ボヴァリー夫人|動画配信情報・感想・評価・解説

ボヴァリー夫人
2014年製作/119分/ドイツ・ベルギー・アメリカ合作 予告動画を検索

動画配信

U-NEXT(ユーネクスト) U-NEXTで検索
31日間無料

TSUTAYA TV(ツタヤTV) TSUTAYA TVで検索
30日間無料

キャスト・スタッフ

監督
脚本
原作
出演
音楽
製作

「ボヴァリー夫人」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「ボヴァリー夫人」はソフィー・バーセス監督によって、2016年の7月16日に劇場公開されています。

ギュスターヴ・フローベルがレヴィ書房から1857年の4月に刊行している、ロマンス文学を映像化したものです。

幸運の箱を手に入れながらも開くことが出来ない女性の葛藤に迫る「Happiness」や、魂が冷凍保存されて売り買いされる近未来を皮肉った「Cold Souls」など。

短編映画からコメディーまでの創作活動を続けている、1974年生まれでフランス出身の脚本家・映画作家が長編第2弾を発表しました。

クランクインは2013年9月で、ノルマンディー地方での主要撮影を皮切りにフランス各地での現地ロケを敢行しています。

心優しくも凡庸な田舎医者チャールズ・ボヴァリーの妻となった夢想家の女性が、転落していく様子を追ったラブストーリーです。

あらすじ

とある小さな村で生まれたエマは生後間もなくに母親を亡くして、修道院に預けられて敬虔なシスターたちの手によって育てられました。

やがて美しく成長を遂げたエマは同じ村に住んでいる青年医師、チャールズからの熱烈なプロポーズを受けます。

結婚後もチャールズは受け持ちの患者を数多く抱えていて、朝早くから家を出ていきゆっくりと話も出来ません。

大勢の使用人たちに囲まれて何ひとつ不自由のない暮らしを送っているはずのエマでしたが、物足りなさは募っていくばかりです。

法律事務所に勤めながらもまだ見ぬ世界への憧れを捨てることのないレオン・デュピュイ、数多くの女性たちとの浮き名を流してきた侯爵。

突如として目の前に現れたふたりの魅力的な男性に夢中になっていくエマに、思わぬ悲劇が待ち受けているのでした。

文芸ロマンの登場人物に成りきる俳優たち

愛と自由をただひたすらに追い求めていくヒロインのエマを、ミア・ワシコウスカが情緒豊かに演じていきます。

修道女時代に身につけている質素なローブから、結婚パーティーでの純白のウェディングドレス姿まで変幻自在です。

映画の冒頭では決まりきった日常に諦めきった気だるげな眼差しを浮かべていますが、みるみるうちに生気を取り戻していました。

終盤での許されざるロマンスと浪費癖に溺れていくエマを体現した、鬼気迫るほどの演技にも驚かされることでしょう。

そんなエマからするとまるで別世界の住人、レオン・デュピュイの役をエズラ・ミラーが華麗に扮していきます。

見るからにただ者ではない侯爵の役にキャスティングされている、ローガン・マーシャル=グリーンも威厳たっぷりです。

堕ちていく女

時間を持て余していた主婦がふとした弾みから道ならぬ道ならぬ関係へと溺れていく様子は 、まさに現代の昼ドラですね。

豪華絢爛なドレスを買い漁り高級なアクセサリーを揃えてしまうのは、今でいうところのショッピング依存性のようなものなのでしょうか。

世間知らずなエマに巧みに取り入って衣装代を融通する、ルウルーのようや怪しからん輩も今の時代と同じでした。

次第に借金の金額ばかりが膨らんで返済が追い付いていかない悪循環には、闇金をテーマにしたあの人気コミックを彷彿とさせるものがあります。

崖っぷちへと追いつめられたヒロインに残されている選択肢は、200年近く前のフランスであるだけにそれほど多くはありません。

ありとあらゆる幸せを失いながらも最後まで愛と自由を捨てることのなかった、エマが下した究極的な決断を見届けてあげてください。

彼女たちへの締め付け

由緒正しい家柄の令嬢であるエマばかりではなく、やたらと女性たちがコルセットや紐などで自分自身の身体を締め付けています。

貞淑さを女性に対して押し付けていく、19世紀のフランス社会全体を覆っている閉塞感にも繋がるものがありました。

結婚式が終わって部屋に引き揚げたエマが、背中の紐をチャールズの助けを借りてほどいていくシーンが印象深かったです。

何をするにも引っ込み思案な性格だったエマが、これ以降は箍が外れたかのように自由気ままに振る舞うようになっていく変わり様に注目して下さい。

自宅から村外れを流れる川の手前までの曲がりくねった道は、エマとチャールズにとっては毎朝の散歩コースになっています。

ほとりでは労働者階級の女性たちが洗濯に追われていて、川の向こうの世界を見ることなく生涯を終えていくような予感を覚えてしまうはずです。

悲恋の幕開け

目に涙を浮かべたひとりの美女が、色鮮やかな紅葉シーズンを迎えた森の奥深くの小道を足早に駆け抜けていくことによって物語は幕を開けていきます。

新婚生活にドラマチックなトキメキを期待しながらも、現実的な夫にあっさりと裏切られてしまう主人公・エマがほろ苦いです。

せっかく新妻が半日がかりかけて作った手料理に対して、文句ばかりを並べ立てる夫のチャールズには呆れてしまいました。

夫が帰宅するまで家の中で読書に耽ったりお屋敷の敷地内をブラブラしているエマが、駕籠の中で飼われている小鳥に重なります。

物語の舞台に設定されているヨンビルの、代わり映えのしない街並みと行き交う人々の無表情も心に残りました。

そんなエマの止まっていた時間を動かしていくのは、パリからの若き来訪者と名うての熟年プレイボーイのふたりです。

パリへの道のり

刺激を求めていたエマの目の前に颯爽と現れる法律事務所の書記官、レオン・デュピュイが素敵なキャラクターでした。

地元の女性たちからは「フランスで最もロマンチックな男」とまことしやかに囁かれているだけあって、恵まれているのはルックスだけではありません。

広大なヨーロッパ大陸をたったひとりで馬車に乗って放浪するほどの行動力の持ち主で、エマが憧れてしまうのも当然です。

自宅でエマがピアノを弾いている時にレオンが訪ねてきて、そっと1枚のパリ市街地の地図を差し出すシーンも印象的でした。

いつかは紙の上ではなく自分の足で夢の都を歩きたいと渇望しながらも、叶うことのないエマの願いが切ないです。

立ち去る男に引きずる女

突然レオンから受けた愛の告白に胸を高鳴らせながらも、エマはあと一歩のところで受け止めることが出来ません。

狭苦しく何かにつけてお堅い風潮のヨンビルに、馴染むことが出来ないレオンの胸の内は充分に理解できます。

間もなく更なる冒険と絶景を渇望して、遥か彼方にある海辺の街・ルーアンへと旅立っていく後ろ姿が勇ましく映りました。

ひとり置いてきぼりとなってしまったエマが、心の空白を埋めるかのように侯爵との関係にのめり込んでいく姿が痛々しいです。

こんな人におすすめ

冒頭の森のシーンでエマが泣きじゃくっていた理由が、ようやく明かされていくクライマックスが衝撃的です。

余りにも破滅的な結末の中にも、お互いへの気持ちだけを貫き通した男女へのレクイエムが込められていました。

文豪の長編小説がもとになっていると聞くと身構えてしまいますが、新たな解釈と独自の着眼点から実写化されていてそれほど堅苦しいイメージはありません。

古典的フランス文学に詳しい読書家の皆さんばかりではなく、恋愛映画がお好きな皆さんにもお勧めの1本だと思います。

原作は2015年5月に新潮文庫から芳川義久によって新訳版が刊行されていますので、興味がある方は手に取ってみて下さい。

みんなのレビュー

【投稿されたコメントをシェア】
秀逸なコメントをSNSに投稿して
ボヴァリー夫人」を
布教しちゃってください!
【コメント募集中】
ボヴァリー夫人」の
おすすめのポイントを
自由に紹介してください!