オーケストラ・クラス|動画配信情報・感想・評価・解説

オーケストラ・クラス
2017年製作/102分/フランス 予告動画を検索
プロのバイオリニストとして活躍したシモンだったが近年は仕事に恵まれない。コネを生かして小学校の音楽教師として働くことになるが、生徒たちは楽器にすら触ったことのない子供たちばかりですっかりやる気を失ってしまう。そんなシモンを変えるきっかけとなったのは、天賦の才を持った一人の少年だった。

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キャスト・スタッフ

監督
脚本
原作
-
出演
音楽
製作

「オーケストラ・クラス」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「オーケストラ・クラス」は2018年の8月18日に劇場公開されている、ラシド・ハミ監督によるヒューマンドラマです。

寄宿学校で合唱を通じた交流をテーマにした「コーラス」や、戦争と不況に揺れ動くミュージック・ホールの再建を描く「幸せはシャンソニア劇場から」等。

数多くの音楽ドラマを手掛けてきた名プロデューサー、ニコラ・モヴェルネが製作総指揮を執っています。

第74回のヴェネチア国際映画祭では、特別招待作品として上映された注目作です。

一度はバイオリンを諦めた教師と、落ちこぼれの烙印を押された生徒とたちとのめぐり逢いを描いていきます。

あらすじ

プロのバイオリニストとして長年に渡って活動してきたシモン・ダウドでしたが、近頃では仕事に恵まれていません。

国の教育プログラムに携わっている地元の楽団とのコネを活かして、小学校の音楽教師の職を回してもらいました。

出勤初日にシモンが校長室まで挨拶に顔を出すと、6年生のクラスを担任しているブラヒミ先生を紹介されます。

オーケストラクラスの指導者として招かれたシモンですが、生徒たちは演奏に関する知識はおろか楽器に触ったこともありません。

初日からすっかりやる気を失くしてしまったシモンでしたが、嫌々ながらも今学期いっぱいまでは続けるつもりです。

そんなシモンを変えるきっかけになったのは天賦の才を秘めたひとりの少年との出会いで、 忘れかけていた昔の情熱を取り戻していくのでした。

俳優たちのアンサンブルが絶妙

主人公のシモン・ダウドを演じているのは、1964年生まれでアルジェリア出身の俳優さん・カド・メラッドです。

プライベートでは妻と離婚して、娘との関係性に思い悩んでいる中年男性特有の悲哀を巧みに表現していました。

外見的には仕事にあぶれた冴えない音楽教師にしか見えませんが、ひと度バイオリンを構えた時の豹変ぶりが格好いいです。

シモンによってその才能を見出だされて熱い師弟関係で結ばれていく、アーノルドの役にアルフレッド・ルネリーが扮しています。

演技経験がまるっきりない中でオーディションによって大抜擢されてという逸話は、まさに劇中のアーノルドそのままですね。

6年生の担任・ファリド・ブラヒミの役にキャスティングされている、サミール・ゲスミもいい味を出しています。

破天荒過ぎるシモンとお堅い学校側や校長先生との、緩衝材としての役どころに徹しているのが良かったです。

子供たちの夢を全力で応援

実際にフランスで行われている、「デモス」と名付けられた音楽と教育を巧みに取り入れたプロジェクトが興味深いです。

世界的な管弦楽団・フィルハーモニー・ド・パリが地元の小学校の授業に協力するのは、如何にもフランスらしいですね。

経済的な事情でレッスンを断念した子供たちが、無償の楽器貸し出しサービスを利用できたりプロの音楽家から直接指導を受けることができます。

地域コミュニティと協力したチャリティーイベントや演奏会に代表されるような、地道な取り組みには感心させられるはずです。

単に演奏テクニックや歌唱力をアップさせる効果ばかりではなく、情操教育としての役割も期待されています。

校内には防音工事が施された音楽室まで用意されていて、何よりも芸術を愛する国民性を垣間見ることができました。

パリの街並みと行き交う人々の多様性に目を奪われる

ストーリーの舞台に設定されている小さな小学校があるのは、パリ市内の北東部に位置する特別行政区・19区です。

区内の南側を流れているのはセーヌ川で、サン・マルタン運河やビュット=ショーモン公園などの自然に恵まれています。

テーマパークと見紛うほど斬新なデザインのコンサート施設や、珍しい楽器のコレクションが展示されている音楽博物館などの施設も充実していました。

華やかな劇場や有名な観光スポットが立ち並んでいる直ぐ側には、移民や低所得専用の居住地区が設けられているのがほろ苦いです。

学校に通うのは地元のパリっ子だけではなくアジア系からアフリカ系までと実に多様性に満ちあふれています。

時には生徒同士による些細ないさかいが巻き起こってしまったり、衝突を繰り返してしまうのは致し方ありません。

異質な存在として彼らを排除するのではなく、如何にしてお互いの違いを乗り越えて受け入れていくのか考えさせられるはずです。

前途多難な船出

子供たちの登校を窓際に座り込んでじっと見守っている、ひとりの先生の後ろ姿から本作品は幕を開けていきます。

新任のシモン・ダウドが教壇の前に立っても生徒たちは好き勝手に振る舞っていて、一向に静まる気配はありません。

ベートーベンの交響曲第5番の「運命」を、「ジャジャジャジャーン」のひと言で片付けてしまう最前列の生徒には笑わされました。

知っている音楽家の名前と言えばセリーヌ・ディオンくらいで、自分の席で大人しく座っていることさえ難しいです。

こんな今時の小学生を、パリのメインホールのステージまで連れていくことが出来るのか不安になってしまいます。

良く遊び良く学べ

シモンが授業時間になると生徒たちの前で繰り返し口にしている、「Play」というフレーズが印象深かったです。

「楽器を演奏しろ」というそのままの解釈も出来ますし、「遊べ」というような別の意味も汲み取ることが出来ました。

正しい解答や世間一般の常識に捉われることなく、自主性と創造性を重んじるフランスの教育現場を垣間見ることが出来ます。

楽譜の読み方から演奏方法までの知識を詰め込むのではなく、生徒ひとりひとりの個性を引き出していく指導方法には共感できました。

生徒たちはシモンの豊富な人生経験と人間的な魅力に気付くことで、シモンは生徒たちの純真無垢な心に触れることで。

両者の間に横たわっていた距離感は少しずつですが埋まっていき、お互いの信頼関係が築き上げられていきます。

共に成長していく先生と生徒

窓の外から練習風景を除き込んでいるアフリカ系の少年・アーノルドが、ショーウィンドウに飾られたトランペットに憧れる少年のようでいじらしいです。

家庭の事情から授業に出席することが出来ないアーノルドを、独断で教室の中に招き入れてしまうシモンの度量の大きさにも胸を打たれました。

クラスメイトたちからの手荒い歓迎にも臆することなく、プロ顔負けのバイオリン演奏を披露して周りの信頼を勝ち得ていく展開が痛快です。

自宅のアパートの屋上で夜遅くまでトレーニングに励む姿や、そんなアーノルドの背中を後押しした母のひと言にはホロリとさせられます。

自分がチャンスを与えたアーノルドという小さな存在に、シモン自身が力が貰っていく様子も面白かったです。

こんな人におすすめ

それぞれの思いを背負ってステージに上がった生徒たちが奏でるメロディーと、上映後も鳴り止まない拍手が圧巻です。

音楽によって生き甲斐を見つけ出した若者たちと、彼らからかつての自分自身の姿を思い出していく主人公の姿が感動的でした。

海外のオペラやミュージカルなど観劇を趣味にしていて、劇場に足を運ぶ機会が多い皆さんは是非ともこの作品をご覧になってください。

いま現在で教職に就いている方たちや、教育学部に所属して先生を目指している学生さんにもオススメします。

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