フロントランナー|動画配信情報・感想・評価・解説

フロントランナー
2018年製作/113分/アメリカ 予告動画を検索

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製作

「フロントランナー」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「フロントランナー」はジェイソン・ライトマン監督によって、2019年の2月1日に劇場公開されています。

女子高校生の妊娠がひと波乱を巻き起こす「JUNO/ジュノ」や、家事と育児でパンク寸前の女性に思わぬ助っ人が現れる「タリーと私の秘密の時間」など。

社会的なテーマから身近な話題までを取り上げている、1977年生まれでカナダ・ケベック州出身の映画作家がメガホンを取りました。

ライトマンの盟友して名脚本家のディアブロ・コーディが、ノンフィクション書籍をもとにしてオリジナルシナリオを書き下ろしています。

大統領を目指したひとりの天才的な政治家の栄光から転落までの顛末と、知られざる苦悩の日々に迫っていくヒューマンドラマです。

あらすじ

民主党大会における大統領予備選は混戦が予想される中で、コロラド州選出の上院議員ゲイリー・ハートがリードしていました。

候補者の中では無名の若手ながらも善戦しますが、結果としてベテランのウォルター・モンディール候補にはあと一歩及ばずに破れ去ります。

4年後の1988年に再びハートが次期大統領選に出馬すると、前回以上の期待感が高まっていき他の候補者を全く寄せ付けません。

史上最年少の46歳でハートが大統領候補の座を勝ち取ることが出来たのはユーモアと知性を散りばめた演説、更には優秀なブレーンたちによるマスコミ操作のお陰でした。

そんなハートに予想外のピンチ降りかかってきたのは、とある女性との密会現場を新聞記者にスクープされてからです。

自身のプライベートに関しては口をつぐみ続けていくハートでしたが、日に日にメディアからの批判に晒されていくのでした。

最前線を走り続ける俳優たち

ゲイリー・ハートの役を演じているのは、1968年生まれでオーストラリア出身の俳優ヒュー・ジャックマンです。

「X-MEN」シリーズのような王道のヒーローから、「プリズナーズ」のような偏執狂的な役どころまでこなしてきました。

今作では公の舞台では自らの野心を貫き通しながらも、家庭内では精神的に打ちのめされていくふたつの顔を巧みに体現しています。

忠実なる選挙参謀のビル・ディクソンの役に扮しているのは、2006年作「サンキュー・スモーキング」以来ライトマン監督とは7度目のタッグとなるJK・シモンズです。

この俳優さんの厳つい顔つきがスクリーンに登場してくるだけで、その場の雰囲気がピリッと引き締まりますね。

ハートを支え続けていくリーの役にキャスティングされている、ヴェラ・ファミーガも魅力的な女優さんでした。

パッと見ると良妻賢母といった典型的な政治家の妻でしたが、時おり披露する夫を凌ぐほどの逞しい弁舌にも注目して下さい。

当事の政治の舞台裏を映す

大統領候補から一転してスキャンダルに見舞われていく過程と、当事の社会的な背景を絡めていて興味深いです。

政治の世界の舞台裏で密かに繰り広げられていく人間模様の移り変わりやドラマにも、リアリティーがありました。

参謀からスケジュール管理人に広報担当者と、ハートの周りを固める選挙キャンペーンのスタッフも適材適所に配置されています。

スクープを虎視眈々と狙って接触してくるゴシップ誌の編集者や、社会的に影響力のあるジャーナリストとも互角に渡り合わなければなりません。

移動中の飛行機の機内やバスの車内で政治家と記者がディナーを共にをしながら意見交換をするのは、この当時としては当たり前の光景です。

ハートの妻・リーと娘のアンドレアの、家族の立場と視点から映し出されていくドラマにも見応えがありました。

いち早くイメージ戦略

大勢の報道陣を引き連れたハートが向かった先は、コロラド州デンバーでも有名な観光スポット・レッドロックス公園です。

巨大な石を積み上げて造り上げた野外劇場が神秘的で、周りを取り囲んでいる赤い砂漠は火星のように荒涼としていました。

この壮観な眺めを背景にして、マスコミの前で出馬表明をしてしまうハートの計算高さには感心していまいます。

一般家庭にインターネットさえ普及していなかった1980年代に、大衆へのイメージを何よりも重視していた先見の明にビックリですね。

そんなハートのイメージが急落してしまうきっかけを作ったのが、映像コンテンツではなく紙媒体であったのが何とも運命的です。

現代であればツイッターやSNSなどのネットワークを即座に利用して、ハート陣営の痛手を必要最小限に押さえられたことでしょう。

敗戦にも屈せず

大衆の心を瞬時にして鷲掴みにする演説には、あの悲劇の大統領ジョン・F・ケネディを彷彿とさせるものがありました。

4年前の敗北にも屈することなく、次なる目標へと迷うことなく突き進んでいくハートの後ろ姿が勇ましく映ります。

リベンジを誓いながら友人たちとお酒を酌み交わす豪放磊落な性格と、良き夫であり父である家庭でのリラックスした様子も微笑ましいです。

研ぎ澄まされたファッションセンスと恵まれたルックスは、お堅い政治家に特有な取っ付きにくさはありません。

見た目の格好良さばかりではなく、アメリカの政治的なシステムを根本から変えるべく強い意志が伝わってきました。

レースから一歩抜け出す

テネシー州から選出されたアル・ゴアや、マサチューセッツ州のマイケル・デュカキスなどの懐かしい顔触れもあります。

揃いも揃って個性派のライバルたちを出し抜いて、遂にはフロントランナー(最有力候補)にまで躍り出でていくハートが痛快でした。

愛するリーやアンドレアを故郷に残したまま全米各地を飛び回って、ただひたすらに選挙活動に打ち込んでいく姿がエネルギッシュです。

アメリカ史上最年少大統領の栄冠が目の前に見えてきたハートでしたが、意外な落とし穴が待ち受けています。

羨望から好奇へ

僅か3週間の間にカリスマ性あふれる大統領候補からお騒がせ議員へと、ハートを取り巻く状況はすっかり変わっていきます。

たちまち急降下するテレビや新聞の評価ばかりではなく、支持者や身近な人たちの手のひらを返したような態度には呆れてしまいました。

持ち上げる時にはとことん持ち上げておいて、叩く時を迎えたら徹底的に叩くのはいつの時代でも同じです。

選挙の結果よりもひとりの議員の不倫騒動の方に注目が集まってしまうのは、海の向こうでも同じなのかもしれません。

やたらと熱しやすくもあり冷めやすくもある、マスメディアの軽薄な報道姿勢についても考えさせられました。

こんな人におすすめ

「正義の報道」をうたい文句にした地方新聞の三面に掲載された小さな囲み記事によって、将来的なキャリアの全てを奪われてしまったハートの顛末が痛切です。

別れを告げたはずのハートのもとへと再び戻っていったリーが、いまでも夫婦として平穏無事に暮らしていることだけが唯一の救いでしょうか。

もしもあの時にゲイリー・ハート大統領が当選していたら2度のイラク戦争や9・11、更にはアメリカ・ファーストを叫ぶ今日の大統領も誕生していなかったかもしれません。

物語の時代設定は 1980年代後半になっていますが、2020年の大統領選を見据えた鋭いメッセージも込められていました。

投票率が著しく低下していて政治への無関心が強まっているという、若い世代の皆さまは是非この1本を見て下さい。

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