ペーパー・ムーン|動画配信情報・感想・評価・解説

ペーパー・ムーン
1973年製作/102分/アメリカ 予告動画を検索
アディは、9歳のときに母親が交通事故に遭い独りぼっちになってしまう。以前に母との付き合いがあったモーゼは、アディが受け取った慰謝料に目をつける。彼女を親類へ届け、お金だけ横取りする魂胆だったモーゼも、アディと旅をするうちに微妙に心変わりしていくのだった。

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キャスト・スタッフ

監督
脚本
原作
出演
音楽
-
製作

「ペーパー・ムーン」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「ペーパー・ムーン」はピーター・ボグダノビッチ監督によって、1974年の3月9日に劇場公開されています。

もとになっているのはジョー・デヴィッド・ブラウンによって1971年に発表された、長編小説「アディ・プレイ」です。

テキサス州の田舎町で燻る高校生を主人公にした「ラスト・ショー」や、サンフランシスコの高級ホテルで4つの旅行鞄の行方を追う「おかしなおかしな大追跡」など。

青春ものからコメディードラマまでを手掛けている、1930年生まれでニューヨーク出身の映画作家がメガホンを取りました。

本国のアメリカでは3000万ドルを越える大ヒット作となり、1973年度の年間ナンバーワンの興行収入を記録しています。

母親を亡くした9歳の女の子とインチキセールスマンとの、偶然の出逢いと自由気ままな珍道中を描いたロードムービーです。

あらすじ

アディ・ロギンスは9歳になったある日のこと、母親が交通事故に遭って亡くなり独りぼっちになってしまいました。

お葬式に立ち会ってくれたのは知り合いの牧師夫妻と、以前に短期間だけ母とお付き合いをしていたことがあるモーゼ・プレイです。

他にアディの面倒を見てくれそうなのは、ミズーリ州に住んでいるという一度も会ったことのない叔母くらいしか思い付きません。

詐欺師まがいの行為を繰り返しながら生活しているモーゼは、アディが受け取った慰謝料200ドルに目をつけます。

生まれ育った町から一歩も出たことがなかったアディは、父親かもしれないモーゼとの旅にすっかり上機嫌です。

彼女をミズーリのセントジョセフまで送り届けた後にお金だけを横取りする魂胆だったモーゼも、次第に微妙な心変わりをしていくのでした。

実の親子がスクリーンに迷い込む

ヒロインのアディ・ロギンスを演じているのは1963年生まれでロサンゼルス出身の女優さん、テータム・オニールです。

クランクイン当時は若干9歳ながらもその大人びた眼差しと持ち前の演技力によって、多くの観客たちと批評家を唸らせました。

1973年にはアカデミー賞の助演女優賞に輝いていて、10歳での最年少受賞記録は40年以上たった今でも破られていません。

アディにとっては旅の道連れでもあり父親候補ともなる、モーゼ・プレイの役にライアン・オニールが扮しています。

テータム・オニールの実の父親であり彼女が4歳の時に離婚して、その3年後に元妻から引き取ったという映画顔負けの逸話があります。

本作品への出演によって一時的な成功を収めめましたが、その後はふたりともヒット作にも恵まれず波乱万丈な道のりを辿っていくのがほろ苦いです。

恐慌の時代を白黒で映す

ストーリーの時代背景は1929年にウォール街での株価大暴落から端を発した、世界大恐慌の真っ只中に設定されています。

都心部では経済的に大混乱へと包まれているはずですが、本作品のメイン舞台となるのは中西部の田舎町であるために其ほど影響はありません。

全編を通してモノクロームの映像で、撮影を担当しているラズロ・コヴァックスによって光と影のコントラストが際立っていました。

モーゼがアディの母の埋葬に立ち会うために駆け付けた時に乗っていたのは、クラシックカーというよりは骨董品に近い30年型フォードです。

途中でアディに食事をご馳走するためにドライブインの簡易食堂に立ち寄りますが、縦列駐車ではなく斜めに停めているところに注意して下さい。

当時の道路交通法では斜め駐車が義務づけられていて、細かいところまで忠実に再現されているのが面白いですね。

ペーパー・ムーンを追いかけて

オープニングで流れているのは、1930年代にミュージカルで流行った歌「イッツ・オンリー・ア・ペーパー・ムーン」です。

粗末なボール紙で作られた偽物の月を本物だと信じ込んでいる、何処までも純真無垢な少女の笑顔を思い浮かべてしまうでしょう。

作曲は500曲を越える映画のテーマ曲やジャズのスタンダードナンバーを手掛けている、ハロルド・アーレンです。

エラ・フィッツジェラルドやナット・キング・コールに代表されるような、名だたるアーティストたちによってカバーされています。

日本でもナット・キング・コールを敬愛して止まない美空ひばりによって、レクイエムとして歌われたこともありました。

近年では村上春樹のベストセラー「1Q84」の中で重要なキーワードとなっていたり、角田光代がこの曲からインスパイアされて「紙の月」というタイトルの女横領犯を主人公にした小説を執筆しています。

寄る辺の無いふたりが惹かれ合う

僅か9歳にして母親との死別を経験して孤児となってしまったアディ・ロギンスですが、不思議と悲壮感や孤独感はありません。

全てをあるがままに受け流すような潔さと、何が起ころうとも動じることのない強い意志が小さな身体やその佇まいから溢れていました。

亡き母との関係があったモーゼ・プレイの、口から出任せを並べたてるいい加減さにはあきれ果ててしまいます。

年甲斐もなくしっかり者で金勘定にはうるさいアディ、幾つになっても大人に成りきることが出来ないモーゼ。

まるっきり正反対な女の子と中年男性がひとりの女性の死を通して巡り合うことによって、不安だらけな珍道中が幕を開けていきます。

意外にも気の合うふたり

全米各地を渡り歩く聖書のセールスマンでありながら、モーゼ・プレイの神をも畏れることのないがめつさには驚かされました。

今の時代で言えばオレオレ詐欺のような違法行為や、押し掛け業者のよ悪徳商法のようなものなのでしょうか。

それ以上に抜け目がなく頭の回転が速いのが、9歳にして全てモーゼのやっていることをお見通しなアディです。

お金持ちからは遠慮なくたっぷりと巻き上げて、貧しい人たちには決して手を出さない独自の美学も伝わってきました。

いつしかモーゼにとってアディの存在は、押し付けられたやっかい者から頼り甲斐のある相棒へと変わっていきます。

近づく終着点

思いの外に子供好きなモーゼと、すっかり彼に懐いてしまったアディのふたり旅の模様が微笑ましく映りました。

世の中の流れから取り残されたような移動遊園地から、海千山千のダンサーやマネージャーがたむろするストリップ劇場まで。

道中にふたりが立ち寄ることになる忘れがたい場所や風景に、そこで次から次へと巻き起こしていく大騒ぎがユーモラスです。

カンザス州を越えてミズーリ州に入るといよいよ旅の終わりが近づいていき、名残惜しいような気持ちさえ涌いてきました。

こんな人におすすめ

果たしてアディとモーゼが本当の父と娘だったのかという疑問の答えは、最後の最後まで明かされることはありません。

あやふやな血の繋がりよりも、確かな愛情でふたりが結ばれていくようなラストシーンにはホロリとさせられました。

年頃の娘さんと上手くコミュニケーションが取れないお父さんには、是非ともご覧になって頂きたい1本です。

原作の小説は日本でも佐和誠によって翻訳されて、1977年の8月1日に早川文庫ノヴェルズから刊行されています。

映画版では描かれることのなかったモーゼの旅の続きと、大人になったアディが過去を振り返るような語り口も魅力的です。

残念ながら現在では絶版となっていますので、古本屋を気長に巡るか図書館でリクエストするかで読んでみて下さい。

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