トゥモロー・ワールド|動画配信情報・感想・評価・解説

トゥモロー・ワールド
2006年製作/109分/イギリス・アメリカ合作 予告動画を検索

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キャスト・スタッフ

監督
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原作
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音楽
製作

「トゥモロー・ワールド」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「トゥモロー・ワールド」は2006年の11月18日にアルフォンソ・キュアロン監督によって劇場公開されています。

イギリスの推理小説家P・D・ジェイムズが1992年に発表した長編小説、「人類の子供たち」を映像化したものです。

年上の女性とふたりの少年との享楽的な旅の行方を追う「天国の口、終りの楽園。」や、宇宙空間から地上への帰還が手に汗握る「ゼロ・グラビティ」等。

ロードムービーからSFアドベンチャーまでを手掛ける、1961年生まれでメキシコシティ出身の映画プロデューサー・撮影監督がメガホンを取りました。

第63回のヴェネチア国際映画祭ではオゼッラ賞に輝いた他、SF・ファンタジー・ホラーアカデミーからはサターン賞が贈られています。

突如として子供が誕生しなくなった近未来を舞台にして、人類の希望を背負った女性と彼女を無事に送り届けるための逃避行を描いたヒューマンドラマです。

あらすじ

18年前にディエゴ・リカルドが産まれたのを最後にして、地球上から赤ん坊の産声は一度も聞こえていません。

そのディエゴも2027年の11月16日に、ブエノスアイレスの路上で熱狂的なファンから刺されてあっさりと亡くなりました。

新型インフルエンザのパンデミックによって出生率が著しく低下し始めていったのは、前世紀の終わりの頃に当たります。

イギリスのエネルギー省に勤めているセオ・ファロンを出勤途中で拉致したのは、「フィッシュ」と名乗る反政府グループです。

首謀者のジュリアン・テイラーはセオと離婚して以来過激な抗議活動を繰り返していて、いま現在はアフリカ系の密入国者の女性・キーを匿っています。

フィッシュのアジトでキーとの対面を果たしたセオは、彼女が抱えている衝撃的な秘密を知ってしまい思わぬ争いへ巻き込まれていくのでした。

運命に抗う俳優たち

人類滅亡のカウントダウンへと立ち向かっていく、主人公のセオ・ファロンにはクライヴ・オーウェンが抜擢されています。

「キング・アーサー」のような伝説的な英雄から、「ボーン・アイデンティティー」のような冷酷非情な暗殺者まで幅広い役をこなしている俳優さんです。

セオの元妻にして抵抗勢力の指揮を執るジュリアン・テイラーの役を、ジュリアン・ムーアが演じていきます。

持ち前のハリウッド・スターとしての華やかなオーラを控え目にして、不屈のリーダーに成りきっていました。

海千山千の英国文化大臣にしてセオにとっては従兄弟でもある、ナイジェルにダニー・ヒューストンが扮しています。

セオとの因縁浅からぬ過去とともに、両者の命運を分けることになる意外な存在についても注意して見てください。

近未来の子供の泣き声が消えた世界でカメラを止めない

映画冒頭で出勤前に暫しのコーヒータイムを楽しんでいるセオが目の当たりにするのが、爆破テロの瞬間です。

路上に砕け散ったガラスの破片や耳をつんざくような爆発音が、細部までリアリティーを追及して再現されていました。

ふたつの撮影テイクがコンピューターによってひとつに繋ぎ合わされていますが、それほど違和感はありません。

セオとジュリアンが通行許可証を手に入れた後に乗用車で向かった検問所で暴徒化した通行人たちから襲撃されるシーンは、生身の俳優たちの演技とCGを上手く組み合わせています。

奇跡の新生児を巡って繰り広げられる壮絶な終盤戦では、6分間を越えるカメラの長回しが敢行されていました。

最後まで息つく暇もない激闘に圧倒されつつ、登場キャラクターとの別れが惜しまれるほど感情移入できるでしょう。

最悪の未来を斬新なアイデアを交えて映す

アメリカではシアトルが市民団体によって包囲、中東ではイスラム教徒がモスクを占拠、イギリスでは国境を閉鎖。

終末を迎えた世界各地の風景が、淡々としてタッチから映し出されていて暗澹たる気分になるかもしれません。

相次いで発生している国内外の主要都市をターゲットにしたテロ事件が、いやが上にも臨場感を高めていました。

数多くの困難を乗り越えて大陸を渡ってきた大勢の不法入国者たちが、護送車に載せられて強制収容所へと送られていくシーンには胸が痛むはずです。

かつては「揺りかごから墓場まで」と称えられていたほど、社会福祉サービスが充実していたイギリスも見る影もありません。

海の向こうのにも少子高齢化の波が押し寄せているようで、我が国の切実な社会問題と比べながら鑑賞して下さい。

変わり果てた大英帝国の都

人類が繁殖能力を失ってから18年の歳月が流れた、絶望と諦めが入り交じったロンドンの街並みがオープニングを飾ります。

街頭テレビではワシントンからは東京までの世界各国の混乱ぶり流れていて、「英国のみ、今も奮闘中」という政府のスローガンが虚しいばかりです。

この町を象徴する赤い2階建ての観光バスの窓にも、分厚い防弾ガラスと金網が嵌め込まれていて息苦しさを覚えてしまいました。

かつては反政府活動家でありながら、自身の子供を失ったことがきっかけで死んだように生きるセオ・ファロンの後ろ姿が侘しげです。

未だに反政府運動に没頭している元妻・ジュリアン、国家権力の中枢に居座り続けている従兄弟のナイジェル。

セオの止まっていた時間の流れやは彼らとの再会をきっかけにして少しずつ動き始めていき、俄に身の回りが慌ただしくなっていきます。

外部にも内部にも動きあり

イギリス政府とフィッシュとの駆け引きばかりではなく、それぞれの内部に渦巻く陰謀からも目が離せません。

最前線の兵士がぶつかり合い銃弾が激しく飛び交うバトルの水面下では、静かに妥協案が模索されていく展開もスリリングでした。

フィッシュと行動を共にすることとなったセオが、彼らの協力者である酪農家に匿われるワンシーンも心に残ります。

不法滞在者として納屋に身を潜めていたキーが、大きく膨らんだ自らのお腹をさらけ出す瞬間が神秘的でした。

人類にとっては唯一無二の可能性を秘めたキーを、我が身に変えても守り抜く決意を固めるセオが勇ましいです。

未来への船出

戦いに明け暮れていた双方の兵士たちが、赤ちゃんの産声を聞いた途端にピタリと止まってしまう一幕にホロリとさせられました。

1艘のボートに乗って赤ちゃんを抱きしめながら波間に佇むキーからは、僅かながらも未来への希望が見えてきます。

払った犠牲は数知れず前途多難な船出となりましたが、小さな生命の誕生からは無限大の可能性が満ちあふれていました。

自らの生命をかけて次世代の親子を助けたセオの遺志と、深い霧を貫き通すかのようなトゥモロー号のヘッドライトも忘れ難いです。

こんな人におすすめ

原作の小説は日本でも1993年の10月20日に青木久恵の翻訳によって、ハヤカワ・ノヴェルズから刊行されています。

劇中では一切語られることのなかった、セオとナイジェルが少年時代を振り返る回想シーンが情緒豊かでした。

長らく絶版状態になっていましたが、本作品のヒットに伴って復刊されていますので興味のある方は手にとってみて下さい。

全体主義を警鐘したジョージ・オーウェル作「1984」から、機械文明の盲点を突いたオルダス・ハクスリーの「すばらしい新世界」まで。

海外SFや古今東西のアンチ・ユートピア文学に造詣が深い読書家の皆さんには、是非ともご覧になって頂きたい1本です。

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