コレット|動画配信情報・感想・評価・解説

コレット
2018年製作/111分/イギリス・アメリカ合作 予告動画を検索
偶然、地方を訪れていた自称作家・ウィリーに心惹かれたコレットは、反対する両親を振り切ってパリでウィリーと結ばれる。小説家としてもてはやされていたウィリーだったが、実際は同業者に代筆させている。そんなウィリーは、いち早くコレットの才能に気が付き、自伝作家として利用していくが…。

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原作
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音楽
製作

「コレット」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「コレット」はウォッシュ・ウェストモアランド監督によって、2019年の5月17日に劇場公開されているヒューマンドラマです。

若年性アルツハイマー病を真正面から取り上げた「アリスのままで」や、往年のハリウッドスターの老いらくの恋をテーマにした「ラスト・スキャンダル」など。

メガホンを取ったのは社会派ドラマからラブストーリーまでを手掛けている、1966年生まれでイギリス出身の映画作家です。

2017年イギリスのオックスフォード州での主要撮影を皮切りに、ハンガリー・ブダペストでの海外ロケも敢行されました。

フランスを代表する女流作家シドニー=ガブリエル・コレットの生きざまと、彼女の取り巻く人間模様を描いていきます。

あらすじ

ジュールとシドの間に生まれた娘はコレットと名付けられて、ブルゴーニュ地方の田舎町で暮らしていました。

ある時にこの地方に滞在していた自称・作家のウィリーに、世間知らずなコレットはたちまち心惹かれていきます。

やがてウィリーはパリへと帰っていきますが、コレットは彼への気持ちと都会への憧れを忘れることが出来ません。

反対する両親を振り切って家出同然で実家を飛び出したたコレットが、パリでウィリーとの結婚したのは1893年のことです。

ウィリーは社交界でこそ新進気鋭の小説家としてもて囃されていましたが、実際のところは複数の同業者に代筆させています。

目敏いウィリーは妻の才能に直ぐに気が付いて自伝作家として利用していきますが、コレットは愛と自由を求めて反撃を決意するのでした。

文芸ロマンを地で行く俳優たち

美しくも波乱に満ちた生涯を駆け抜けていく情熱的な作家・コレットに、キーラ・ナイトレイが情感たっぷりに成りきっています。

ジェーン・オースティンの小説をもとにした「プライドと偏見」に、カズオ・イシグロ原作の「わたしを離さないで」。

彼女はデビューしたての頃から名立たる名監督から文芸ドラマのヒロインに抜擢されているだけに、本作品との相性もバッチリですね。

コレットとは愛憎半ばする夫婦関係で結ばれていく、ウィリーの役に扮しているのはドミニク・ウェストです。

コレットとウィリーの目の前に現れてふたりを翻弄していく、ジョージー・ラオール=デュヴァルも気になります。

演じているのはエレノア・トムリンソンで、アガサ・クリスティやP・D・ジェームズなど推理小説の実写化には欠かせません。

今作でも持ち味となるミステリアスな雰囲気を遺憾なく発揮しながら、物語のキーパーソンとして存分に存在感を放っていました。

クロディーヌによって因習の鎖から解き放たれる

物語の時代背景は19世紀後半のフランスに当たり、現代とは違って女性の地位向上やマイノリティへの理解は進んでいません。

そんな中でコレットが考え出したのが、「クロディーヌ」という何者にも囚われることなく自由気ままに生きるヒロインです。

クロディーヌ・シリーズはたちまち大ヒットとなり、出版業界だけで止まることなくなく舞台でも上映されるようになります。

ついには原作者自身が女優にチャレンジして、ステージにたって芸能界デビューしてしまうほどの貪欲さです。

クロディーヌが当時の若い女性たちに与えた衝撃は、ファッションやヘアスタイルなど外見的な要素だけではありません。

お堅い批評家が眉をひそめる中でも、女性の自由恋愛やライフスタイルの変化にまで多大なる影響を及ぼしています。

自分が創ったはずのクロディーヌから、コレット自身がエネルギーや勇気を貰っていく様子にも注目して下さい。

彼女が流した浮き名は数知れない

若干20歳にして15歳も年長の男性と結ばれたコレットでしたが、幸せな結婚生活はそれほど長くは続きません。

ブルゴーニュ出身の田舎娘が、異性との交遊が派手なパリジャンの妻となること自体が無理があるのでしょう。

その一方では良妻賢母が何よりも求められていたこの時代に、開かれた夫婦の在り方を求めているコレットには先見性がありました。

結婚間もなくウィリーがジョージー・ラオール=デュヴァルと不適切な関係に陥りながらも、コレットは夫の浮気を受け入れてします。

それどころかコレットの方がジョージーに夢中になってしまうという、思わぬ展開には驚かされました。

性同一性障がいや性的マイノリティーを始めとするタイムリーな問題も、分かりやすく取り上げられています。

お見合い結婚や婚姻届けに縛られることのない、様々なカップルや同性パートナーの関係について考えるきっかけになる作品です。

憧れのパリへと繰り出す

刺激のない毎日に不満を抱いている、ヒロイン・コレットの横顔がオープニングショットから映し出されていきます。

映画序盤の舞台となるフランス東部の田舎町、サン・ソーブルの豊かな自然に囲まれた街並みが長閑で美しいです。

中盤以降はパリへと物語の舞台が移行していきますが、世紀末ならではの退廃的かつ享楽的なムードが伝わってきました。

誰よりも純真無垢だった少女が世間ずれした大人の女性へと変わってしまうような、一抹の寂しさも覚えてしまいます。

顔のない小説家としての苦悩

類いまれな文才を宿しながらも、ゴーストライターとしてしか執筆活動を続けることが出来ないコレットが気の毒です。

女性が自分の名前ひとつで作品を文壇に発表するためには、数多くのハードルを乗り越えなければなりません。

ウィリーが偽りの名声とキャリアを積み重ねていくうちに、いつの間にか共犯者にさせられているのがほろ苦いです。

プライドだけは高いウィリーによって、半ば缶詰め状態で執筆を強要されてしまうシーンには胸が痛みました。

この不平等な契約を解消してパワーバランスを一気に逆転させるために、コレットは自作の舞台化を思いつきます。

実体験を創作に活かす

「事実は小説より奇なり」とは19世紀イギリスの詩人ジョージ・バイロンの名言ですが、正にコレットの数奇な運命に当てはまります。

ドラマチックな出来事ばかりではなく、夫の裏切り行為や自らの不貞でさえ創作活動のネタにしてしまうほどの強かさです。

そんなドロドロの愁嘆場を繰り返しながらも、コレットからもウィリーからもなかなか離婚を切り出しません。

子宝に恵まれないコレットとウィリーにとっては、ふたりで世に送り出す小説こそが子供のような存在なのでしょうか。

傷つけ合いながらも何処かピュアなふたりの絆と共に、クライマックスで別々の道のりを歩んでいくふたりの姿にホロリとさせられました。

こんな人におすすめ

名前と自由を奪われ続けてきたコレットが、初めて陽の当たる場所へと飛び出していくようなラストの開放感が清々しかったです。

「フランケンシュタイン」の産みの親として有名なメアリー・シェリーも、19世紀ヴィクトリア朝の抑圧的な慣習には苦しめられました。

日本で言えば数多くのスキャンダルにまみれながらも「生きて、書いて、愛して」を貫き通した、瀬戸内晴美を彷彿とさせるものがあります。

アルレット・グレベルの「海は愛もなく冷たく」から、フランソワーズ・サガンの「悲しみよこんにちは」まで。

新しい女性像を切り開いたフランス文学に造詣が深い読書家の皆さんは、是非ともこの1本をご覧になってください。

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