画を検索
トン子は、執筆活動に励みながら古書店を経営していた。彼女は、友人や仕事の関係者に手料理を振る舞うのが何よりの楽しみである。あるとき美冬が連れてきた外国人女性マチとの共同生活によって、”美味しい”という言葉に込められた意味に気がつくのだった。

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キャスト・スタッフ

監督
脚本
原作
出演
音楽
製作

「食べる女」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「食べる女」は、2018年の9月21日に劇場公開された生野滋郎監督によるヒューマンドラマです。

基になっているのは、筒井ともみによって2018年の8月29日に新潮文庫から刊行されている、短編小説集「食べる女 決定版」。

原作者自らが企画を立ち上げて書き下ろした、オリジナルシナリオによって映像化されている作品になります。

年齢から職業、歩んできた道のりまでもがまるっきりバラバラな、8人の女性たちのバックグラウンドが深く掘り下げていくオムニバス・ストーリーです。

ベテランの鈴木京香から若手の広瀬アリスまで、世代を越えた女優さんたちの豪華な共演や、食と恋愛に纏わる多様なエピソードなど見どころ満載となっています。

あらすじ

餅月敦子(トン子)は文筆家として執筆活動に励みながら、食に関する書籍を扱っている古書店「書林 もちの木」を経営していました。

小学生時代からの親友である鴨舌美冬や、担当編集者の小麦田圭子(ドド)を招いて手作りの料理を振る舞うのが何よりもの楽しみです。

ある時に美冬が、豆乃・リサ・マチルダ(マチ)という名前の外国人女性をトン子の自宅へと連れてきます。

彼女は味覚音痴で料理が不得意なため、日本人の夫・修治から離婚を切り出されてしまい、遠く離れた故郷のアメリカにも頼ることが出来る人はいません。

美冬に半ば強引に押し切られる形で、トン子とマチのぎこちない共同生活が始まっていきます。

マチは美冬が切り盛りする小料理屋を慣れないながらも手伝っているうちに、「美味しい」という何気ない言葉に込められている本当の意味に気づくのでした。

トン子・餅月敦子/小泉今日子

原作者の筒井ともみの実生活とパーソナリティーをそのまま投影したかのような、小泉今日子が演じているヒロインの餅月敦子こと「トン子」が魅力的でした。

人生の壁にぶつかってお疲れ気味な珍客たちに、ボリューム満点のご馳走でエネルギーを分け与えていく場面にはほっこりさせられます。

調理の時に披露する華麗な包丁捌きと、締め切りに追われながらノートパソコンのキーボードを叩く冴えない表情とのコントラストも印象深かったです。

本津あかり/広瀬アリス・他

プライベートでも親交が深い鴨舌美冬役を務める鈴木京香とは、スクリーンの中でも息の合ったコンビネーションを見せていました。

行きずりの男を自宅アパートに誘い入れてしまう本津あかり役に扮している、広瀬アリスの無防備さと天真爛漫さも可愛らしかったです。

素手で手羽先をわしづかみにして貪る「ドド」こと小麦田圭子役・沢尻エリカや、お箸を器用に使いこなしてご飯・お味噌汁・煮物を掻きこむ豆乃・リサ・マチルダ役のシャーロット・ケイト・フォックスなど食事のシーンにも注目してみて下さい。

タナベ/ユースケ・サンタマリア・他

女優陣の華やかさとしたたかさに比べてみると、男性俳優たちの影は必然的に薄くなってしまうでしょう。

自分から別れを切り出しておいて妻のマチに未練たらたらな豆乃修治役の池内博之や、今どきの草食系男子・友太役を体現している小池徹平などとにかく引き立て役に徹していました。

出張先からドドを追いかけて遥々東京まで舞い戻ってしまう、中年サラリーマン・タナベ役のユースケ・サンタマリアもいい味を出しています。

人気のユニット「オレンジレンジ」のボーカルとして活躍しているRYOが、映画の中では浮気性のあるミュージシャン役で出演するなど遊び心満載です。

背景の一部の如くチョロチョロと動き回っている、トン子の飼い猫「しらたま」の名演技も見逃せません。

人と人との関わりが薄れている今の時代に

今話題の海外ドラマやハリウッド映画に出て来るヒロインのような、仕事にもロマンスにもパーフェクトなスーパーウーマンは登場することはありません。

不特定多数の男性とつかの間の情事を繰り返しながら、自分自身を「ひき肉女」と揶揄する本津あかりの拗らせ女子ぶりには笑わされました。

出版社で優秀な編集者として働いていて高級マンションで独り暮らしを送っているドドは、私生活では異性との関係性に臆病な性格で何ともじれったいです。

アメリカからやって来て日本人の男性と結婚したマチが、料理が出来ないことを理由に離婚届けを叩き付けられてしまうシーンには胸が痛みます。

それぞれが悩み傷つきながらも静かにそして強かに日々の暮らしを生き抜いていく、等身大のキャラクターとして描き出されていてすんなりと感情移入出来ました。

もちの木を次から次へと訪れるちょっぴり訳ありなお客さんに振る舞われる、手作り料理の数々が実に美味しそうです。

タチウオのムニエルのような手の込んだメニューの他、炊きたてのご飯に卵をかけただけのシンプルな一品までバリエーションも豊富でした。

映画の序盤では夫の修治に冷凍食品のピザを食べさせていたマチが、美冬との出会いやトン子のサポートを通して自分で作ったお吸い物を黙って彼に差し出すシーンが印象深かったです。

ファーストフード店で大量生産されるジャンクフード、賞味期限が切れると同時に廃棄されてしまうコンビニ弁当、スーパーマーケットで販売中のパック詰めのお惣菜に冷凍食品。

味気ない食生活にすっかり慣れっこになっている現代人への、痛烈なメッセージにはドキリとさせられます。

本作品のストーリーの舞台に設定されている、書林「もちの木」の佇まいがノスタルジーに満ち溢れていました。

東京都内の再開発事業が加速しているせいで今ではすっかり見られなくなってしまった、物干し竿と枯れ井戸が設置された縁側の風景が味わい深かったです。

エッセイストから小料理屋の女将さんに、今どきのキャリアウーマンから年若いまで。

年齢から職業にライフスタイルまでがまるっきりバラバラな女性たちが畳の上のちゃぶ台に一堂に会して、両手を合わせて「いただきます」を唱和するオープニングが微笑ましかったです。

インターネット通販全盛期にも関わらず、稀覯本を求めてお店を訪れる古書コレクターとの何気ない会話にも癒されます。

原稿を取りに来た編集者ばかりではなく、夫と別居中で行き場のない女性や猫を追いかけて迷い込んでしまった小学生の女の子まで。

家主のトン子が多くを語ることのない相手の気持ちを鋭く察して、深く詮索することなくあっさりと受け入れていく寛容性には心温まるものがありました。

単なる住居兼店舗としての役割だけでなく人と人との関わりが薄れている今の時代に、ご近所さん同士が交流を深めていく地域コミュニティの場として求められていることが伝わってきます。

料理のレパートリーを増やして人間的にも立派に成長を遂げたマチがもちの木を旅立っていく、クライマックス近くの別れの場面には名残惜しさを感じてしまいます。

その一方では幼いふたりの子供を連れた米坂ツヤコの訪れに、新たな物語が始まっていく期待感がたっぷりです。

数多くの出会いと別れを繰り返しながらも、今も何処かでひっそりともちの木のような一軒家が生き続けていることを願って止みません。

こんな人におすすめ

恋愛にもプライベートにも行き詰まりを感じてお疲れモードの、幅広い年齢層の女性の皆さんに鑑賞して頂きたい1本になっています。

男性の場合は、美しき女優たちの旺盛な食欲と自由奔放な生きざまに、ただただ圧倒されることでしょう。

食べ歩きやグルメ旅行には目がない方たちも、是非ともこの映画をご覧になってみてください。

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