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キャスト・スタッフ
「クローバーフィールド/HAKAISHA」をサクっと解説
ライター/ジョセフ
作品概要
「クローバーフィールド/HAKAISHA」はマット・リーヴス監督によって、2008年の1月18日に劇場公開されています。
J・J・エイブラムスがプロデューサーとして製作スタッフに加わって、自身が立ち上げたバッド・ロボット・プロダクションズによって製作されました。
85分のオリジナルシナリオを書き下ろしているのは、「LOST」の第1シーズンでエイブラムスとタッグを組んだドリュー・ゴダードです。
「暴走列車」や「ハッピィブルー」などメガホンを取ったのは、ハードアクションからロマンチックコメディまでを手掛けている映画作家がメガホンです。
ワールドプレミア上映は2008年1月ハリウッドで、日本でもパラマウント・ジャパン社の配給によって全国ロードショーされました。
順風満帆な道のりを歩んできた青年が、ある日突然に未知の巨大生命体と遭遇するパニックエンターテイメントです。
あらすじ
石油関連企業・タグアルト社に勤めているロバート・ホーキンズは、その実績が評価されて日本本社への栄転が決まりました。
仲間たちがニューヨークのマンハッタンにあるオフィスビルのワンフロを借りきって、お別れパーティーを開いてくれます。
日付けが変わるころにようやくお開きとなりますが、ロブの恋人・ベスは前もって転勤話を知らされていなかったために面白くありません。
お互いにわだかまりと残したままで彼女と別れることになったロブは、兄・ジェイソンや友人のハッドと合流します。
落ち込んだ様子の弟をジェイソンが励ましていたその時に、みんなが感じたのは大地を揺るがすほどの強い衝撃です。
建物の外に飛び出した途端にロブは信じ難い光景を目の当たりにして、ベスのもとへ大急ぎで駆け付けるのでした。
非日常に投げ込まれる俳優たち
仕事も私生活もリア充でロブの愛称で親しまれている、ロバート・ホーキンズ役にマイケル・スタール=デヴィッドを演じています。
ロブから急遽告げられた海外赴任に不満を露にする、ベスことエリザベス・マッキンタイアー役はオデット・ユーストマンです。
幸せいっぱいでパーフェクトなカップルだったころのVTRと、倦怠期へと突入したいま現在のふたりの姿を見比べてみて下さい。
ロブとベスの仲を何とか取り持とうと悪戦苦闘する、ジェイソン・ホーキンズ役にはマイク・ヴォーゲルが起用されました。
ジェイソンとは恋仲でありロブやベスとも近い将来に家族になることを考えている、リリー・フォード役をジェシカ・ルーカスが務めています。
全編を通して道化師のようでもあり撮影担当者としても重要な、ハッド役のT・J・ミラーも味のある役者さんですね。
日本では馴染みの薄い俳優や無名の新人女優が顔を揃えているために、大混乱に陥ったニューヨークの街並みに自然と溶け込んでいました。
恋人たちの思い出をオーバーライト
ロバート・ホーキンズとエリザベス・マッキンタイアーの仲睦まじい日々を記録した、プライベート映像という設定が斬新です。
手持ちのカメラのテープを上書きしながら物語が進行していくために、時おり無関係なシーンも挿入されていきます。
彼氏の海外転勤に不満を覚えながらも面と向かっては言い出せなかったベスが、カメラの前だけで吐き出す本音に注目して下さい。
当事者以外にはまるっきり興味がないであろう会話やデート、アメリカ社会や国民の未来を左右するほどの非常事態。
一方は手振れが酷く荒い画像のドキュメンタリー風で、もう一方は最先端の技術力を惜しみ無く駆使したVFXで。
対極的なふたつのストーリーが交互に映し出されていくうちに、クライマックスに向けてひとつに収斂していきます。
六者六様の逃げっぷり
主人公のロブ、ロブの彼女・ベス、ロブの兄・ジェイソン、ジェイソンの恋人・リリー、リリーの友人・マリーナ、マリーナに心寄せるハッド。
6人の目撃証言が入り乱れていく中で、それぞれの視点で切り替えながら事件の全容が少しずつ浮かび上がっていきます。
正体不明の巨大生物の全体像がなかなか見えてこないために、焦れったさを覚えてしまうのではないでしょうか。
早々とアッパーウェストサイドにある自宅へ引き揚げたベスと、マンハッタン中心部に残ったロブたちとでは微妙に生存確率が違っていきます。
ブルックリンブリッジを渡って強行突破を試みるジェイソンと、安全性の高い迂回ルートを選んだハッドとの命運もくっきりです。
個性豊かな6人の男女のうち果たして何人が生き延びることが出来るのか、予想を立てながらご覧になってください。
驚天動地の前に束の間の歓談
ロバート・ホーキンズの日本行きを祝うために、友人たちが企画した賑やかな送別会の風景がオープニングショットです。
会場に並んでいる日本酒やお寿司は美味しそうでしたが、幟の漢字が逆さまになっているのが気になりました。
ニューヨーク市内で生まれ育ったロブにとっては、遥かな大平洋の向こうにある島国はおとぎ話の世界でしかないのかもしれません。
ロブが極東の地へ旅立ったまま帰ってこないことを密かに不安視している、エリザベス・マッキンタイアーにも共感できます。
弟・ロブの複雑な胸中を察知して気配りをする兄のジェイソンや、親友のベスの悩み事を聞いてあげるリリーが微笑ましいです。
ただひとりその場の空気が読めずに、意中のマリーナにアプローチをしてはあっさりと撃沈してしまうハッドには笑わされました。
破滅へと転がり落ちていく超大国
自由の女神の頭部が路上に転がっているシーンには、往年のSF大作「猿の惑星」と重ね合わせてしまうはずです。
ひとつの国家が長い年月をかけて積み上げてきた威信と歴史でさえ、ふとしたきっかけで崩れ去っていくことを痛感しました。
怪獣抹殺のためとはいえ、地元の人たちを巻き添えにしてしまうほどの大規模な攻撃命令を下してしまう政府首脳の見解には納得いきません。
そもそも怪獣が出現した原因を作ったのは、国家による極秘軍事プロジェクトだったのではないかという陰謀説も涌いてきました。
全ての真相が闇から闇へと葬り去られようとする中で、マンハッタン全域壊滅のカウントダウンが開始されます。
思いやりとユーモアを忘れない
救助用ヘリコプターの発着場へと群衆が押し寄せてくる中でも、順番待ちを巡る乱闘シーンは用意されていません。
災害時におけるニューヨークの人たちの沈着冷静な対応と、他者への気配りを忘れることのない人間性が立派でした。
普段は鬱陶しいほど饒舌でひと言多いハッドですが、暗く落ち込んだ場の雰囲気を和ませるためにはひと役買っています。
極限状況下においても愛するベスを救出するために、自身の危険を省みることなく奔走するロブの姿も感動的です。
こんな人におすすめ
自分たちの死を覚悟した恋人たちが、最後のメッセージをカメラに向かって吹き込む場面は涙なしには見られません。
全てを破壊し尽くした爆弾投下の後に流れる、幸せだった頃のロブとベスの動画にはホロリとさせられました。
最後まで明らかにされることのないモンスターの正体と、辛うじて生き残った人物のその後の運命に思いを巡らせてしまいます。
今なお新作が発表され続けている「ゴジラ」シリーズや、大映の異色スペクタル「大魔人」など和製特撮もののファンは是非みて下さい。
みんなのレビュー
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