パリに見出されたピアニスト|動画配信情報・感想・評価・解説

パリに見出されたピアニスト
2018年製作/106分/フランス・ベルギー合作 予告動画を検索

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音楽
製作

「パリに見出されたピアニスト」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「パリに見出されたピアニスト」はルドヴィク・バーナード監督によって、2019年の9月21日に劇場公開されています。

アフリカからやって来た青年がエベレストへの無謀な登頂を試みる「L’ ascension」や、パリの若き女性実業家がバスク地方でひと騒動巻き起こす「Mission Pays Basque」など。

アドベンチャードラマからコメディーまでを手掛けている、1966年生まれでフランス出身の映画作家による長編第3弾です。

自堕落な生活を送ってきた青年がピアノ教師とのめぐり逢いを通して、自らの人生と向き合っていくヒューマンドラマに仕上がりました。

あらすじ

パリ郊外にある低所得者層向けの団地の一室で、マチュー・マリンスキーは母親と妹弟の4人で暮らしていました。

幼い頃からクラシック音楽に興味を抱いてきたマチューでしたが、経済的な事情のためにピアノ教室に通うことが出来ません。

パリのターミナル駅には誰でも無料で利用可能な1台のピアノがあるために、マチューは独学で練習するようになります。

いつものようにピアノを弾いているマチューに名刺を渡したのは、パリ国立音楽院でディレクターを務めるピエール・ゲストナーです。

マチューの非凡な才能に気がついたピエールは、4カ月後に開かれる大事なピアノコンテストの代表選手に選びます。

幾度となく問題行動を起こして反抗していたマチューも、ピエールの真摯な指導に触れていくうちに心変わりをしていくのでした。

フランス映画の秘蔵っ子が名演奏に挑む

生い立ちや環境には恵まれないながらも天賦の才能を秘めた、マチュー・マリンスキー役はジュール・ベンシェトリです。

父親は「歌え!ジャニス・ジョプリンのように」などの監督作があるサミュエル・ベンシェトリ、母親は女優のマリー・トランティニャン。

更に遡ると「男と女」や「Z」に代表されるような、名優ジャン・ルイ・トランティニャンの孫に当たります。

劇中で披露しているの情感あふれる演奏シーンには、フランス映画界のサラブレッドとして今後の活躍にも期待を寄せてしまいますね。

マチューを時に厳しく時には優しく導いていく、ピエール・ゲストナー役を演じているのはランベール・ウィルソンです。

マチューとは数多くの障壁を乗り越えて心通わせていく、アンナ役のカリジャ・トゥーレも存在感を発揮しています。

パリの街並みが似合うキャラクターたち

マチューとピエールが運命的な出会いを果たすのは、北駅に設置されて「自由に弾いて下さい」とだけ書かれたピアノです。

行き交う無数の観光客や地元の人たちで賑わうパリの駅構内に、ヤマハのピアノがポツンと佇んでいる風景は不思議ですね。

音楽学校の女子生徒・アンナと仲良しになって、デートコースとして巡るのはサン・マルタン運河沿いの通りです。

平日は朝から晩までレッスンに明け暮れていたマチューがつかの間の青春を謳歌する様子が微笑ましく映ります。

週末の夕暮れ時にはローラースケートで滑走する若者たちで溢れかえっていて、背景には火災に遭う前のノートルダム大聖堂がライトアップされてい感慨深いです。

ストーリーを彩るクラシックの名曲の数々

映画の冒頭で雑踏に囲まれたストリートピアノに向かって一心不乱にマチューが弾いている曲は、ヨハン・セバスチャン・バッハの「平均律クラヴィーア曲集」です。

パトロール中の警察官が少しずつ近づいてくる中で高まっていく旋律は、いやが上にも波乱含みの幕開けを予感させます。

マチューが住んでいる場所は労働者階級や移民が多いエリアで、ヒップホップが人気でクラシックの静謐さとは程遠いです。

若手ピアニストにとっては登竜門とも言えるコンクールに参加することとなったマチューは、課題曲を完璧にマスターしなければなりません。

「ピアノ協奏曲 第2番」は音楽家としてスランプに陥っていたセルゲイ・ラフマニノフが、1901年に完成に漕ぎ着けた代表曲です。

人生に迷い続けてきたマチューにとっては相応しい曲であり、自身の進退を問われることになるピエールにとっても思い入れのある曲になります。

底辺から這い上がる

オープニング早々に窃盗事件に荷担した挙げ句に、社会復帰のための6カ月間に及ぶ勤労奉仕を命じられてしまうマチュー・マリンスキーが不甲斐ないです。

離婚後に職を転々として女手ひとつで3人の子供たちを育て上げてきた、マチューの母の苦労にも思いを巡らせてしまいました。

音楽エリートたちが集うコンセルヴァトワールで、一心不乱にモップで床の清掃に明け暮れるマチューの姿が切ないです。

如何にも高級そうなファッションに身を包んだ女子グループたちは、談笑に夢中でマチューには目を呉れることもありません。

ふとした気まぐれからマチューに声を掛けてくれたアンナも、実家は裕福なために結局のところ「あちら側」の人間です。

格差社会をまざまざと見せつけられる一幕でもあり、指さきひとつで運命を切り開いていくマチューの反骨の精神も伝わってきました。

袂を分かつふたり

付きっ切りのプライベートレッスンばかりではなく、自宅の屋根裏まで下宿の代わりに提供するピエールの至れり尽くせりにはビックリです。

若干16歳にして白血病との闘病を続けた末にこの世を去った、ピエールの息子・トマのエピソードには涙してしまいました。

我が子を奪われた喪失感を埋め合わそうとするピエールが、マチューにとっては重荷になってしまうのは致し方ありません。

「俺は操り人形じゃない」というマチューの激白には、自らが果たせなかった夢を他人に託す身勝手への鋭い批判が込められていました。

遂にはマチューは国際ピアノコンクールへの出場を辞退して、間借りしていたピエールの高級住宅街から以前の団地暮らしへと逆戻りしてしまいます。

魂を込めて鍵盤を叩く

コンクール出場を辞退して緊張の糸がプツリと切れたマチューの、以前のように荒んでいく生活ぶりが痛々しいです。

1度は諦めたピアニストへの道へと再びマチューを突き動かしたきっかけは、弟のデイヴィットの突然の事故でした。

搬送先の病院からコンクール会場までを駆け抜けていくマチューの姿と、思わぬ助っ人の登場には胸が熱くなります。

フード付きのトレーナーの上からピエールから借りたタキシードを羽織って、颯爽とステージに立つマチューが格好良かったです。

「怒りや痛みは音楽にぶつけろ」というピエールのアドバイス通りの、渾身の名演奏には心を揺さぶられました。

こんな人におすすめ

コンクールから6カ月の時間が流れて、本格的なピアニストとして始動したマチューの初舞台でエンディングを迎えます。

ピエールの御下がりではなく自分自身の力で手に入れた黒のタキシードも、見違えるように様になっていました。

同じステージ上にはチェロ奏者として立派に成長を遂げたアンナの姿もあり、何とも蠱惑的な笑みを送っています。

単なるガールフレンドとしての関係性から、同じ目標に向かって突き進んでいく戦友への移り変わりが清々しいです。

マチューとアンナの晴れ舞台の幕が上がる瞬間に、「あなたの指さきで」という本作の原題の邦訳が流れる演出も素敵でした。

いま現在音楽学校に通っている学生の皆さんや、プロの演奏家を志している方たちは是非ともご覧になって下さい。

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