男と女、モントーク岬で|動画配信情報・感想・評価・解説

男と女、モントーク岬で
2017年製作/106分/ドイツ・フランス・アイルランド合作 予告動画を検索

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キャスト・スタッフ

監督
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原作
-
出演
音楽
製作

「男と女、モントーク岬で」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「男と女、モントーク岬で」はフォルカー・シュレンドルフ監督によって、2018年の5月26日に劇場公開されています。

スイスの小説家マックス・フリッシュによって、ズーアカンプ社から1975年に発行された「Montauk」をもとに映像化したものです。

全148ページの中編小説をアイランドのジャーナリスト・作家のコルム・トビーンが、106分のオリジナルシナリオへと纏め上げました。

ふたつに引き裂かれた母国の苦悩を肉体的な成長を止めた少年が除き見る「ブリキの太鼓」や、抑圧的な寄宿学校からひとりの生徒が旅立っていく「テルレスの青春」など。

文芸作品の映像化から学園ドラマまでを手掛けている、1939年生まれでドイツ・ヴィースバーデン出身の映画作家がメガホンを取っています。

偶然にも思い出の地を来訪した作家が、かつての恋人と再会を果たして揺れ動いていくラブストーリーです。

あらすじ

小説家を志していたマックスは学生時代にはニューヨークの大学に通っていて、同級生のレベッカとお付き合いをしていました。

卒業と同時に堅実派のレベッカはロー・スクールへ、モラトリアム気味なマックスは世界各地を気ままに巡る旅へ。

ようやくマックスが作家として一本立ち出来るようになった頃には、レベッカは弁護士として成功していて音信不通になります。

公私に渡って優秀なパートナー・クララとめぐり逢ったマックスは、ベルリンへと拠点を移動して執筆活動に励む毎日です。

ある時にマックスは新作小説のプロモーション活動の一環として、学生時代以来となるニューヨークを訪れます。

出版社の販促イベントで朗読会を開催したマックスは、レベッカが今でもこの地で暮らしていることを知って彼女のもとへ向かうのでした。

熟年のロマンスを好演

過去にとらわれ続けているベテラン作家・マックス役の、ステラン・スカルスガルドが円熟味あふれる演技を披露しています。

ラース・フォントリアー監督の「奇跡の海」に代表されるような孤高の男の生きざまを体現するのが得意で、人間ドラマには欠かせません。

昔の恋愛を引き摺りながら生きているレベッカ役の、ニーナ・ホスも歳月を重ねてきた大人の女性の魅力たっぷりです。

ジョン・ル・カレ原作「誰よりも狙われた男」や「東ベルリンから来た女」やなどのスパイ映画や社会派ドラマのイメージが強い女優さんですが、今作では新境地を切り開いていました。

年若くいま現在のマックスをサポートしている、クララ役のスザンネ・ウォルフとのコントラストも効果的です。

マックスにとっては恩人でもあり過去と現在を繋ぐキーパーソンとなる、ウォルター役のニエル・アレストリュプも好演しています。

再会を望んだ男女の旅

タイトルにもなっているモントーク岬は、ニューヨーク州南端から大西洋に向かって細長く突き出している景勝地です。

地名はカヌーを使って漁業を営んでいた先住民族モントーケットに由来していて、マックスとレベッカにとっても思い出深い場所でした。

旅の途中で立ち寄るのは観光スポットとしても有名なモントーク岬灯台で、アメリカ合衆国初代大統領のワシントンに纏わる歴史があります。

灯台のシンボルマークでもあるブルーの漁師の像が、ベンチに腰掛けた熟年カップルを見下ろしているかのようです。

水平線にはマリンレジャーを楽しむサーファーやボートばかりではなく、昔懐かしい蒸気船や帆船が行き交っていました。

岬の灯台が照らし出すふたりの恋の行く末が、果たしてハッピーエンドになるのかほろ苦い結末になるのか気になりますね。

女2男1の行く末は

多くを語ることのなかったレベッカの、空白の時間とこれまでに歩んできた道のりに引き込まれていくはずです。

短くも穏やかで幸せだった結婚生活、ある日突然の夫との死別、過労死寸前にまで追い込まれた弁護士としての日々。

精神的なバランスを大幅に崩した果てにレベッカが救いの手を求めた、意外な相手と思わぬ体験には驚かされるはずです。

出発業界を渡り歩きマーケティングに卓越した手腕を発揮している、クララの複雑な胸中も明かされていきます。

単身ニューヨークに移住して夫と離れて暮らしているのは、この街への並々ならぬ愛着があるからだけではないようです。

出版関係者のパーティーに出席すれば、容姿端麗な彼女に心惹かれて近づいてくる文学青年も少なくありません。

ふたりの素敵な女性に挟まれた中年男性が、究極的な二者択一を迫れれた際にどちらを選ぶのか見届けてください。

恥の書き捨て

若い頃の放浪癖から抜け出せないまま年を取ったような、大人に成りきれないマックスの顔面アップがオープニングショットです。

自らの女性遍歴を恥ずかし気もなく読者にさらけ出していき、最新作の題材にまでしてしまうマックスが大胆不敵でした。

シュレンドルフ監督自身の実体験がもとになっているというだけに、若き日の恥は作家にとっては必要不可欠なのかもしれません。

クララのような美しく聡明な女性が、マックスの本を売るためだけに献身的に奔走する姿が涙ぐましかったです。

そんな妻の苦労の有り難さを噛み締めることなく、老いらくの恋に舞い上がっていくマックスの身勝手さに呆れてしまいます。

再び灯る愛

いい年をして俄に浮き足立っていくマックスには、焼け木杭に火が付くといった言い回しがピッタリと填まっていました。

秘書を介しての素っ気ないレベッカからのメッセージが舞い込んできても、一向にへこたれる様子もありません。

直接法律事務所へと乗り込んでくるほど強引さに、表面上は拒絶を示しながら心の奥底で動揺を隠せないレベッカが悩ましいです。

「取材で忙しい」と言い訳ばかりを繰り返すマックスに対して、クララが注いでいる疑り深そうな眼差しも気になります。

海の彼方へと消え失せていくお互いへの想い

巨大なビルが建ち並ぶ市街地を抜けてロングアイランド島の先端へと向かっていくレベッカを眺めていると、時間を遡っているかのような不思議な感覚に襲われます。

全てを忘れてふたりっきりのドライブへと繰り出していくマックスとレベッカを後押しするかのような、カーラジオから流れる往年の名曲も心地よかったです。

海沿いにひっそりと立ち並んでいるリゾートホテルや、マックスの携帯に記録された不在着信波から不吉な予感が高まっていきます。

打ち際に流れ着いた老木のようなマックスの佇まいと、自由気ままに海面を飛び交うカモメのようなレベッカの後ろ姿が忘れられません。

こんな人におすすめ

三者三様のけじめの付け方と、それぞれが帰るべき場所へと帰っていくようなクライマックスが清々しかったです。

ノスタルジックな風景描写と、ドラマチックな演出を排した語り口はドイツ映画界をリードし続けてきた巨匠ならではの余裕の現れでしょう。

孤独な高齢女性と年若い異国の青年が心通わせていくライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作「不安と魂」から、内外に不安を抱える探険隊が伝説の都エル・ドラドを目指すヴェルナー・ヘルツォークの1972年作「アギーレ/神の怒り」等。

かつて1960年代後半から1980年代前半にかけて、ニュー・ジャーマン・シネマに熱狂した世代の皆さんは是非ともご覧下さい。

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