ヒトラーと戦った22日間|動画配信情報・感想・評価・解説

ヒトラーと戦った22日間
2018年製作/118分/ロシア・ドイツ・リトアニア・ポーランド合作 予告動画を検索

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キャスト・スタッフ

監督
脚本
原作
-
出演
音楽
製作

「ヒトラーと戦った22日間」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「ヒトラーと戦った22日間」はコンスタンチン・ハベンスキー監督によって、2018年の9月8日に劇場公開されています。

実在したソビエト連邦の赤軍軍人をモデルにしていて、監督自らが書き下ろしたオリジナルシナリオを映像化したものです。

リトアニアの首都ビリニュスでの主要撮影の他、ロシア・ドイツ・ポーランド各地での現地ロケを敢行しています。

第91回のアカデミー賞では最優秀外国語映画のロシア作品にノミネートされていて、ナチス政権下の収容所で反旗を翻した男たちの脱出劇です。

あらすじ

ロシア帝政時代のウクライナで生まれたアレクサンドル・サーシャ・ペチェルスキーは、妻と子供の3人で静かに暮らしていました。

サーシャの運命が一転したのは、ナチスドイツがポーランドに侵攻して第2次世界大戦が勃発した1939年からです。

ソ連の対独抗戦の幕開けとともにサーシャも赤軍に徴用されることとなりますが、ドイツ軍の捕虜となりポーランド東部の収容施設へと収監されます。

国内外のユダヤ人を一掃するためにナチスが建設したソビボル村の強制収容所は、その劣悪な環境のためか生きて帰ってきた者はいません。

中尉という階級バッチと持って生まれた人徳のお陰で、サーシャの周りには密かに脱走を目論む同士が集まってきます。

怒りと無力感に打ちひしがれながらも、サーシャとその仲間たちは1943年10月14日の歴史的な決行日へと向かっていくのでした。

正義の脱走者と極悪看守とのバトル

「サーシャ」の愛称で親しまれたアレクサンドル・ペチェルスキーの不屈の生きざまを、ハベンスキー監督が熱演していました。

本職は俳優さんであるだけに、ウクライナに生まれてロシア軍に徴兵されたユダヤ人の血を引くマイノリティの苦悩を巧みに体現していきます。

サーシャを反乱の中心へと導いていく案内人のレオ役に扮している、ダイニュス・カズラウスカスも精悍な顔つきです。

時にはリーダーであるはずのサーシャを上回るほどの、説得力あふれる言葉で同胞を奮い立たせていく姿には胸が熱くなるでしょう。

親衛隊を率いる冷酷非情な曹長のカール・フレンツェルに、クリストファー・ランバートを配役しているのも正解ですね。

リュック・ベッソン監督作「サブウェイ」での金庫破りの役や、「シシリアン/ストーリー・オブ・ザ・マフィア」を始めとするギャング映画にも欠かせません。

熱すぎる男たちの中でもハンナ役の女優さんミハリーナ・オルシャンスカが、清涼剤としての存在感を発揮していました。

チームを結成して反撃開始

あのアウシュヴィッツと肩を並べるほどに悪名が高い、絶命収容所・ソビボルの佇まいが威圧感たっぷりでした。

厳戒な警備態勢が敷かれている刑務所の中から、如何にしてサーシャたちが自由を掴み取るのか引き込まれていきます。

将校クラスは中佐のサーシャがたったひとりいるだけで、残るひとりは少佐階級なためにいまいち頼りになりません。

軍隊経験こそないものこの収容所でも1番の古株である、レオは幾多の修羅場を切り抜けているために協力を取り付けたいです。

収容所内で自らの身に迫る危険を感じたユダヤ人は、「ゾンダーコマンダー」と呼ばれる雑役係に逃げ込みます。

処刑場で同じユダヤ人の死体の始末をする汚れ役で、中にはあっさりと同胞を裏切る密告者に成り果てた者もいました。

信頼できる味方を慎重に選んでいくシーンには、心理サスペンスとしての緊迫感もありますね。

塀の中で鳴り響くメロディー

600人を越えるユダヤ人たちが暗く閉ざされた牢獄へと押し込まれていく時に、優雅なクラシック音楽が流れています。

その大半が死すべき運命へと直面しているだけに、レクイエムのように聴こえてきて何とも物悲しい音色でした。

親衛隊の曹長としてサーシャを苦しめるグスタフ・ワーグナーの名前の中には、ふたりの偉大な音楽家が隠れているのにお気づきですか?

ひとりはグスタフ・マーラーでウィーンの王室歌劇場の音楽監督を務めていた1906年に、若き日のヒトラーとニアミスした逸話は有名です。

ほとんどのマーラーの楽曲がヒトラーによって「退廃音楽」のレッテルを貼られてしまったのと比べてみると、リヒャルト・ワーグナーがナチス時代に持て囃されたのは対照的ですね。

「グスタフ」と「ワーグナー」のふたつの顔を持った看守に終盤で降りかかってくる、予想外の事態に注目して下さい。

絶望列車の到着

プラットフォームに走り込んできた汽車の中から、ぞろぞろと追い立てられるように出てくる群衆がオープニングを飾ります。

新入りたちの中でもナチスのリストアップによって「有益」のレッテルを貼られた軍人や職人たちは、辛うじて難を逃れることが出来そうです。

それ以外の幼い子供や女性たちに待ち受けているであろう、壮絶な末路は想像するだけで身震いしてしまいました。

人間の命を簡単に「有」「無」でふたつに分けてしまう傲慢さには、今の時代における格差社会や南北問題にも繋がるものがあります。

まことしやかに「ガス室」の噂が囁かれていて絶望的なムードが漂う中においても、何事にも屈することのない闘志を秘めたひとりの男の存在だけが僅かな希望です。

悪魔の饗宴と逆襲計画

あたかも動物をターゲットとにした狩りを楽しむかのように、収容されたユダヤ人に銃口を向ける看守たちには憤りを覚えました。

パトロールを終えたナチス将校たちが三々五々と集まって大広間で繰り広げる、酒池肉林の宴会にも呆れてしまいます。

表面的には絶対的な忠誠心を披露して道化師に徹しながらも、心の奥底では怒りを爆発させていくサーシャが勇ましいです。

散々苦しめられてきた看守たちひとりひとりに復讐していくために、力を合わせて綿密な計画を練り上げていきます。

それぞれの思いを胸にソビボルの外へ

全編を通して一方的に虐げられてきただけの収容者たちが、一斉に反撃へと転じるクライマックスでの武装蜂起が迫力満点でした。

敵の猛攻や収容所周辺に仕掛けられていた無数の地雷や罠によって、次から次へと落伍していく戦友たちの姿には胸が痛みます。

念願を果たせずに死を遂げる者、最後まで誇りを失わなかった者、愛する人とふたりで外の世界へと踏み出していく者。

画面上でスローモーションで映し出されていく、それぞれの明暗がはっきりと分かれたラストショットが脳裏に焼き付きます。

こんな人におすすめ

脱走成功後のサーシャはパルチザン部隊に加わって奮戦し、その心身に安らぎが訪れることは一向にありません。

ようやく第2次世界大戦終結を迎えてもスパイ容疑で身柄を拘束されまうという波乱万丈な人生で、その人物評価時代ごとに浮き沈みが激しいです。

ジャック・ゴールド監督の1987年作「脱走戦線 ソビボーからの脱出」では、2019年7月に亡くなった名優ルトガー・ハウアーがサーシャ役を演じました。

30年以上前の別の作り手の視点から眺めてみると、より一層にサーシャの実像に迫ることが出来るのではないでしょうか。

映画館の暗闇が登場人物たちの息苦しさと重なり合っていた分だけ、鑑賞し終わって外に出た瞬間の解放感は格別です。

歴史ドラマや戦争映画に造詣が深い方たちだけではなく、脱獄をテーマにした作品がお好きな皆さんも是非ご覧になって下さい。

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