エリカ38|動画配信情報・感想・評価・解説

エリカ38
2019年製作/103分/日本 予告動画を検索

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キャスト・スタッフ

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製作
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「エリカ38」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「エリカ38」は日々遊一監督によって、2019年の6月7日に劇場公開されているクライムエンターテイメントです。

国境を越えて愛されたベテラン俳優の素顔に迫る「健さん」や、ひとりの写真家への並々ならぬ敬愛を込めた「A Weekend With Mr. Frank」等。

ニューヨークを拠点に活動を続けている、1964年生まれで名古屋市出身の映像作家がメガホンを取りました。

僅か4日間で敢行したタイでの海外ロケと、2週間の国内撮影を合わせて完成へと漕ぎ着けました。

実在する女詐欺師をモデルにして、金に踊らされる人たちの愚かさを描いた問題作です。

あらすじ

渡部聡子は高級クラブで人気のホステスとして働きながら、サプリメントの販売会社を切り盛りしていました。

ある時に喫茶店で知り合った会社社長・伊藤信子から、事業を通じて発展途上国への経済的な支援を行っているという平澤育男を紹介されます。

「説明会」という名目で出資者を募って手際よく資金を集める平澤の手腕を目の当たりにして、聡子はすっかり夢中です。

次第に聡子の方が表舞台に立って説明会を取り仕切るようになり、平澤とも個人的な深い仲になっていきます。

上手くいっていたふたりが袂を分かつことになったのは、平澤が会社の資金を若い愛人に入れ揚げるようになったからです。

更には何時まで経っても配当金を受け取ることが出来ない出資者たちが騒ぎ始めていき、聡子は窮地に立たされるのでした。

名優からの贈り物

「エリカ」こと主人公の渡部聡子が辿っていく数奇な道のりを、1956年生まれで東京都出身の浅田美代子が演じていきます。

西田敏行主演の人気シリーズ「釣りバカ日誌」で主人公の浜崎伝助の、心優しき妻・美知子役でお馴染みですね。

今作では打って変わってとことん強欲な詐欺師の役にチャレンジしていて、その妖艶な演技には圧倒されます。

山根成之監督によって1974年に発表された青春ドラマ「しあわせの一番星」以来、実に45年ぶりの映画主演作となりました。

聡子の母親・薫役で出演している樹木希林とは、テレビドラマ「時間ですよ」やバラエティー番組でも過去に競演しています。

プライベートでも親交を深めていたのは有名で、稀代の名優にして掛け替えのない友の置き土産となったのが本作品です。

撮影現場で贈られた「人としてちゃんと生きれば、どんな役でも出来る」という言葉が、まさにこの映画の中に息づいていました。

年を取ってから欲しくなるものは

ただ単に事件発生からその顛末を追っていくだけではなく、中年期に突入した男女の哀しさや滑稽さも映し出されていきます。

慌ただしく過ぎていく毎日の中でふとした瞬間に抱いてしまう、人生に対する儚さや虚しさには若い人でも共感できるはずです。

もともと売れっ子のホステスでもあり実業家としても成功していた聡子は、それほど金銭的に逼迫している訳ではありません。

財産では決して埋めることが出来ない心の透き間を、どうやって埋めていくのかが人生における大きな課題です。

年を重ねることからはどんなにお金を集めたとしても逃れられないという、残酷な現実を突き付けられる物語でもあります。

ほとんど全員が不幸な末路を辿っていく終盤での急展開で、ただひとりお金以外の大切なものを掴んだ青年・ポルシェに注目して下さい。

誰もが持つ心の闇に光を当てる

殺伐として今の時代において多くの人々の心の奥底に眠っている、虚栄心や欲望を容赦なく暴き立てていきます。

騙し取ったお金でブランド物を飼い漁ったり、ホストクラブに通いつめたりと聡子の荒んでいく生活には呆れてしまうはずです。

その一方では年取って老人ホームに入居していた母・薫を、バリアフリー対応にリフォームした自宅に呼び寄せるなど肉親への愛は失われていません。

単純な善悪二元論では捉えきることが出来ない、聡子の深い葛藤と孤独感に引き込まれていきます。

本能の赴くままに犯行を重ねていた聡子にクライマックスで待ち受けている、思わぬ落とし穴も衝撃的です。

悪漢たちの知恵比べ

如何にして聡子が自らの年齢を20歳以上もサバを読んで、億単位の耐久性を荒稼ぎしたのかが明かされていきます。

聡子がその道に足を踏み入れるきっかけとなったのが、「社団法人ルトックス」なる怪しげな団体を立ち上げている平澤育男です。

言葉巧みに資者を誘い出して、説明会であっという間に信頼を得てしまう狡猾な手口には驚かされることでしょう。

手始めの出資者集めから地道な回収作業にその仕上げとなる証拠の隠滅までの一連の流れが、事細かに描写されていてリアリティーがありました。

20人を越える支援者に取り囲まれて配当金を迫られるような修羅場でも、ただひたすらに白を切り続けていきます。

平澤のやり口を自分流にアレンジしつつ、独自の人脈を活かして金づるを引っ張ってくるなど強かさという点では聡子も負けてはいません。

才能を開花させる聡子とパートナーとの別れ

いつの間にか本業を忘れてしまうほどに、平澤の事業に肩入れしていく聡子の心境を理解するのは難しいです。

お金のためだったのか、退屈な日常を抜け出すための糸口だったのか、平澤への個人的な思い入れがあったからなのか。

そんなビジネスパートナーとも恋人同士とも言えない奇妙な関係も、中井亜紀という若い女性に鞍替えした平澤の裏切り行為が引き金となってあっさりと破綻してしまうのが痛切です。

子供の頃に父親の浮気性に悩まされた聡子が、大人になってからも信頼していた相手に同じ仕打ちを受けてしまうのが皮肉でした。

聡子からエリカへ

自身に迫った捜査の手から逃れるためにタイへと繰り出していった聡子が、潜伏先で出会ったのが年若い男性のポルシェです。

木訥としてありとあらゆる欲望から解放されたかのような、そのストイックな顔立ち佇まいは修行僧のようでした。

地元の繁華街を自由気ままにデートしたり、自転車に2人乗りして観光スポットを駆け抜けたりとごく普通のカップルのようなふたりが微笑ましく映ります。

年齢詐称だけではなく遂には自分自身の名前「聡子」を捨て去って、異国の地で「エリカ」として生きることを夢想してしまう瞬間が圧巻です。

長い人生の中においては、誰しもが1度は別の場所で別の人間に生まれ変わることを渇望してしまうのかもしれません。

生まれて初めて細やかな幸せと解放感に包まれていたエリカとポルシェの時間も、やがては終わりを告げることになります。

こんな人におすすめ

騙された被害者の男性たちが、誰ひとりとして聡子を責めることはなかったという後日談が不思議でなりません。

あくまでも58歳ではなく38歳と言い張るエリカと一緒にいることで、自らに迫る老いから目を逸らしたかったのでしょうか。

長期間に及ぶ勾留と裁判によって変わり果てた聡子のアップがラストショットを飾りますが、そこには紛れもなく年相応の深いシワが刻み込まれています。

一瞬だけ聡子の顔によぎる何とも大胆不敵な微笑みを、面会室の分厚いガラスを通して見逃さないでください。

罪を償って釈放された聡子が、懲りずにどこかのクラブでお客さんを引っ掛けている姿を思い浮かべてしまいました。

アンチエイジングや見た目年齢が気になって仕方がない、中高年世代の皆さまには是非ともご覧になって頂きたい1本です。

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