妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII|動画配信情報・感想・評価・解説

妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII
2018年製作/123分/日本 予告動画を検索

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キャスト・スタッフ

監督
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原作
-
出演
音楽
製作

「妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII」は、2018年の5月25日に劇場公開されているコメディードラマです。

渥美清とタッグを組んで国民的なヒット作となった「男はつらいよ」シリーズから、高倉健を主演に迎えて日本映画屈指の名作となった「幸福の黄色いハンカチ」まで。

映画界をリード続けてきたベテラン作家、山田洋次監督がメガホンを取りました。

シリーズ第1弾では熟年離婚に纏わる悲喜こもごも、第2弾では加速していく高齢化社会と無縁社会。

今回山田監督によって取り上げているテーマは、専業主婦や家事労働の大変さと夫婦のより良い関係性です。

前作に引き続いて豪華なラインアップが顔を揃えていて、タイトルデザインは横尾忠則が担当しています。

あらすじ

平田史枝は10代に入ったふたりの息子を育てながら、同居する義理の両親の身の回りの世話をしていました。

自分の趣味を楽しむ暇がなかなかない史枝でしたが、つい最近になって街中のフラミンゴ教室を見学して興味を持ち始めます。

レッスンに通いたいのは山々でしたが、彼女には自由になるお金も時間もありません。

毎月夫の幸之助が家に入れる生活費を遣り繰りして、史枝は何とかレッスン代を貯めていきます。

そんなある日のこと家に泥棒が入ったために、史枝の今までの苦労は全て水の泡です。

海外出張から帰ってきたばかりの幸之助はヘソクリのことを知って責め立てるばかりで、妻の身の安全についてはまるで心配しません。

我慢の限界に達した史枝は家を出てしまい、一家は大混乱に包まれていきます。

幸之助と史枝が夫婦の絆を取り戻せるように、平田一家は一致団結していくのでした。

名美ではなくて史枝でもヒロインとして魅力的な女優さん

家庭に縛りつけられている典型的な主婦の平田史枝を、夏川結衣が鬱屈とした眼差しを浮かべながら演じていました。

傑作ハードボイルドドラマ「夜がまた来る」では、石井隆監督によって美しく自由気ままなヒロインの土屋名美に抜擢されたのが今となっては懐かしいばかりです。

今回は「家事ロボット」のような今ひとつパッとしない役どころに徹しているいるだけに、彼女の若き日のエネルギッシュな姿を知っている世代からするとちょっぴり物足りなさもあります。

その分に映画の後半で、史枝が自転車に乗って颯爽と駆け抜けていくシーンの解放感は格別でした。

何気なく背後を流れていく銀杏が立ち並んでいる並木通りも、史枝の心境の微妙な移り変わりを重ねてあります。

第1作でも間宮憲子(演じているのは蒼井優)が夫が忘れたお弁当を届けにいく場面で、やはり自転車が登場するので見比べてみてください。

今の時代に山田洋次が描く世界

アメリカではレイチェル・ドレッツィン監督の「いろとりどりの親子」、イタリアではガブリエレ・ムッチーノ監督の「家族にサラサーテ」、韓国ではハ・ジョンウ監督の「いつか家族に」。

世界各国の映画作家たちが、血の繋がりに依存することのない新しい家族の在り方を模索しています。

そんな時代の流れに敢えて逆行するかのように、血縁関係を重視した昔ながらの家族の形が描かれているのが山田監督らしいです。

女性が当たり前のように手に職を持って働いている今の時代に、やたらと聞き分けが良い史枝のキャラクターには若い方は違和感を覚えるかもしれません。

その一方では「女性が輝く社会」という政府のプロパガンダだけが独り歩きする中で、女性も男性も見失ったものを思い出させてくれる作品でした。

ホームドラマを巧みに演出

今ではすっかり珍しくなってしまった、3世代がひとつ屋根の下で同居する平田一家の暮らしぶりが映し出されていきます。

年金暮らしの祖父母から、学生服を身に纏った中学生までが一緒にテーブルを囲んでいる風景が微笑ましかったです。

リビングでは和やかなムードで夕食を食べていますが、幸之助と史枝の夫婦部屋の空気は息苦しさを増していく一方なのが皮肉な味わいでした。

一家全員での食事が始まってから夫婦のケンカが終息するまでの一連の流れを、全て1台のカメラで追いかけてワンカットに収めてしまう大胆さが驚きです。

物干し台が設置されていて縁側に腰掛けながらおしゃべりができる、ノスタルジックな庭先も今ではなかなか見られなくなりましたね。

映画の序盤でこそ草臥れた表情を浮かべながらこの場所で洗濯物を干していた史枝ですが、クライマックス近くの同じ場面では僅かに心境の変化が伺えるはずなので見逃さないで下さい。

人生の三ツ又に直面する人たち

オープニングショットで映し出されていく、平田家の目の前を走る三ツ又の道路が印象深かったです。

3方向にどこまでも延びていく道には、平田家のそれぞれが迫られている様々な選択肢と重ね合わせてしまいました。

家を飛び出した史枝は戻ってくるのか離婚してしまうのか、ふたりの子供は父親についていくのか母親についていくのか。

息子と義理の娘に挟まれた周造も、どちらの味方につくのか悩まされることになります。

しまいには出前を取るだけで、並のうな重を注文するのか特上にするのか延々と考えてしまう優柔不断さには笑わされました。

毎日無意識のうちに無数の小さな選択を繰り返すことによって、人は人生の終着点へと向かっているのかもしれません。

お金よりも大切なもの

「厩火事」という落語を聞いたことはありませんか?もとになっているのは孔子のお屋敷の馬屋が火事に遭った時に、馬よりも弟子たちの身を心配したという中国の故事です。

江戸時代に夫の愛を確かめるために、ある女性がわざと高価な瀬戸物を落として割ってしまいます。

夫が「怪我はないか」と心配してくれたら夫婦として添い遂げる、「高かったんだぞ」と怒り出したら離婚する。

本作の冒頭で発生する空き巣騒ぎも、まさに同じシチュエーションでした。

幸之助は空き巣事件の犯人ではなく、密かにヘソクリを貯めていた妻に怒りの矛先を向けてしまいます。

緊急事態だからこそ、その人の本性が浮かび上がってくるのでしょう。

専業主婦だってつらいよ

史枝が家を出ることによって次から次へと引き起こされていく、数多くのトラブルがユーモアたっぷりです。

部屋の中は家事全般が滞ってしまいあっと言う間にしっちゃかめっちゃか、遂にはボヤ騒ぎにまで発展してしまいました。

口ばっかしでまるで頼りにならない夫の幸之助に対して、意外な家事の才能を発揮する義父・周造とのコントラストが効果覿面です。

一見すると笑いを描いているだけにも思える場面にも、日常生活における炊事洗濯の大切さが伝わってきます。

普段は労働としての対価が支払われないだけに、史枝が居なくなって初めてその大変さを噛み締めることが出来るのでしょう。

こんな人におすすめ

過去の2作品では大活躍を披露していた平田周造でしたが、本作では登場シーンも少なくて脇に回った感じは否めません。

これまでも家族のトラブルの原因はほとんど周造でしたが、今度ばかりは息子夫婦の問題であるだけに肩身が狭い思いをしていたはずです。

その分ラストは周造の鶴の才能ひと言で一件落着することになり、いざと言う時の頼り甲斐と存在感を発揮していました。

橋爪功の顔面アップで幕を閉じることになり、不思議な安心感に満ち溢れていきます。

家族関係で何かにつけて苦労されている皆さんは、是非ともこの1本をご覧になってください。

幅広い世代の方に、男女を問わずに共感できるエピソードと盛り込まれています。

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