僕はイエス様が嫌い|動画配信情報・感想・評価・解説

僕はイエス様が嫌い
2019年製作/78分/日本 予告動画を検索
由来は新しく通うことになった近所の小学校の独特なムードにいまいち溶け込むことができない。そんな由来の拠り所は、お祈りの時間に机の上に出現した「小さなイエス様」である。何でも願いを叶えてくれるイエス様のお陰で、徐々に学校に馴染んできた由来。しかし、思わぬ試練が降りかかるのだった。

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キャスト・スタッフ

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音楽
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製作
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「僕はイエス様が嫌い」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「僕はイエス様が嫌い」は奥山大史監督によって、2019年の5月31日に劇場公開されているヒューマンドラマです。

モラトリアム気味な女子高校生が最後の夏に奔走する「過ぎて行け、延滞10代」や、孤独な少女の嘘がドラマを生む「最期の星」など。

撮影監督やカメラマンとしても活躍する、1996年生まれで東京都出身の新進気鋭の映画作家が長編デビューを果たしています。

「JESUS」の国際タイトルでサン・セバスチャン国際映画祭でプレミアム上映されて脚光を浴びた作品が、日本公開向けに改題されました。

大学在学中の若干22歳にしてストックホルム国際映画祭で最優秀撮影賞に輝いていて、フランスや韓国など海外での公開も次々と決まっています。

都心から遠く離れた山間部のキリスト教系の小学校へと引っ越してきた孤独な男の子が、自分だけにしか見えない神様との触れ合いを通して大人の階段を上っていく成長譚です。

あらすじ

長年に渡って大きな病気とも怪我とも縁がなかった星野由来の祖母の異変に、母が気がついたのは祖父のお葬式の時でした。

祖父が亡くなってからはめっきり老け込んでしまった彼女と同居するために、母は由来を連れて慣れ親しんだ東京を離れることにします。

由来が新しく通うこととなった家の近所にある小学校はミッション系で、その独特なムードにいまいち溶け込むことが出来ません。

そんな由来にとって心の拠り所となっているのは、お祈りの時間に机の上に出現した「小さなイエス様」です。

願い事を何でも叶えてくれるイエス様のお陰で、クラスで1番の人気者・大隈和馬ともいつの間にか仲良くなっていきます。

ようやくこの土地と学校にも愛着が涌いていた由来に、ある日突然に思わぬ試練が降りかかってくるのでした。

少年の苦悩を等身大で表現

不可思議な体験に困惑気味な主人公の星野由来には、オーディションによって2006年生まれの佐藤結良が大抜擢されています。

撮影当時は12歳になったばかり思えないほどの思慮深く大人びた表情と、繊細な演技力には驚かされることでしょう。

由来にとっては生まれて初めての親友となっていく、大隈和馬の役をこちらも子役の大熊理樹が好演していました。

突如として由来の前に降臨する「小さなイエス様」を、お笑い芸人としても人気のチャド・マレーンが怪演しています。

母として少しずつ成長していく和馬の後ろ姿を温かく見守っている、大隈理香子の役を務めているのは佐伯日菜子です。

金子修介監督の1994年作「毎日が夏休み」で、登校拒否の女子中学生に扮していたことを思い出してしまう方も多いのではないでしょうか。

揺れ動く心をカメラで追いかけて

短編映画や企業CMの撮影カメラマン出身の監督らしく、本作品の中にも随所に映像へのこだわりが散りばめられていました。

校舎と礼拝堂を繋ぐ渡り廊下には、日常から非日常の世界へと誘われていくトンネルのようで忘れがたいです。

由良と和馬が雪の積もったグランドで延々とサッカーボールを追いかける様子が、俯瞰ショットから映し出されていきます。

終始一貫してボールを巧みにキープし続けている和馬に対して、由良は一度足りとも奪いかえすことが出来ません。

終盤でふたりの命運を決定的に分けたのもこのサッカーボールであるために、鮮烈に脳裏に焼き付けられるワンシーンです。

光輝き空を浮かぶ小さなイエス様の登場場面も、神秘的というよりもユーモラスなイメージの方が強く伝わってきます。

神をも畏れぬ想像力

挑発的な響きのタイトルにも関わらず、異なる価値観や考え方の共存共栄を模索していて優しさに満ち溢れていました。

宗教的かつ現実的な社会問題が取り上げられながらも、劇中にはそれほど重苦しい雰囲気は漂ってはいません。

敬虔なキリスト教徒であれば一度は直面するであろうジレンマを、非キリスト教徒として一歩引いた場所から眺めていきます。

モンテウルグルのキリスト像で有名なサン・セバスチャンで映画賞を獲得して、カトリック圏の国からも絶賛されているのも納得ですね。

カリスマ的なロックスターや国民的アイドルを始めとする、宗教に限らずに誰しもが心の中で信じている存在があるはずです。

その絶対的な信仰がそれぞれの人生の中において揺らいでいくタイミングを、巧みに切り取っていていて見ごたえがあります。

大都会から雪国への不安

祖父の死によって東京の小学校から雪深い田舎の学校へと転校することになった、ひとりの少年の不安げな眼差しから幕を開けていきます。

登校初日でのホームルームでのたどたどしい自己紹介を見るだけで、何かにつけて引っ込み思案な性格がバレバレです。

お祈りの時間になると各自が自分のカバンの中から聖書を取り出して、礼拝堂に集まるのはクリスチャンの学校ならではでした。

キリストにも聖書にもまるで興味のない星野由来が、神頼みで友だちをお願いしてしまう厚かましさに唖然とさせられます。

ミッションスクールならではの息苦しさやしきたりに、戸惑いっぱなしな由来に唐突に訪れる奇跡がビックリです。

新しい土地で新しい友だち

ようやく新しい土地での暮らしにも馴染み始めていた由来の前に現れるのが、大隈和馬という同じクラスの少年です。

校庭の片隅にひっそりと佇んでいるニワトリ小屋から、脱走したひな鳥を追いかけて飛び出してくる和馬との出会いが鮮やかでした。

物静かでいつも教室の片隅で独りぼっちでいる由来、運動神経ピカ一でクラスでもリーダー的な人気者の和馬。

まるっきり正反対なタイプのふたりの小学生の間に芽生えていく、ささやかな友情関係には心温まるものがあります。

和馬の父親が所有する豪勢な別荘で過ごす冬休み、母親の理香子が腕によりをかけた御馳走とクリスマスパーティー。

由来にとってはイエス様からのプレゼントのような掛け替えのない時間も、やがては終わりを告げることになります。

転がり落ちていく少年とボール

些細な違和感から由来と和馬の絆に入ったヒビが、予想外のアクシデントを巻き起こしていく後半パートが痛切です。

大事なサッカーの試合が始まる前に神社へと足を運んで戦勝祈願をする、ミッションスクールの子供たちの節操のなさは神仏混淆としたこの国では仕方ありません。

試合中にも関わらず由来がチームを離れていく一幕からは、二度と戻ることのないふたりの友情が垣間見えます。

本当に助けて欲しい時に助けてくれない神様には、遠藤周作の小説「沈黙」やマーティン・スコセッシ監督による映像化作品を彷彿としました。

こんな人におすすめ

お祈りの無意味さを痛感した由来がイエス様との別れを決意することで、本作品はエンディングを迎えていきます。

特定の宗教の思想やメッセージを、この映画を見ている観客たちに無理矢理に押し付けることは最後までありません。

由来の祖母がポロリと呟いた、「いないと思えば神様はいない」というセリフに全てが集約されていました。

信じる自由と信じない自由の両方が尊重されていくような、お別れ会での由来の大胆不敵な行動が清々しかったです。

転校やクラス替えなどによって憂鬱さや居場所の無さを感じている、中高生の皆さんは是非ともこの1本をご覧になってください。

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