赤い雪 Red Snow|動画配信情報・感想・評価・解説

赤い雪 Red Snow
2019年製作/106分/日本 予告動画を検索

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キャスト・スタッフ

監督
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原作
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出演
音楽
製作
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「赤い雪 Red Snow」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「赤い雪 Red Snow」は甲斐さやか監督によって、2019年の2月1日に劇場公開されているミステリードラマになります。

「オンディーヌの呪い」や「伝染るんです。」等、短編映画の製作からアートディレクターまでの幅広い創作活動を続けている若手作家の長編デビュー作です。

少年失踪事件にまつわる実話を綿密にリサーチ・脚色して、甲斐監督がオリジナルシナリオを書き上げました。

山形県新庄市大蔵村の肘折地区でのメイン撮影の他、新庄フィルムコミッションの全面なバックアップを取り付けて現地ロケを敢行しています。

2018年の11月にモロッコで開催されたマラケシュ国際映画祭でのコンペティション部門に正式出品された後で、全国20箇所以上のシアターでの上映に漕ぎ着けました。

とある雪深い小さな村で忽然と行方不明となった少年に隠されている、恐るべき秘密を30年越しに浮き彫りにしていく衝撃作です。

あらすじ

白川一希の幼い弟・卓巳の失踪騒ぎによって、容疑者として警察からの事情聴取を受けていたのは近所に住む江藤早奈江です。

過去に殺人事件の容疑者になったこともある早奈江でしたが、一希の証言があやふやだったこともあり無罪となります。

卓巳の事件が迷宮入りとなって以来、一希は陶器職人として働きながら人目を忍んでひっそりと生きてきました。

一希のもとをある日突然に記者の木立省吾が訪ねてしたのは、事件発生から30年あまりの歳月が流れていた頃です。

省吾の話では早奈江には小百合という名前のひとり娘の小百合がいて、彼女が住んでいる島は一希の自宅からそう遠くはありません。

悩んだ末に小百合に会いに行くことを決意した一希は、30年前の事件の意外な真相を知ることになるのでした。

悲劇の幕を開ける役者たち

30年前の哀しい思い出を胸に秘めたままで生きる主人公、白川一希を永瀬正敏が悲哀を滲ませながら演じていきます。

自らのせいで姿を消した弟への言い知れない後悔の気持ちと、心の奥底に残されたままの深い傷あとが痛切でした。

一希とは愛憎半ばする関係性へと陥っていくダークなヒロイン、江藤小百合の役に抜擢されているのは菜葉菜です。

ふとした瞬間から一線を越えてしまうような危うい女性の生きざまに、体当たりの演技でアプローチしていました。

多くの謎に包まれていて一希と小百合を翻弄していく、宅間隆役の佐藤浩市が披露する怪演技も見応え抜群です。

今作の役作りとためだけにドライヤーの熱風を当てて、前歯を黄色くしたというエピソードにはビックリですね。

家城巳代治監督の「異母兄弟」の撮影中に、自らの手で10本抜歯したという父・三國連太郎を思い浮かべてしまいます。

小説よりも奇な事実を映画化

実際に発生した事件からインスパイアされたという、練り上げられたストーリーと独特な世界観に迷い込んでしまいます。

被害者の弟と容疑者の娘という巡り合わせからは、否が応にも許されざるロマンスを期待してしまうことでしょう。

更には被害者と加害者の立場がドラマチックに逆転していく、後半以降の急展開にも引き込まれていくはずです。

余りにも容赦なく残酷な描写には、いま現在でも現実の世界の何処かで虐げられている人たちに想いを巡らせてしまいます。

見たくもないものや思い出したくもないものを描くことこそが、今の時代における映画に課せられた宿命なのかもしれません。

不確かなものを見る

美しさを湛えた映像の中にも何処か儚いイメージがあって、人間の記憶の不確かさについて痛感させられます。

そもそもの発端は弟の側にずっと一緒にいたはずの一希の証言が、二転三転していて信憑性がないことがきっかけでした。

物事の真実を自分の都合の良いように解釈したり、辛い過去から目を背けてしまう弱さは誰しもにあるはずです。

心理学者の柄本博明によって2009年に祥伝社新書から発行されている、「記憶はウソをつく」を読んでみたくなりました。

「アイリスショット」と呼ばれている、押し入れの穴や郵便受けの隙間から除き込むような映像も効果的に多様されています。

どの登場キャラクターの目線なのか、見たまんまで信じていいものなのか、30年前の出来事なのか今現在なのか。

撮影者によって随所に仕掛けられている巧みなミスリードに引っ掛からないように、注意を凝らしながら観賞して下さい。

白煙の中の赤点を追う

オープニングでは雪景色に覆われた田舎町を駆け抜けていくひとりの少年を、手持ちのカメラが執拗に追いかけていきます。

画面いっぱいに真っ白な雪がしんしんと降り注いでいく中で、少年が身に纏っている服の赤色が映えていました。

少しずつ視界がぼやけていく中で、ゆっくりとした速度で中央に広がっていく赤い汚点が何とも怪しげなムードです。

角を曲がった先にひっそりと佇んでいる老朽化した1軒の木造アパートからは、更なる不吉な予感が漂ってきました。

左右に揺れ動いていた画面が突如として切り替わり、青く晴れ上がった空と雪に刻まれた足跡が映し出されていきます。

二度と戻ることのない少年時代の掛け替えのなさと、生きているのか死んでいるのかさえ分からない血を分けた兄弟の存在が切ないです。

忌まわしき封印を紐解いていくルポルタージュ

朝早くから疲れ果てたような一希の表情からは、30年ものあいだ同じ悪夢にうなされていることを物語っていました。

ただただ単調なペースで日々を繰り返していく生活によって、辛うじて人間らしいり理性を保っていることが伝わってきます。

黙々と手に握りしめた筆を動かして伝統工芸品に色をつける、職人としての一希のストイックさも印象深かったです。

ルポライター・木立省吾の予期せぬ訪問と持ち込まれてきた資料によって、決まりきった一希の日常が動き始めていく瞬間を捉えていました。

過去と現在の狭間に置き去りにされていたかのような卓巳の行方に、30年ぶりにスポットライトを当てて明らかにしていく謎解きが手に汗握ります。

足りない者たちが集う島

一希が暮らしているアパートからも程近い、世の中の流れから見捨てられたかのような小さな島が心に残りました。

島の寂れた旅館で働きながら隙を見てお客さんの財布に手を出しては現金を抜き取る、小百合の節操のなさには呆れてしまいます。

昼間から大量のアルコールに溺れては自堕落な時間を過ごしているだけの、小百合の同居人・宅間も救いがたいです。

世間一般の人たちと比べてみると大切な何かが欠けているふたりに、外からやって来た一希が加わることによって束の間の家族のように見えました。

こんな人におすすめ

お互いへのわだかまりを乗り越えて罪悪感を共有した一希と小百合が、ふたりだけで生きていくことを誓うシーンには心を揺さぶれます。

全編を通して冬に閉ざされた寒々しい舞台から、ようやく解放されていくクライマックスに僅かな希望を感じました。

千葉県市川市行徳の一家殺人事件をもとにした鎌田義孝監督の2005年作「YUMENO」に、 山口県光市の母子殺害事件をモチーフにした瀬々隆久監督作「ヘヴンズ ストーリー」など。

実録ドラマがお好きな映画ファンや犯罪ドキュメントに造詣が深い皆さんは、是非ともこの1本をご覧になって下さい。

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