スマホを落としただけなのに|動画配信情報・感想・評価・解説

スマホを落としただけなのに
2018年製作/116分/日本 予告動画を検索
麻美は、順風満帆な暮らしを送っていた。ある日、恋人の誠がスマートフォンを紛失したことがきっかけで、麻美の周辺には不可解な出来事が起こり始める。時を同じくして、長い黒髪の女性が山奥で発見される事件が発生。次第に誠との関係が険悪になっていく麻美に、正体不明の犯人が迫ってくるのだった。

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キャスト・スタッフ

監督
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製作
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「スマホを落としただけなのに」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「スマホを落としただけなのに」は、 2018年の11月2日に中田秀夫監督によって劇場公開されています。

元になっているのは2017年の4月に無名の新人小説家・志駕晃によって宝島社文庫から刊行されている、 30万部を突破したベストセラーミステリーです。

「リング」シリーズや「仄暗い水の底から」に代表されるホラー映画から、「終わった人」などのヒューマンドラマまで幅広いジャンルでの創作活動を続ける映画作家がメガホンを取りました。

高橋メアリージュンや千葉雄大を始めとする、 フレッシュなラインナップが顔を揃えています。

バカリズムや原田泰造にアルコ&ピースの酒井健太等、 個性派の芸人さんも熱演を披露していました。

あらすじ

稲葉麻美は商社で派遣社員として働きながら、 平穏無事な暮らしを送っていました。

恋人の富田誠とのお付き合いも順風満帆です。

しかし誠がスマートフォンを紛失したことがきっかけで、麻美の周辺には不可解な出来事が次から次へと舞い込んでいきます。

誠の浮気現場を捉えた画像の送信、 SNSアカウントの乗っ取り、麻美のプライベートを撮影した写真データの流失、 身に覚えのない高額料金の請求。

時を同じくして人里離れた山中で、 若い女性の遺体が大量に発見されました。

警察は長い黒髪の女性だけを執拗にターゲットにする、 連続殺人犯の行方を懸命に捜査していきます。

次第に誠との関係性が険悪になっていく麻美に、正体不明の犯人の魔の手が迫りくるのでした。

人気俳優のふたりを起用してロマンスと恐怖を描く

得体の知れない恐怖感に追い詰められていく主人公、 稲葉麻美を演じているのは北川景子です。

さらさらとしたストレートヘアと凛とした表情が、原作に描かれていたヒロインのイメージにピッタリとはまっていました。

本作品が公開された2018年には石井岳龍監督の破天荒ストーリー「パンク侍、斬られて候」での謎めいた美女ろんから、月川翔監督の青春ドラマ「響-HIBIKI-」での実直な編集者まで幅広い役どころにチャレンジしています。

麻美を最もよく知る恋人、富田誠には田中圭が扮していました。

年下の彼女に振り回されてしまう優柔不断さや、全編を通してついうっかり的な行動が目立ちます。

1度は壊れていくふたりの関係性の、修復過程にも注目して下さい。

タイムリーな話題に造詣の深いキャラクター

インターネット上で巻き起こるトラブルに対するユーザーの不安をいち早く察知して、セキュリティ対策を巧みにビジネスにしてしまう専門家が実に商魂たくましいです。

IT業界から警察組織へと要領よく転職する新人刑事など、如何にもありそうな話で納得できました。

闇金からの借金返済に追い詰められていた女性が一線を超えてしまうシーンには、単純な善悪二元論では片付けることが出来ないものがあります。

幼い頃に母親からの虐待を受けていた子供が、大人になって罪を犯してしまう負の連鎖が何とも後味が悪いです。

社会的なテーマが盛り込まれているストーリーばかりではなく、キャラクターのバックグラウンドまで今の時代を上手く捉えてつつ作り込まれています。

容疑者をリストアップして自分なりの推理を組み立てる面白さ

麻美の周りを彩るひと癖もふた癖もある人間模様から、紛失したスマートフォンと連続殺人事件との関連性への疑惑が高まっていきます。

そもそもの元凶を作った麻美の恋人・富田がスマホを落としたのは、果たして過失なのかそれとも故意なのか?

麻美の同僚・杉本加奈子が、なぜあんなにも執拗にSNSを再開することを薦めていたのか?

大学時代の憧れの先輩であり今現在ではエリート商社マンとして成功を収めている、武井雄哉との再会は本当に偶然なのか?

ITセキュリティーの専門家・浦野善治に、全てを委ねても安心なのか?

疑い始めるときりがなく、どの人物も怪しく思えてくるはずです。

張り巡らされた伏線に気を付けつつ、自分が名探偵や腕利き刑事になったつもりで犯人捜しをしてみて下さい。

ホラー映画の巨匠最も怖れるものとは

数多くの超常現象や悪霊を描いてきた中田監督が、敢えて生身の人間と最先端のテクノロジーが引き起こしていく恐怖をテーマにしているのが味わい深かったです。

一般の人たちが一瞬で有名人になることが出来る、 SNS時代に潜む危険性を鋭く浮き彫りにしていました。

確かに世界中の何処に居ても誰とでも繋がることが出来る、その利便性には目を見張るものがあります。

その一方ではお互いが匿名性の高い存在へと変わっていき、得体の知れない誰かと深く関わっているような違和感も多くの人が抱いているはずです。

呪いよりもサイバー犯罪も人間の欲望の方がたちが悪いのは、いつの時代も同じなのかもしれません。

仮想空間の友達と生身の友達との違い

ヒロインの麻美のパーソナリティーについて最も詳しいのが、 家族でもなく彼氏でもないスマートフォンなのが何とも皮肉でした。

会社の同僚に誘われるままにソーシャルブックに入った麻美のもとには、次から次へと友達申請が舞い込んできます。

何とはなしにリクエスト承認した途端に、執拗なほどのメッセージが送られてくるシーンが印象深かったです。

無機質なディスプレイを通したやり取りからは、誰しもがストーカーになり得る危険性が伝わってきました。

麻美にとって本当の意味で友達と言えるたったひとりの女性が、大学卒業後にルームシェアをしていた山本美奈代という女性です。

同じ空間で同じ空気を吸って生活することこそが、心からの信頼関係を築く唯一無二の方法なのでしょうか。

使い方ひとつで不幸にも幸せにもなる

思い出が詰まった写真や他人に見せることが憚れるような動画、 親しい人のアドレスや交友関係、 クレジットカードの番号から購入履歴。

大切なプライバシーの全てをたった1台の端末に入力して当たり前のように持ち歩いている、現代人の無防備さについても考えさせられました。

ハッキングの手口は進化する一方でウイルス対策もいたちごっこ、組織化する振り込め詐欺にスキミングも巧妙化している今の時代だからこそどんなに用心してもし過ぎることはないでしょう。

その一方では映画の序盤で麻美が呟く、「スマホは宝箱」というセリフにはほろりとさせられます。

ルールに基づいた使い方を心掛けて相手の気持ちを尊重しさえすれば、手のひらサイズの無機質な機械で人と人との心を繋ぐことが出来るはずです。

こんな人におすすめ

落とし物を拾った犯人の正体以上に、ヒロインがひた隠しにしている思わぬ過去が明かされていく終盤での告白が衝撃的でした。

宮部みゆきの「火車」、更にさかのぼると松本清張の「ゼロの焦点」などの推理小説の名作を思い浮かべてしまいます。

果たして自分の身近にいる1番大切な人のことを、どれほど理解しているのか考えさせられるはずです。

犯人の逮捕と謎解きだけで安易なハッピーエンドとなることなく、新たな事件の始まりを告げるかのようなクライマックスが何とも不気味でした。

片時もスマートフォンを手放すことが出来ない、 若い世代の皆さんは是非ともご覧になって下さい。

いまだに頑固にガラケー携帯を使用している方たちは、この映画を観た途端に機種変更をためらってしまうかもしれません。

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