アリスのままで|動画配信情報・感想・評価・解説

アリスのままで
2014年製作/101分/アメリカ 予告動画を検索

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キャスト・スタッフ

監督
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原作
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音楽
製作

「アリスのままで」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「アリスのままで」はリチャード・グラッツァーとワッシユウェストモアランドの、ふたりの共同監督によって製作されました。

本国アメリカで2014年12月に先行上映された後に、日本でもキノフィルムズの配給によって2015年の6月17日に封切られています。

リサ・ジェノヴァによって2009年1月にポケットブックス社から発行されている、「Still Alice」を映像化したものです。

映画スターに憧れている青年が突如として製作現場に飛び込んでいく「ハードコア・デイズ」や、往年の名優エロール・フリンの知られざる逸話が明かされていく「ラスト・スキャンダル」など。

LGBTから業界内幕まで様々なテーマを取り上げてきた、1952年生まれでニューヨーク出身の映画作家がメガホンを取りました。

第87回のアカデミー賞では主演のジュリアン・ムーアが女優賞に輝いた他、2014年度のトロント国際映画祭にも正式出品されています。

難病に見舞われた大学教授が、家族や医師のサポートを受けながら自分らしい生き方を模索していくヒューマンドラマです。

あらすじ

アリス・ハウランドは言語学者としてキャリアを積んできて、私生活でも夫のジョンと幸せに暮らしていました。

長男のトムは医大に進学して長女のアナは法律家を目指し、次女のリディアは劇団で活動中と独り立ちしています。

彼女が些細な違和感に襲われ始めたのは、家族みんなが集まって50歳のバースデーパーティーを開いてくれた時からです。

勤め先のニューヨークの大学では学生や同僚たちの名前を覚えられなくなり、講義中にも思うように言葉が出て来ません。

地元の心療クリニックを受診しても原因がはっきりとしないために、専門の医院での精密検査を受けることになります。

アリスに下された診断の結果は若年性のアルツハイマー病で、悲嘆に暮れていく彼女を家族は懸命に励ましていくのでした。

運命と戦う美しきヒロインを好演

過酷な運命へと立ち向かっていくことになるヒロイン、アリス・ハウランド役を演じているのはジュリアン・ムーアです。

本作品の役作りにあたってはアルツハイマー病患者とSkypeを利用して交流を深めたり、長期ケア施設を訪問するなど地道な取り組みをしています。

アリスにとっては生涯のパートナーにして良き理解者でもある、ジョンの役にはアレック・ボールウィンが扮していました。

撮影当時は50代の半ばに差し掛かっていましたがガッチリとして体格は相変わらずで、ロマンスグレーの髪を短く刈り込んだヘアスタイルも似合っていますね。

娘の名前さえ思い出せなくなってしまう母親とも、臆することなく向き合っていく次女・リディア役にクリステン・スチュワートが起用されています。

絶望的な状況下においても希望のエールを送り続けていく、アリスの主治医・ベンジャミン役のスティーヴン・クンケンも存在感がありました。

大切なメモリーのために

周囲の支えや主治医のアドバイスばかりではなく、惜しみ無い努力によってアリスは自分の記憶力を守り抜いていました。

朝早くにその日にやるべきことをひとつひとつ画用紙にリストアップしていき、黄色いマーカーペンで塗り潰していきます。

これまで通りの豊富な語彙力を維持するために、イラスト入りのカードを使っての言葉当てトレーニングも欠かしません。

何気ない日常生活の繰り返しの中にも、かけがえのない思い出を残すための創意工夫がたっぷりと込められていました。

アリスの目と耳で鑑賞

何かにつけて浮き沈みが激しいアリスの胸の内を、あたかも彼女の目線を通して体感しているような独特な映像は見応えがあります。

意識が明瞭な日には家族の顔がくっきりと映し出されていて、曇っている日にはボンヤリとしていてピントも合っていません。

街中で行き交う通行人の輪郭がぼやけていき焦点定まらなくなっていくシーンは、アリスの心細さと寄り添うことが出来るでしょう。

若い頃にジョンと足しげく通った海辺の別荘に立ち寄った時には、それまで鳴り響いていた雑音が消え失せていきます。

波のざわめきがファンファーレのように高まっていき、ふたりの変わらない愛を祝福するかのような演出が心憎いです。

立ち止まる彼女

ジョギングに励んでいたアリスが、突如としてキャンパス内の雑踏のど真ん中で立ち尽くすオープニングが鮮烈でした。

この日を境にしてアリスの奇行や奇妙な言動が表面化し始めていき、周りの人たちの見る目も変わっていきます。

教授や学生たちの理解を得ることが出来ずに、遂には名門コロンビア大学を去っていくアリスの後ろ姿が切ないです。

受け取った診断結果が遺伝性のアルツハイマー病であるために、子供たちへの負い目も感じてしまうのは母親の性でしょうか。

3人の子供のうちただひとり病の遺伝が確認されたアナや、母への当て付けのように大学進学を拒否したリディアなどふたりの娘とのわだかまりも気になります。

薄れゆく記憶と揺るぎない家族愛

高い知性と愛する家族に恵まれながらも、50歳という若さで記憶を失っていくアリスの苦難には胸が痛みました。

一般の人と比較してもアリスのように教育程度が高い人ほど病の進行が早いという、残酷な現実も突き付けられてしまいます。

感情を司る精神機能を巧みにコントロールして喜怒哀楽を維持するために、かえって発見が遅れてしまうという盲点もビックリです。

一方では長女・アンが人口受精の末に双子の赤ちゃんを授かるなど、思わぬサプライズも用意されていて心温まります。

圧巻のスピーチ

症状が刻一刻と進行していくアリスが、残された力を振り絞って認知症介護のシンポジウムに出席するシーンが心に残りました。

手元が覚束なくて講演用の原稿を壇上からばら蒔いてしまいますが、「今の失敗は忘れるようにしますね」と切り返すだけの余裕があります。

会場で固唾を呑んで彼女に熱い視線を送っているのは、付き添いのためにやって来たトムばかりではありません。

闘病生活を続けている患者もいれば、いま現在でも現役で活躍中の医師や研究スタッフも大勢詰め掛けています。

立場は違えどもそれぞれが同じ強敵と戦っている仲間として、会議場内はあっという間に一体感に包まれていました。

スピーチを締めくくった「苦しんではいません。闘っているのです。」という、アリスのセリフも印象深かったです。

なりやまないスタンディングオベーションと全身全霊で受け止めながら、アリスが浮かべた満面の笑みが素敵でした。

こんな人におすすめ

本作品を完成へと漕ぎ着けた僅か1年後の2015年3月10日、グラッツァー監督がこの世を去ってしまったことが残念でなりません。

自らも現代医学では治療法が確立されていない筋萎縮性側索硬化症と闘い続けた、波乱万丈な生涯を送っています。

劇中でのアリスの堂々たる立ち振舞いや発言には、グラッツァー本人の生きた証しが確かに焼き付けられていました。

医療や介護の現場で働いている方たちや医者を志している学生さんには、是非ともご覧になって頂きたい作品です。

原作小説は日本でも翻訳家の古屋美登里の訳によって、2015年の5月1日にキノブックス社から刊行されています。

映画版とは異なる登場人物やキャラクター設定も魅力的ですので、興味がある読書家の皆さんは手に取ってみてください。

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