グランドピアノ 狙われた黒鍵|動画配信情報・感想・評価・解説

グランドピアノ 狙われた黒鍵
2013年製作/91分/スペイン・アメリカ合作 予告動画を検索

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キャスト・スタッフ

監督
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原作
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出演
音楽
製作

「グランドピアノ 狙われた黒鍵」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「グランドピアノ 狙われた黒鍵」はエウヘニオ・ミラ監督によって、2014年の3月8日に劇場公開されてます。

鮮烈なデビュー作となった「フェード」や、知覚障がいに悩む女性が亡くなった父が残した産業秘密に翻弄されていく「AGNOSIA」等。

短編映画の制作から作曲家まで多才な一面を持ち合わせている、1977年生まれでアリカンテ出身の映画作家による長編第3弾です。

ジャズドラマーを目指す男子高校生を主役に迎えた「セッション」でメガホンを取ったデイミアン・チャゼルが、オリジナルシナリオを書き下ろしました。

テキサス州オースティン開催のファンタスティック・フェストでは、2013年9の月30日にプレミアム上映されています。

狙撃手から生命を狙われた落ち目のピアニストが、生演奏の最中に恐るべき真実を暴き出していくサスペンスドラマです。

あらすじ

大一番での演奏ミスが大きなトラウマとなって、トム・セルズニックはコンサート恐怖症になってしまいます。

人目を気にしてしまうというハンディキャップを抱えてしまったせいで、ここ5年ほどは表立った活動はしていません。

久しぶりにステージに立つことになったきっかけは、トムの敬愛するパトリック・ゴーダルーの追悼コンサートの開催が決まったからでした。

かつての若手ナンバーワン・ピアニストのカムバックを人目見ようと、一般のファンからマスコミ関係者までが詰め掛けてきて大盛況です。

何とか無事に公演に漕ぎ着けましたが、楽譜の中には赤いインクで「音符を1つでも間違えたら君を殺す」と書き込まれています。

極限状況下でも正確無比にピアノを弾き続けていくトムは、犯人の意外な正体とその目的を知ることになるのでした。

ステージに集う役者

人前でピアノが弾けないという致命的なウィークポイントを抱えている、主人公のトム・セルズニック役をイライジャ・ウッドが務めています。

人気ファンタジー「ロード・オブ・ザ・リング」のフロド役で有名ですが、黒いタキシードに白の蝶ネクタイ姿も似合っていました。

今作では合成にも吹き替えにも頼らない演奏シーンにチャレンジするために、一流の講師のもとでレッスンを受けたという逸話には感心させられますね。

多くの謎に包まれている名無しの脅迫者を怪演しているのは、「殺しのナンバー」などスパイ映画でお馴染みのジョン・キューザックです。

目的のためならば手段を選ぶことなく、計算高く立ち回るハンターとしての精悍な表情を焼き付けていました。

何かと浮き沈みの激しい夫のトムを陰ながら見守っていく、エマにキャスティングされているのはケリー・ビシェです。

劇中でも人気女優の役を演じていて、豊かなブロンドヘアを引っ詰めて全身ブルーでドレスアップした姿は必見ですよ。

緊迫感を高める旋律

アリカンテの高校を卒業してからピアニストとしてマドリッドで活躍していたミラ監督らしく、劇中にも音楽への並々ならぬこだわりがあります。

トムと亡きパトリックのふたりしか演奏出来ないという「ラ・シンケッテ」を、監督の片手間に作曲してしまうほど才能豊かです。

トムの5年ぶりの門出を祝うべくタッグを組むこととなったのはF.C.O.交響楽団で、指揮を執るノーマン・ライジンガーは実に豪放磊落な性格でした。

本番5分前が迫ると団員たちを奮い立たせるために投げ掛ける、「武器を構えろ」というセリフもバッチリ決まっています。

まさに演奏家にとっては楽器は戦場の兵士にとっての剣と盾であり、今回トムに与えられたのはベーゼンドルファーのピアノです。

もともとはオーストリアの伝統的な職人さんたちによって営まれてきましたが、2008年以降は日本のヤマハに吸収されてしまった顛末がほろ苦いですね。

オーソドックスな88タイプではなく97個の鍵盤が埋め込まれているのと、一部の鍵盤が黒くペイントされている点も大きな鍵になっています。

命がけのリサイタル

1音でもミスタッチをしたら非情な銃弾が撃ち込まれてしまうという、極限状況下での演奏は文字どおり手に汗握ります。

大勢の観客が見守る中で厳重な警備態勢が引かれたコンサートホールは、皮肉にも密室殺人の現場には最適です。

トムにとって唯一無二の救いだったのは、正装用ズボンのポケットの中に偶然にもスマートフォンを入れっぱなしにしていたことでしょう。

演奏中にも関わらずに片手でディスプレイを操作する離れ業と、緊急連絡を受け取った相手の驚きの行動にも注目して下さい。

リベンジの舞台へ

1台の年代物のピアノを大勢の作業員でクレーン車を使ってトラックへと搬入する一連の流れを、オープニングショットで捉えていました。

オヘア空港にたどり着くまでに機内でのトラブルに見舞われたようで、既にへろへろ状態なトム・セルズニックが心配になります。

会場となるシカゴ市内まで向かいますが、現場スタッフが手のひらを返したように冷たく控え室に誹謗中傷のビラまで張り付けられていて悲しいです。

興味本位で詰めかけた記者相手の会見から調律の最終チェックまでと事前準備に慌ただしく追われる中でも、妻のエマへの電話連絡だけは忘れません。

諦めたはずのピアニストへの道のりを、辛うじて繋ぎ止めていたのは最愛の彼女への気持ちがあったからなのでしょう。

いよいよ幕が上がる間際になって何気なく向き合った譜面から、トムの目に飛び込んできたメッセージが衝撃的でした。

遠く赤い目と耳元の囁き

特別ゲスト用として2階フロアに設けられているボックス席に、時おりちらほらと見え隠れするシルエットが気になります。

スナイパーが手にしているのはロチェスター47タイプのライフル銃で、サイレンサーが装備されているために銃声が聴こえません。

ターゲットを狙い撃ちするために赤外線照射装置から放たれていく、赤いレーザーライトが何とも不気味でした。

楽屋裏に設置されているイヤフォン型の無線端末機によって、ステージ上にいる演奏者と連絡を取り合う様子もスリリングです。

表面的には一方的に指示を出してくる敵に従いながらも、密かに反撃のチャンスを伺っていくトムの横顔が勇ましく映ります。

締めくくりの一音

会場内に潜んでいてなかなか姿を現すことのなかったスナイパーとトムとの対面と、終盤での直接対決が圧巻です。

思いの外に優れた身体能力を発揮して、スナイパーと取っ組み合いのバトルまで始めてしまうトムにはハラハラさせられます。

スナイパーの相方が予想外の行動を取った末に、仲間割れの乱闘騒ぎへと発展していきどっちに転ぶか分かりません。

自らは足に大怪我を負ってコンサートは急遽中止が決定されながらも、最後まで鍵盤を叩き続けたトムには鬼気迫るものがありました。

全ての決着がついた後にトムの痛みを癒すエマの優しさと、亡き恩師が残した細やかなプレゼントには心温まるものがあります。

こんな人におすすめ

自らの生命を賭けてでもピアノを弾いたトム、高名な音楽家の遺産を手に入れるためには殺人すら厭わない犯人。

愛する音楽を守るためにあっさりと一線を越えていく人たちの心理状態は、門外漢には想像すらつきませんでした。

1度でもプロのミュージシャンを志した人であれば、その異常とも思えるような心の動きにも感情移入できるのでしょうか。

クラシック音楽への造詣が深い皆さまやこれまでにピアノを習っていた経験がある方は、是非ともこの1本をご覧になって下さい。

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