悪夢のエレベーター|動画配信情報・感想・評価・解説

悪夢のエレベーター
2009年製作/105分/日本 予告動画を検索

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キャスト・スタッフ

監督
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原作
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出演
音楽
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製作

「悪夢のエレベーター」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「悪夢のエレベーター」は堀部圭亮監督によって製作されていて、2009年の10月10日に劇場公開されています。

2007年の10月1日に木下半太によって幻冬舎文庫から発行されている、ユーモア長編小説を映像化したものです。

堀部監督と脚本家の鈴木謙一の共同執筆によって、全313ページの原作が105分のオリジナルシナリオへと纏められました。

動物園の人気者とごく普通の青年がシュールな笑いを生み出す「やさぐれぱんだ」や、猫好きの過激化運動家がひと騒動巻き起こす「ウィー・トーマス」など。

俳優業から舞台演出までと幅広く活躍中の、1966年生まれで東京都出身の放送作家が映画監督デビューを果たしました。

常総市フィルムコミッションの全面的なバックアップを取り付けて、茨城県内各地での現地ロケを敢行しています。

緊急停止したエレベーターに閉じ込められた4人の男女が、激しい心理戦を繰り広げていくシチュエーションコメディーです。

あらすじ

意識を取り戻した小川順はエレベーター内にいて、心配そうに覗きこんでいる3人の男女に取り囲まれていました。

派手なスーツを身に纏った強面の男は安井三郎、全身黒ずくめの若い女性は愛敬香、緑のジャージ姿の中年男性は牧原静夫。

停止したエレベーターは扉が完全にロックされていて、非常ボタンも壊れているために外部との連絡が絶たれています。

小川は妻の麻奈美が出産を控えて入院しているために、早くこの場を脱出して病院へ駆けつけなければなりません。

ここのマンションの住人だと豪語していた安井の言葉や態度の端々から、小川は幾つかの不審な点に気が付きます。

更には愛敬がここに来るまでに犯した罪を告白して、牧原は隠していた特殊能力を披露しために大パニックへと陥っていくのでした。

4者4様の上がり下がり

謎めいた過去を持ち主人公でもあり狂言回しの役割りも兼ねている、安井三郎の役を好演しているのは内野聖陽です。

濃すぎるメイクとゴスロリファッションも妙に似合っている、紅一点の愛敬香役には佐津川愛美が扮していました。

むさ苦しい密閉空間においては清涼剤としての効果抜群で、クライマックス近くのどんでん返しにもひと役買っています。

異性との関係にだらしがなくいい加減な人生を送ってきた、小川順の役に起用されている斎藤工が汚れ役に徹していました。

ジョギングスーツから女装姿まで変幻自在な中年コスプレイヤー、牧原静夫役を怪演しているのはモト冬樹です。

小川の妻・麻奈美役にキャスティングされている本上まなみも、出番こそ少ないものの存在感が際だっています。

扉の内と外を飛び交う表と裏の顔

入れ替わり立ち替わりエレベーターに乗り降りする住人たちの姿が、玄関ホールから早回しで映し出されていました。

5階フロアからひとりの男性が乗り込んでくることによって、エレベーターは止まり物語は動き始めていきます。

このマンションには2台のエレベーターが完備されているために、一方が故障しただけではなかなか気がついてもらえません。

登場人物の後頭部を斜め上の角度から見下ろすように、エレベーター内部に設置されている監視カメラのアングルも絶妙です。

カメラを通して見えている表向きの顔と、もうひとつの裏の顔が交互に浮かび上がってくるにつれて物語の進行は次第に加速していきます。

しばしご歓談を

エレベーターの中に閉じ込められてしまった4人の少々訳ありな人たちが、多かれ少なかれ嘘を付いているのがポイントです。

ようやくパニック状態が鎮まっていくにつれて、まるっきりの他人同士でも少しずつですが打ち解けることが出来ます。

警戒心を解き始めた4人が気晴らしにポツリポツリと語り出す、それぞれの身の上話も味わい深いものがありました。

普段であれば決して口に出せないような秘密でさえも、思わすポロリと溢してしまうのは行きずりの相手だからかもしれません。

閉鎖的な空間に追い込まれると目の前の相手に対して恋愛感情を抱いてしまう、ストックホルム症候群にも注目して下さい。

どろどろの騙し合いを繰り返した果てに、いつの間にやら不思議な一体感が芽生え始めていく終盤戦も見応えがありますよ。

浮気男が宙吊り状態

「人生を野球のペナントレースに例えるならば」という意味深なモノローグから、ストーリーは幕を開けていきます。

エレベーターに取り残された4人のメンバーが、優勝争いから真っ先に脱落した万年Bクラスの弱小チームのようです。

この中では比較的に真っ当な人物に見えていた小川順の、被っていた化けの皮がいの一番に剥がれ落ちていきます。

身重の妻を抱えながらも、別の女性とマンションでつかの間の逢瀬を満喫してしまう小川順には唖然とさせられました。

偶然にも同じエレベーターに乗り合わせた他の3人との間にも、些細ないざこざや余計なトラブルを招いてしまいます。

いざというときに携帯電話のバッテリー切れに見舞われたりと、何かにつけてタイミングが悪いのもお約束です。

ゴスロリ少女の逆襲

自分の携帯電話の電池切れは棚に置いて、ここに来るまでに携帯を捨ててきた愛敬香を攻め立てる小川の身勝手さは相変わらずです。

にわかに豹変してカッターナイフを振り回してくる様子からすると、暴力的という性格では愛敬も決して負けてはいません。

好意を持っていたカウンセラーを姉に盗られてしまっただけで、勤め先にまで襲撃に行ったという武勇伝には圧倒されました。

遂には放火にまで手を染めてしまい、罪滅ぼしのためにこのマンションの屋上から飛び降りるという決意に驚かされます。

終始一貫して陰りを帯びた眼差しと固い表情を崩すことはありませんが、ときおり年相応の女の子らしさが垣間見えるのが微笑ましかったです。

「私は決して愛敬がある方ではない」という何気ない駄洒落も、後半の展開で微妙に絡んでくるので覚えておいて下さい。

シーソーゲームを経て最終回へ

ジョギングを趣味にしている通りすがりの牧原静夫が、人の身体に触れるだけで心が読めるエスパーだという設定が胡散臭げです。

このマンションの入居者ではなくて懲役を済ませたばかりの空き巣、空き巣ではなくて探偵事務所を切り盛りする所長。

二転三転する安井三郎の説明も、そう簡単には信用できません。

愛敬が都合よく持っていたボイスレコーダーから、徐々に小川の心の奥底には漠然とした違和感が涌いていきます。

巧妙に張り巡らされていた伏線から小川が導き出した思わぬ真実と、終盤での更なる逆転劇にハラハラさせられました。

こんな人におすすめ

ようやくエレベーターの圧迫感から脱出した末に、たどり着いた屋上で夜空を見上げた時の解放感は格別でした。

最後まで残されていた謎が解き明かされた瞬間には、ゲームが終わった後のような一抹の寂しさを噛み締めてしまいます。

消化試合を送っていたような人たちが、初めてのフルスイングで放った起死回生の逆転ホームランが痛快です。

ノエル・カレフの傑作ノワール文学「死刑台のエレベーター」から、デヴィッド・フィンチャー監督作「パニック・ルーム」まで。

古今東西の密室トリックを見破ってきた推理小説の愛好家や、スリラー映画のファンは是非ともご覧になってください。

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