ヒトラーに屈しなかった国王|動画配信情報・感想・評価・解説

ヒトラーに屈しなかった国王
2016年製作/136分/ノルウェー 予告動画を検索
ナチスドイツがポーランドに侵攻したことで第二次世界大戦が勃発するが、ノルウェーは一貫して中立を保っていた。遂には、ノルウェーの主要都市にも攻撃がはじまり、ホーコン7世は避難を余儀なくされる。交戦派と穏便派で閣僚の間でも意見が割れる中、ヒトラーから全権を委任されたクルト・ブロイアーから最後通告受け、ホーコン7世は苦渋の決断迫られるのだった。

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製作

「ヒトラーに屈しなかった国王」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「ヒトラーに屈しなかった国王」はエリック・ホッペ監督によって、2017年の12月16日に劇場公開されています。

ジャーナリストのアルフ・R・ヤコブセンによって刊行されているノンフィクション書籍、「Kongens nei」を映像化した伝記ドラマです。

ヒューマンドラマから社会派作品までの創作活動を続けている、1960年生まれでオスロ出身の映画作家がメガホンを取りました。

第67回のベルリン国際映画祭に正式出品された他、アカデミー外国語映画賞のノルウェー代表にも選ばれた作品です。

20世紀初頭から半世紀以上に渡って王位に就いたノルウェー国王、ホーコン7世の戦時中の知られざるエピソードにスポットライトを当てていきます。

あらすじ

突如としてナチスドイツがポーランドに侵攻することによって第2次世界大戦が勃発しますが、ノルウェーは一貫して中立を保っていました。

1940年代に突入すると次から次へと周辺国がドイツによって占領下に置かれていきますが、軍事行動に踏み切ることはありません。

遂にはノルウェー国内の主要都市への攻撃が始まる中で、国王のホーコン7世は家族とともに王宮からの避難を余儀なくされます。

疎開先のハマールで合流したのは徹底交戦を訴えるオラフ皇太子と、穏健派で首相のヨハン・ニュゴールスボルです。

閣僚の間でも意見が真っ二つに割れていく中で、ドイツ総統のヒトラーから全権を委任されたクルト・ブロイアーが最後通牒を突き付けてきます。

圧倒的な勢力を誇るドイツ軍の攻撃が日に日に激しさを増していく中で、ホーコン7世は苦渋の決断を迫られることになるのでした。

運命の王に威厳を持って扮する

ノルウェー国王のホーコン7世に扮しているのは、1948年生まれでコペンハーゲン出身のベテラン俳優イェスパー・クリステンセンです。

「007」シリーズの悪の組織の幹部ミスター・ホワイトのイメージが強いですが、今作のような威厳たっぷりとした役どこらも似合っていました。

一国の運命の舵取りを任された重責を感じる国家元首でありつつ、家族を気遣うひとりの父親でもあるふたつの顔を巧みに表現しています。

駐ノルウェー大使にして切れ者の交渉人クルト・ブロイアーの役に抜擢されているのが、カール・マルコヴィクスという俳優さんです。

シュテファン・ルツォヴィツキー監督の2007年作「ヒトラーの贋札」では、強制収容所において贋札作りを命じられたユダヤ人という今作とは真逆の役を演じました。

映画の序盤でこそ国王に対しても傲慢に振る舞いながらも、中盤以降は微妙に態度を変化させているところに注目して下さい。

苦労して手に入れた独立

かつてはノルウェー自体がスウェーデンとデンマークと合わせてひとつだったという、複雑な歴史を紐解いていきます。

70年以上前の貴重なドキュメンタリーフィルムを交えながら、丁寧に解説されているので分かりやすかったです。

1397年に3国が集まって形成された同君連合王国という独特な国家体制は、20世紀の初頭まで続いていて奥深いですね。

1905年になってようやく分離独立を果たす大きなきっかけとなったのが、ノルウェー議会の決定と住民たちによる投票でした。

長きに渡った苦難の道のりには、列強諸国の思惑によって翻弄されてしまう小国ならではの儚さがあります。

独立への紆余曲折とした道のりを皇太子時代から目の当たりにしてきたからこそ、誰よりも自由と平和の有り難みを知っていたのがホーコン7世なのでしょう。

外にも内にも不穏な動きあり

国外からはナチスドイツの脅威に晒されている中で、ノルウェー国内が抱えている様々な不安も映し出されていきます。

皇太子のオラフはゆくゆくはホーコン7世を継いで国王となるはずの人物ですが、気が短くて一時的な感情に流されやすいのが玉に瑕です。

ホーコン7世の兄に当たりデンマークの国王でもある、クリスチャン10世がドイツ軍の進駐を早々と受け入れたことも伏線になっていました。

ドイツとノルウェーとの和平交渉を進めるためには、公使として赴任しているブロイアーの協力を取り付けなければなりません。

ブロイアー自身はヒトラーからノルウェーの無条件降伏を求められながらも、個人的にはこの国に愛着があります。

時おり複雑に絡み合っていくそれぞれの胸の内だけではなく、烈しく移り変わっていく国内外の情勢からも目が離せません。

波乱に満ちた幕開け

遥か北海の彼方からじわりじわりと押し寄せてくるドイツ海軍の艦隊を捉えたオープニングショットからは、不吉な予感が高まっていきます。

首都オスロにある王族居住地区の静けさに包まれた佇まいは、戦時下という非常事態においても損なわれることはありません。

降りしきる雪の中でも寒さに怯むことなく隠れんぼに興じる、国王の孫たちの無邪気な笑顔に癒やされました。

ノルウェー西部の都市・ハマールへの避難を余儀なくされる時の、苦悩に満ちたホーコン7世の表情が痛々しいです。

道中では空からの爆撃に悩まされたり、乗り込んだ列車の車輌に異変が生じたりと何かにつけてトラブルが絶えません。

政治に介入する国王と予期せぬクーデター

ホーコン7世一向がハーマルへ到着することによって、少しずつ閣僚たちの慌ただしさも増していることを感じました。

あくまでも武力行使ではなく外交交渉における努力を主張する、ホーコン7世の誠実な一面には胸を打たれます。

総辞職を要求する内閣を厳しく叱責して、辞任を宣言する首相を静かに宥める様子には政治家としての才覚もありました。

「王は君臨すれど統治せず」という、立憲君主国のお約束に抵触するのではないかとハラハラしてしまいます。

そんな混乱に乗じてクーデターを決行したかのが、前々からニュゴースボル首相に反感を抱いていた政治家のクヴィスリングです。

圧力にも屈しない誇り

「他国の侵略に屈する国家は存在する価値がない」という、ホーコン7世がドイツ側の代表に切り返すセリフが心に響きます。

この言葉を1番最初に公の場で口にしたのが、ヒトラーだったというのが何とも皮肉でした。

ドイツ軍によって一方的に交渉場所に指定されたエルヴェルムへも、危険を省みずに果敢に赴く姿も勇ましかったです。

表向きには友好的かつ平和的な解決をアピールしながらも、裏では全面的な降伏を押し付けてくるドイツの二枚舌外交には応じることもありません。

遂には故国を追われることとなりながらも、最後まで揺るがなかったホーコン7世の国民への思いが圧巻でした。

こんな人におすすめ

断腸の思いを抱えながらも家族と別れて海外へと脱出する、ホーコン7世の横顔をアップで捉えたショットで本作はエンディングを迎えます。

国王と皇太子がイギリスへと亡命した僅か3日後に、ノルウェーが降伏へと追い込まれてしまった史実がほろ苦いです。

充実した社会制度と他者への豊かな寛容性の基礎が、この当時の負の遺産から創られているのかもしれません。

21世紀を迎えて再び時代の流れが逆行していくようなヨーロッパ社会への、鋭いメッセージが込められていました。

北欧諸国の戦史をテーマに取り扱った映画や小説に造詣が深い皆さんは、是非ともこの1本をご覧になってください。

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