チャーチル ノルマンディーの決断|動画配信情報・感想・評価・解説

チャーチル ノルマンディーの決断
2017年製作/105分/イギリス 予告動画を検索
1940年のダンケルクの戦いから4年後、チャーチル首相は大きな局面に立たされている。政権内部や軍関係者からの圧力が増す中、妻ともすれ違い始める。極限状況下での孤独に押しつぶされそうになりながらも、チャーチルはリーダーとしての責任に向き合っていくのだった。

動画配信

U-NEXT(ユーネクスト) U-NEXTで検索
31日間無料

TSUTAYA TV(ツタヤTV) TSUTAYA TVで検索
30日間無料

キャスト・スタッフ

監督
脚本
原作
-
出演
音楽
製作

「チャーチル ノルマンディーの決断」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「チャーチル ノルマンディーの決断」はジョナサン・テプリツキー監督によって、2018年の8月18日に劇場公開されています。

一度は足を洗いながらも再び悪事に手を染めていく強盗の顛末を追う「ゲティン’ スクエア」や、イギリス人将校と日本人通訳の数奇な運命を描いた「レイルウェイ 運命の旅路」等。

メガホンを取ったのはクライムエンターテイメントからシリアスな歴史物まで手掛ける、オーストラリアの映画作家です。

脚本家のアレックス・フォン・チュンゼルマンが史実にドラマを織り交ぜながら、オリジナルシナリオを書き下ろしました。

映画音楽やビデオゲームの効果音を手掛けている、スコットランドの作曲家ローン・バルフがサウンドトラックを手掛けています。

泥沼化していた第二次世界大戦の戦局に決定打を与えた、英国首相ウィンストン・チャーチルを主人公にした伝記ドラマです。

あらすじ

1940年のダンケルクの戦いから4年後、イギリスのウィンストン・チャーチル首相は再び重大な局面に立たされていました。

連合軍の総司令官を務めているドワイト・アイゼンハウアーとは、見解の相違からことあるごとに対立を深めていきます。

北西ヨーロッパの大部分を支配しているナチスドイツに対して、アイゼンハウアーは武力行使も辞さない構えです。

先の大戦において多大なイギリス兵の犠牲を招いた、ほろ苦い記憶をチャーチルは忘れることは出来ません。

政権内部や軍の関係者からの圧力が増していく中で、唯一の味方だった妻のクレメンティーンともすれ違いが多くなっていきます。

極限状況下での孤独に押し潰されそうになりながらも、チャーチルはリーダーとしての責任に向き合っていくのでした。

チャーチル夫妻に成りきるふたりの名優

一国の運命を託された指導者でありひとりの悩める人間でもある、ウィンストン・チャーチル役にブライアン・コックスが挑んでいます。

マイケル・マン監督の「刑事グラハム/凍りついた欲望」ではハンニバル・レクター博士に抜擢されるなど、悪役のイメージが強いです。

顔に深く刻まれてシワには何とも言えない凄みがあり、絶頂期のチャーチルではなく衰退期を演じるにはピッタリな役者さんですね。

ロンドンの演劇学校の卒業生でもありローレンス・オリヴィエ賞の受賞者でもあることから、ひとり舞台を見ている気分になってしまいます。

ゲイリー・オールドマンとは違って一切特殊メイクを使っていないところに、この俳優さん独自の美学を感じました。

クレメンティーン・チャーチルに扮しているミランダ・リチャードソンも、インパクトがある女優さんです。

ブロンドの髪の毛を靡かせながら悠然と歩く後ろ姿が美しく、夫を上回るほどの秘めたるエネルギーを漂わせていました。

濃密な時間の中に生きる訳ありな人々

僅か96時間の時間の流れの中に、世界のその後の運命を決定づけた数多くの人たちの思いが込められていました。

連合軍の総司令には後に「アイク」の愛称で親しまれたアメリカ大統領、ドワイト・アイゼンハウアーの姿も見受けられます。

ノルマンディー上陸作戦が近づくにつれて徐々に広がっていく、ふたりの間の微妙な距離感に注目して見てください。

当時のイギリス国王ジョージ6世も会議に列席していますが、「君臨すれども統治せず」の原則に従って発言はしません。

個人的にはチャーチルと親しい間柄であるだけに、立場上は口には出すことの出来ない彼への同情が溢れていました。

妻と秘書には無条件降伏

意外なほど優柔不断なチャーチルに対して時に励まし、時には厳しい言葉を投げ掛けるのが妻のクレメンティーンです。

ぼやきばかりで煮え切らない態度の夫に対して、遂には平手打ちめで食らわせてしまうシーンには驚かされました。

お酒と葉巻の消費量が増えていく一方な夫の健康状態を密かに気遣っている、心優しい一面も持ち合わせています。

迷い続けていたチャーチルをたったひと言でその気にさせてしまうほど勝気な性格で、「影の首相」と言っても過言ではありません。

八つ当たりばかりされている新入り秘書のヘレン・ギャレットも、最後の最後でチャーチルに発破を掛けます。

身近な人たちの幸せと平和を願う女性たちの聡明さと、戦争に明け暮れる男たちの愚かさとのコントラストがくっきりです。

繰り返される過ち

オープニングショットから映し出されていくのは、無惨にも浜辺へと打ち寄せられた名も無き兵士たちの遺体です。

第一次世界大戦で50万人もの若者たちの人命が失われた、「ガリポリ上陸作戦」の大敗には胸が痛みました。

過去の失敗に捉われ続けたままで未だに抜け出すことが出来ない、チャーチルの苦悩に想いを巡らせてしまいます。

時おり挿入されていくスコットランドの豊かな自然の風景だけが、殺伐としてムードを和らげる清涼剤として効果抜群です。

チャーチルの切実な願いと決死の抗議も受け入れられることはなく、無謀な突撃作戦の準備は着々と進行していきます。

迷い続ける男

アルコールの量が増えていき葉巻が手放せなくなるなど、思いの外依存性気味な性格を垣間見ることが出来ました。

たまたま秘書として採用されたばかりのヘレン・ギャレットからすると、喜怒哀楽の波が激しく口うるさい老人でしかありません。

夕食の最中に突如として溜まっていたうっぷんを爆発させる駄々っ子ぶりには、あきれ果ててしまいます。

周りの人たちからは次第に厄介者扱いをされていき、精神的にもバランスを失っていく様子がリアリティーたっぷりです。

そんなチャーチルが再び威厳を取り戻すことが出来たのは、愛する妻・クレメンティーンの後押しがあったからでした。

史上最大の作戦へ至る紆余曲折とした道のり

70年以上の歳月を経たいま現在でも「史上最大の作戦」と褒め称えられて色褪せることのない、あのノルマンディーへと至るまでの舞台裏には驚かされました。

指揮官なのに現地にいないアイゼンハウアー、作戦決行に不満たらたらで悪天候を密かに祈り続けているチャーチル。

秘書・ギャレットが黙々と叩くタイプライターが奏でる音が、チャーチルを鼓舞する軍楽隊ようで印象深かったです。

それぞれの思惑があっさりと裏切られて、当日の晴れ渡った青い空の色が何とも皮肉なほどの鮮やかさでした。

国の舵取りを任された者として絶体絶命の崖っぷちに立たされていたチャーチルが、紛れもない勝利者となった瞬間でもあります。

こんな人におすすめ

あの歴史的に有名な演説の草稿を完成へと漕ぎ着けるまでの、多大なる苦労話と知られざる数々のエピソードが興味深かったです。

再び戦争へと逆戻りしていくかのような今の世界の流れへの、痛烈な批判と確かなメッセージも伝わってきました。

首相就任当初のチャーチルについて関心がある皆さんは、ジョー・ライト監督の「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」を見て下さい。

類まれな政治家としての功績ばかりではなく意外にも文才にも恵まれているチャーチルは、1953年にはノーベル文学賞にも輝いています。

戦記文学やノンフィクション書籍がお好きな読書家には、中央公論新社から刊行されている「第二次大戦回顧録」がお勧めです。

みんなのレビュー

【投稿されたコメントをシェア】
秀逸なコメントをSNSに投稿して
チャーチル ノルマンディーの決断」を
布教しちゃってください!
【コメント募集中】
チャーチル ノルマンディーの決断」の
おすすめのポイントを
自由に紹介してください!