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キャスト・スタッフ
「フールズ・ゴールド カリブ海に沈んだ恋の宝石」をサクっと解説
ライター/ジョセフ
作品概要
「フールズ・ゴールド カリブ海に沈んだ恋の宝石」は、アンディ・テナント監督によって2008年の5月31日に劇場公開されています。
デートドクターとゴシップ記者の恋愛が微笑ましい「最後の恋のはじめ方」や、元刑事の賞金稼ぎが壮絶な抗争へと巻き込まれていく「バウンティ・ハンター」など。
ロマンチックコメディーからサスペンスまでを手掛けている、1955年生まれでアメリカ・イリノイ州出身の映画作家がメガホンを取りました。
「ブラッドライン」や「ダメージ」を始めとする海外ドラマのヒットメーカー、ダニエル・ゼルマンが書き下ろしたオリジナルストーリーです。
当初はカリブ海での現地ロケが予定されていましたがハリケーンシーズンのため中止となり、オーストラリアのクイーンズランドに変更されています。
スペイン王家ゆかりの宝物を巡って様々な思惑が入り乱れていく、バトルと恋愛を描いたアドベンチャードラマです。
あらすじ
トレジャーハンターのベンジャミン・フィネガンはパートナーのアルフォンズと共に8年間に渡ってフェリペ5世ゆかりの宝を探していました。
ようやく手掛かりとなるスペイン王朝の皿を発見しましたが、チャーターした船が機材トラブルで炎上してしまいます。
船のオーナーはビッグ・バニーという異名で恐れられている、この海域一帯を支配する反社会的勢力のボスです。
木っ端微塵になった船の弁償をビッグ・バニーからは求められてしまいますが、慰謝料に汲汲としているフィンには到底支払いきれません。
バニー一味の執拗な追跡を逃れたフィンが助けを求めたのは、かつての妻であり今現在では大富豪のナイジェル・ハニーカットの下で働いているテスです。
別れた後も厄介ごとを持ち込んでくる元夫に呆れながらも、テスは雇い主の協力を取りつけて伝説の秘宝の探索を開始するのでした。
海とお宝が似合うふたり
「フィン」ことベンジャミン・フィネガンの役を情熱的に演じているのは、1969年生まれテキサス州出身の俳優マシュー・マコノヒーです。
幾つになっても夢ばかりを追いかけてしまう、永遠のモラトリアム青年をコミカルかつ時には悲哀を滲ませて体現していました。
フィンとは対照的に現実的でちょっぴりお堅いヒロインのテス・フィネガンには、ケイト・ハドソンが扮しています。
主演のマコノヒーとはドナルド・ペトリ監督の2003年作、「10日間で男を上手にフル方法」以来となる5年ぶりの競演です。
相も変わらない息の合ったコンビネーションと共に、役者として重ねてきたそれぞれのキャリアにも注目してみて下さい。
フィンの冒険仲間であるアルフォンズの役には、個性派俳優のユエン・ブレムナーがキャスティングされています。
無計画かつ無軌道なフィンに振り回されてしまう、何とも情けない役どころにはピッタリと填まっていました。
歴史と物語の融合
製作段階から綿密にリサーチした史実と、想像力を駆使したフィクションが巧みに絡み合って独特な世界観を構成していました。
1715年7月にスペイン王のフェリペ5世が自らの結婚を祝うためにキューバから持ち出したという、5億ドル相当の金銀財宝の行方が気になります。
インドのダイヤからビルマのルビーに、コロンビアのエメラルドまでがぎっしりと詰まった宝箱を開けるその時が待ちきれません。
映画の冒頭でフィンが海の底から入手するのは、スペイン・ブルボン王家の家紋が刻まれている1枚のお皿です。
弱冠18歳にして船長となった謎めいた青年、セバスチャン・バンゴールが辿った数奇な運命にも引き込まれていくことでしょう。
マリンレジャーと海の幸の魅力も
スキューバダイビングやモーターボートに代表されるような、マリンスポーツの楽しさもふんだんに盛り込まれていました。
カリブの裏社会を牛耳るビッグ・バニーの逆鱗に触れたフィンが、丸腰のままで大海原に放り出されてしまう一幕があります。
そんな時に救いの手を差し伸べてくれるのが、偶然にもクルーザーで近海を通りかかった若者たちのグループです。
一見すると派手な水着を身に纏っている遊び好きな男女にしか思えませんが、見ず知らずのフィンに対しても優しさと敬意を払ってくれます。
お互いに海を愛する者同士にとっては余計な気遣いや言葉などは微塵もいらないことが分かる、清々しいワンシーンですね。
テスの勤め先は海上のセレブリティとも言うべき、ナイジェル・ハニーカットが所有する豪華なクルーザーです。
優秀な調理スタッフとして彼女が腕に縒りをかけて振るう、採れたての魚介類を活かした料理もとても美味しそうでした。
海の雄大さと人間の欲深さ
オープニングショットから映し出されていくのは、どこまでも広がっていくカリブの雄大な海と緑豊かな島々です。
深海100メートルで太古の時代から静かに揺れ動いている、珊瑚礁の群れの美しさにも引き込まれていきました。
コンプレッサーの故障が原因で激しく燃え上がっていく船が、静謐な水平線上でもひときわ異彩を放っています。
いつの時代にも変わることのない自然の静謐さと、富を奪い合う人間たちの騒がしさとのコントラストが鮮やかです。
はた迷惑の固まりのようなフィンが次々と周りの人たちを巻き込みながら、お宝争奪戦を繰り広げていきます。
愛と財宝を掴むために
本職の宝探しの方でも一向に成果が上がらずに、プライベートでも妻のテスとは離婚協議中と不甲斐ないです。
挙げ句の果てにはトラブルに巻き込まれた末に調停に遅刻してしまい、全財産を失ってしまう顛末には笑わされました。
そんなダメダメな元夫を見捨てることなく、何くれとなく世話を焼いてあげるテスには心温まるものがあります。
自身は働きながらシカゴ大学の歴史学科に通って博士号を目指して日々勉強中で、着実にステップアップを目指すしっかり者な自立した女性でした。
まるっきり正反対な道のりを歩いているはずのふたりが、お互いに足りないものを求め合うかのような関係性も面白いです。
宝よりも大切なもの
1年にたった1度っきり海面からその姿を表す、秘密の岩の割れ目が何とも神秘的なムードに満ち溢れていました。
8年もの間夫婦として一緒に過ごしながらも、1度も理解し合うことが出来なかったフィンとテスとの関係に重なります。
巨万の財産を手に入れたとしても、自由と冒険を何よりも愛するフィンの生きざまは変わることはありません。
ハンターとしてもひとりの人間としても未熟者だったフィンが、5億ドルよりも掛け替えのないものを見つけるラストが感動的です。
こんな人におすすめ
謎解きもあればアクションもありロマンスありと、最後の最後まで息もつかせぬボートレースのような物語でした。
本作品は7000万ドルを越える制作費をかけた割りには、興行的には失敗したというほろ苦い後日談があります。
レビューサイトや批評家からは酷評されて、ケイト・ハドソンに至ってはラジー賞の「最低女優賞」にノミネートされる始末です。
個人的には風光明媚なカリブと、好き勝手に生きている男女の恋の駆け引きを存分に楽しませてもらいました。
夏休みに忙し過ぎて何処にも行けなかった皆さんは、是非ともこの1本をご覧になって息抜きでもしてください。
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「フールズ・ゴールド カリブ海に沈んだ恋の宝石」を
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