リトル・フォレスト 夏・秋|動画配信情報・感想・評価・解説

リトル・フォレスト 夏・秋
2014年製作/111分/日本 予告動画を検索
彼と別れ、生まれ育った東北へ帰ってきたいち子。田畑を耕しながら一人暮らしをはじめた彼女だったが、周囲に中々馴染めない自身に苛立ちを感じている。夏から冬へと移り変わっていく季節の中で、いち子は少しずつ前に進んでいくのだった。

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キャスト・スタッフ

監督
脚本
原作
出演
音楽
製作

「リトル・フォレスト 夏・秋」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「リトル・フォレスト 夏・秋」は2014年の8月30日に劇場公開されている、森淳一監督によるヒューマンドラマです。

2002年から2005年にかけて五十嵐大介によって連載されたて、講談社のワイドKCアフタヌーンから全2巻で刊行されている長編コミックが映像化されました。

仙台市内の連続放火事件からとある一家の哀しい過去が浮かび上がる「重力ピエロ」や、どこまでも純真無垢な青年と少々訳ありな年上女性とが心通わせていく「Laundry」など。

ラブストーリーからミステリーまでを手掛けている、1967年生まれで東京都出身の映画作家がメガホンを取りました。

クランクインは2013年の7月で、岩手県奥州市の衣川区と前沢を中心にして1年間に渡ったオール東北ロケを敢行しています。

文化庁メディア芸術祭のエンターテイメント部門で審査員会推薦作品にノミネートされた他、第62回のサン・セバスチャン国際映画祭にも正式出品されてディナーショー上映が行われました。

都会での暮らしに疲れ果てたひとりの女性が、田舎での自給自足を体験することによって自身と向き合っていく感動作です。

あらすじ

都市部で恋人と同棲生活を惰性で続けていたいち子でしたが、間もなく彼とは別れて生まれ育った東北地方へと帰りました。

人里離れた小森という名前の集落で、いち子は田畑を耕して食糧を収穫しながら独り暮らしを始めることにします。

同世代の若者は近所に住んでいてお互いに家を行き来するユウ太や、食べ物をお裾分けし合う幼馴染みのキッコくらいです。

農作業のコツや料理のレシピを教えてくれたのは母親の福子でしたが、いち子が高校生になった時にフラリと家を出たまま戻ってきません。

母への愛憎半ばする思いは未だに心の奥底に残っていて、都会にも小森にも馴染めない自分自身への苛立ちも抱いています。

季節が夏から冬へと移り変わっていく中で、いち子は少しずつ過去を振り切って前に向かって進んでいくのでした。

地に足をつけた俳優たち

大自然の中で生きる力を取り戻していく、ヒロインのいち子を演じているのは1996年生まれの女優さん・橋本愛です。

撮影当時は出生作となったNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」が終わったばかりで、若干17歳になったばかりでした。

20代の半ばかと思われるいち子の役にも、大人びた眼差しと表情で臆することなくチャレンジしていていきます。

今作では元ファッションモデルの華やかさを封印しているために、麦わら帽子にモンペ姿も似合っていますね。

いち子にとっては幼い子供の頃からの親友・キッコの役には、松岡茉優のイメージがぴったりと填まっています。

プライベートでも親交を温めている1歳違いだけ合って、劇中でも息の合ったコンビネーションを披露していました。

出番こそ少ないものの福子役で存在感を発揮して桐島かれんや、ユウ太役に扮している三浦貴大などがしっかりと脇を固めています。

季節の食材をふんだんに使用

フードディレクターの野村友里による入念な調理指導によって、原作に登場する料理が忠実に再現されています。

夏になると畑で実ったトマトをもぎって、清流で洗い流してそのまま齧りついてしまういち子が健康的でした。

採れたてのトマトをじっくりと煮込んでソースを手作りして、パスタと絡めて食べている時も実に幸せそうです。

行きつけの釣り堀でイワナを釣り上げて南蛮漬けにしてみたり、自家製米からお酒を醸造しまうほど生活力があります。

砕いたクルミをトッピングした炊き込みご飯や、地元で密かなブームになっている栗の渋皮煮は食欲の秋には堪りません。

いち子がサツマイモや里芋の保存方法に頭を悩ます場面は、「リトル・フォレスト 冬/春」への伏線になっていて心憎いです。

シンプルで力強い暮らし

この映画の舞台に設定されている小森は過疎化が著しい地域なために、コンビニもスーパーマーケットもありません。

自動車を運転できないいち子は、自転車で30分くらいかけて農協が経営するスーパーや商店まで買い出しに出かけています。

3度の食事は自炊が中心となり、必要なものは身の回りにある材料を使って手作りしてしまうほどの逞しさです。

いち子が暮らしているのはノスタルジックな造りの日本家屋で、季節の草花を眺めることができる縁側もあります。

ご近所さんが手作りしたお菓子を持ち寄って、和気あいあいとした時間を過ごす様子には心温まるものがありました。

人と人との結びつきが薄れていき物質的な豊かさを追い求めてしまう今の時代に、彼女のライフスタイルからは多くの学ぶことがあるでしょう。

しつこい湿気をパンと妄想で乗り切る

周囲を鬱蒼とした木々で囲まれている坂道を、自動車で駆け抜けていくいち子の後ろ姿がオープニングを飾ります。

村全体が盆地のど真ん中に位置する小森特有の地形によって、四方八方から湿気が流れ込んでいて息苦しそうでした。

背鰭をつけて湿気の中を自由気ままに泳ぎ回ることを、いつの間にか妄想してしまういち子が可愛らしかったです。

家の中から湿気を逃すために真夏でも薪ストーブを焚いている、この地方ならではの風習には驚かされました。

焚いたストーブの余熱を利用して粉からパンを焼き上げてしまうなど、エネルギーを無駄にしない生活の知恵にも共感できます。

甘酸っぱいグミ

回想シーンで彼氏と同棲していた頃のいち子が、街中の木からグミの実をもいで口に含むシーンが心に残ります。

いち子には高すぎて手が届かないグミを、背丈に恵まれた彼がやすやすと取ってしまう様子を見て少し悔しそうでした。

グミが食べ頃を迎えていないことを敏感に察知するいち子、「美味しい」を連発する食べ物の旬に無頓着な彼。

ふたりの間に横たわっている微妙な距離感と、その後の別れに思いを巡らすと何とも甘酸っぱいエピソードでした。

小森に帰った後にいち子がグミの実でジャムを作ったのは、彼との思い出を封印したかったからなのかもしれません。

食べ物の中に宿る生命

調理の場面に登場する「この地で丹精こめて作ったものを街では左から右に流しているだけ」という、何とも痛烈なセリフには考えさせられました。

いち子が小森の分校に通っていた学生の時の後輩にあたり、現在でもこの地の養殖業に従事しているユウ太の言葉です。

無機質な工場で流れ作業に没頭しているうちに、何時しかひとりひとりの人間性が失われていくことへの強い危機感が込められています。

いち子が稲を育てるために田んぼに放し飼いにしていた合鴨を、捌いて食べるワンシーンにも同じことが言えるはずです。

「いただきます」という何気ない言葉に込められている、動植物の命を頂くという重さを痛感しました。

こんな人におすすめ

長らく失踪していた母・福子からいち子のもとに、1通の手紙が舞い込んでくるところでクライマックスを迎えます。

口から出任せを並べ立てるようないい加減な性格でしたが、娘の口に入る食べ物に関しては人一倍気を使っていたことが分かり微笑ましいです。

ようやく自分の居場所を見つけることが出来たいち子が踏み出していく、次のステップを見守りたくなりました。

インスタント食品やコンビニ弁当ばかりで、味気ない食生活を送っている皆さんは是非この1本をご覧ください。

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