死の谷間|動画配信情報・感想・評価・解説

死の谷間
2015年製作/98分/アイスランド・スイス・アメリカ合作 予告動画を検索

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製作

「死の谷間」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「死の谷間」は2018年の6月23日に劇場公開されている、クレイグ・ゾベル監督によるSFアドベンチャーです。

2012年に製作された「コンプライアンス 服従の心理」のようなサスペンス映画から、2013年発表の爽やかなハートフルコメディー「セルフィッシュ・サマー」まで。

プロデューサーや脚本家としても創作活動を続けている、1975年生まれニューヨーク出身の映画作家がメガホンを取りました。

アメリカの小説家ロバート・C・オブライエンによって1974年に発表された、「Z FOR ZACHARIAH」が映像化されました。

日本でも1985年の7月に評論社から、越智道雄の翻訳によって「死の影の谷間」のタイトルで刊行されています。

壮絶な核汚染を生き延びたひとりの女性と、ふたりの男性との遭遇とスリリングな関係性を描き出していく作品です。

あらすじ

人里離れた農場で家族と一緒に暮らしていたアン・バーデンは、ある日地面が揺れるほどの強い衝撃を感じました。

途端にラジオ放送が途絶えて電話も通じなくなったために、アンの父親は母と弟だけを連れて様子を見に行きます。

一家の名前を取ってバーデン・ヒルと呼ばれている谷間を越えたっきり、父たちが帰って来ることはありません。

アンは自給自足の生活で何とか生き延びていたアンは、ある日のこと対放射線スーツで重装備して付近を歩き回っていたジョン・ルーミスを目撃します。

核兵器の暴発によって人類は滅亡してしまいましたが、四方八方を山に囲まれているこの谷だけは死の灰の影響がないようです。

力を合わせて数々の苦境を乗り越えていくアンとルーミスでしたが、第3の人物の登場によって思わぬ悲劇が訪れるのでした。

緊迫感溢れる三角関係を演出する3人の俳優たちの熱演

過酷な運命に健気にも立ち向かっていくアン・バーデンを、言葉少なに演じているのはマーゴット・ロビーです。

防護衣を装着してショットガンを構えた姿には、「スーサイドスクワッド」に登場するハーレイ・クインと重ねてしまいますね。

付着した放射能を洗い流すためにホースで頭から水を浴びるシーンもあり、体当たりの演技も披露していました。

映画の序盤こそ彼女の一人芝居ですが、ジョン・ルーミス役のキウェテル・イジョフォーの出現によって雲行きが怪しくなります。

原作には登場しない映画版のオリジナルキャラクター、ケイレブに扮しているクリス・パインもミステリアスです。

主人公の両隣りに対照的なルックスのふたりの俳優を配置することによって、程よいバランスと緊張感が生まれていました。

極限状況下でのサバイバル生活

地域コミュニティーも国家も国際救助部隊もなく、食料品も飲料水も医薬品もなく、電気もガスも水道もなく。

絶望的な生存条件にも屈することなく、必死になって生き抜こうとするアンのひたむきな姿には胸を打たれました。

継ぎ接ぎだらけのジーンズを履いて迷彩色のミリタリージャケットを身に纏った、ワイルドなファッションで縦横無尽に駆け回っていきます。

目深に被ったキャップからはみ出している、ポニーテールに結った髪の毛が風に揺れているのが妙に色っぽいです。

山の中に落ちている何の変哲もない木の枝や植物のツルから、水車を手作りしてしまう器用さに驚かされました。

組み立てた水車を自家発電に利用してしまう彼女の創造的な逞しさは、究極のDIYでもありエコロジストと言えるでしょう。

死の影を光照らし出すロマンス

閉ざされた空間の中で3人の男女だけで共同生活を送っていれば、何も事件が起こらないないはずはありません。

ひとりは頭でっかちでな中年の草食系研究者、もうひとりは若くてスタイルにも恵まれているハンサムな男性。

年若く他に頼りになる相手もいないヒロインが、どちらをパートナーに選ぶのかは言わずもがなのことでしょう。

遂には一線を越えてしまった後にも、何事も無かったかのように3人で暮らし続けていく図太さには驚かされるはずです。

すっかり親密なムード満点になったアンとケイレブからすると、単なるロマンスの橋渡しでしかないルーミスの冴えない役回りが気の毒でなりません。

全編を通して美味しいところを持っていったケイレブにも、クライマックスでは予想外の落とし穴が待ち受けています。

今まさに迫りくる危機

人間は疎か動く動物さえ消え失せた、荒れ果てた風景が映し出されていくオープニングショットが衝撃的です。

原作の小説が執筆されたのは1970年代で、著者は冷戦時代におけるアメリカとソ連との核戦争を憂えていたのでしょうか。

1980年代に入ると翻訳されたものを日本でも読めるようになり、それと同時にチェルノブイリやスリーマイル島でのメルトダウンが発生します。

原作者が若くして亡くなってからから40年以上の時を越えて実写化されることになった、その意味について思いを巡らせてしまいました。

2011年の福島の事故以後も国内では原子力発電所が依然として稼働していて、近隣諸国からの核ミサイル飛来の恐怖に怯える我々にとっても夢物語ではありません。

信仰心が勝つか科学が勝つか

アンと愛犬ファロとの余計なものがないシンプルな暮らしぶりには、物資的な欲望から解放された修道女のようなストイックさがありました。

廃墟と化した教会の中で見つけた古ぼけたオルガンを、アンが何気なく奏でるシーンは神秘的なムードがたっぷりです。

敬虔なキリスト教徒であるアンと科学の申し子のようなエンジニアのルーミスが、たびたび衝突を繰り返すのは当然でしょう。

無神論者であるルーミスでさえ、終盤でトラブルを起こして窮地に追い込まれたには神に助けを求めてしまいます。

原子力という神をも恐れぬエネルギーを手に入れてしまった人間たちへの、何者かが与えた試練なのかもしれません。

エデンからの脱出

地球上で最後に生き残った男女からは、神々の楽園を追放されたアダムとイヴを思い浮かべてしまうかもしれません。

バーデン・ヒルの南方には、一切の文明を否定して生きていたアーミッシュの跡地が残されているのも意味深です。

最後まで自らの過去について多くを語ることなくこのエデンを去っていく、ケイレブの後ろ姿には忘れ難いものがありました。

政府の研究所を抜け出して独りで旅を続けているというルーミスも、決してアンには打ち明けることが出来ない大きな秘密を抱えています。

果たしてこの秘密をアンが受け入れて、ルーミスとふたりっきりで生きていくことが出来るのかは大いに疑問です。

こんな人におすすめ

人類の滅亡を壮大なスケールで描きながらも、谷から一歩も外に出ることなく物語を纏め上げているのが斬新でした。

陰惨な雰囲気が漂い重いテーマを扱った近未来のSFでありながら、舞台劇のような設定もあり心理サスペンスの気分でも楽しめます。

イギリスのレイモンド・ブリッグズによる「風が吹くとき」から、チェコのグードルン・パウゼヴァングによる「最後の子どもたち」まで。

古今東西の核戦争の脅威を扱ったディストピア小説に造詣の深い方たちは、是非ともこの映画をご覧になってください。

最悪の未来予想図を目の当たりにすることによって、今自分が何を実行に移すべきなのか考えさせられるはずです。

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