マーウェン|動画配信情報・感想・評価・解説

マーウェン
2018年製作/116分/アメリカ 予告動画を検索
女性物の衣類を身に着ける異性装者であるマークは、突然差別主義のグループから暴行を受ける。事件の後、心の傷を癒すために庭に作ったジオラマ「マーウェン」のお陰で徐々に立ち直っていくマークだったが、一向に事件とは向き合おうとしない。しかし、襲撃犯の裁判が近づくにつれ周囲は慌ただしくなっていくのだった。

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キャスト・スタッフ

監督
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原作
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出演
音楽
製作

「マーウェン」をサクっと解説

ライター/ジョセフ

見たい映画はDVDや動画配信サービスではなく、なるべく映画館に足を運んで見るようにしています。これからも素晴らしい映画との出会いを大切にしていきたいと思います。

作品概要

「マーウェン」はロバート・ゼメキス監督によって、2018年にアメリカで製作されているヒューマンドラマです。

本国ではユニバーサル・ピクチャーズの配給によって先行上映された後に、日本でも2019年7月19日に劇場公開されました。

実在する写真アーティストのマーク・ホーガンの数奇な生涯をもとに、ゼメキス監督が116分のシナリオに纏め上げています。

「フォレスト・ガンプ 一期一会」や「抱きしめたい」などメガホンを取っているのは、人情譚から青春ドラマまでを手掛けている、アメリカ・シカゴ出身のヒットメーカーです。

2017年7月クランクインを迎えていてバンクーバーでの主要撮影の他、ブリティッシュコロンビア州各地での現地ロケを敢行しています。

ある日突然に災難に見舞われたミニチュア模型愛好家が、自らの想像力で数々の危機を乗り越えていく異色作です。

あらすじ

マーク・ホーガンキャンプはストッキングやハイヒールを身に付ける異性装者でしたが、ある時に差別主義のグループから暴行を受けます。

間も無く犯人は逮捕されて病院に搬送されたマークの怪我も治りましたが、精神的な傷はなかなか癒えることはありません。

仕事も辞めて時間を持て余していたマークは、近所のホビーショップで販売されているアクションフィギュアや人形を見つけます。

自宅の庭に巨大なジオラマセットを造ったマークは、購入してきたフィギュアを並べて写真を撮影する毎日です。

「マーウェン」と名付けた架空の村のお陰で徐々に立ち直っていくマークでしたが、事件とは向き合おうとはしません。

捕まった襲撃犯の裁判が近づいていくに連れて、マークの身の回りも否応なしに慌ただしくなっていくのでした。

究極模型マニアと彼を華やかに彩る女性陣

幾つになっても凝り性でちょっぴり夢見がちな主人公、マーク・ホーガンキャンプをスティーヴ・カレルが好演していきます。

マークにとっては憧れの存在でもあり現実の世界へよ架け橋でもある、ヒロインのニコル役はレスリー・マンです。

「ショーツ 魔法の石大作戦」のようなファンタジードラマから、「ラストマン・スタンディング」等のハードボイルドまで幅広いジャンルに出演してきました。

今作では引っ越してきた当初のマークとの間に横たわっている微妙な距離感を、如何にして埋めていくのか注目して下さい。

孤独なマークの世話を何くれとなく焼いてあげる、アンナ役にはグウェンドリン・クリスティーが扮しています。

身体的なハンディキャップに屈することなく生きていく強さを秘めた、ジュリー役のジャネール・モネイも魅力的です。

本業は女優さんではなくミュージシャンで、デビューアルバムの「Metropolis」やグラミー賞ノミネート作「Many Moons」でその美声を堪能することが出来ますよ。

自分だけの国を創る

細部まで造りこまれたミニチュア模型によって再現されていく、「マーウェン」の空想的な世界観が見応え充分です。

最先端のVFXから映し出されていく戦闘シーンに加えて、昔ながらのセット撮影が上手く組み合わさっていました。

撮影カメラマンのC・キム・マイルズと、美術スタッフのステファン・デシャントのこだわりも活かされています。

女の子のお人形遊びの定番であるバービーが、ミリタリールックを身に纏って戦場で大暴れを繰り広げていていて痛快です。

6分の1サイズのフィギュアの顔はマークの学校時代の友人から、御近所さんに親戚一同までがモデルになっています。

ホーギー大尉の顔がニコラス・ケイジそっくりなことに疑問を抱いた人は、ジョン・マッデン監督の映画「コリン大尉のマンドリン」を見て下さい。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズではお馴染みの名車、デロリアンも然り気無く登場するのが心憎いですね。

ふたつの世界を結ぶもの

マーウェンと現実とを行き来しながら、少しずつマークが封印していた忌まわしき記憶が明かされていきます。

ホーギー大尉がレディース用のシューズを履いているなど、時おり双方の世界がリンクしていくのも効果的でした。

応急的な手当てを受けて肉体的な傷が治療された後でも、心の奥底に残された痛みまではそう簡単に消え去ることはありません。

マークのクロスドレッサーとしての細やかな生き甲斐が、心無い連中によって攻撃対象となってしまった過去が痛切です。

「ヘイトクライム」と呼ばれている、特定の思想や人種をターゲットにした犯罪についても考えるきっかけになるでしょう。

今から70年以上前の第2次世界大戦終結と同時に滅びたはずのナチスドイツが、再び甦ってくるような不穏な空気感もありました。

移民排斥運動や自国ファースト主義が吹き荒れている、不寛容な風潮への痛烈なメッセージも込められています。

初陣を飾れず

女性兵士だけで結成された少数精鋭の特殊部隊が、人数では圧倒的に優位に立つドイツ軍を蹴散らしていくオープニングがスカッとします。

彼女たちと一緒に縦横無尽に冒険を繰り広げるホーギー大尉が、現実に引き戻された途端に冴えない中年男性に変わるのに驚かされました。

弁護士や友人たちの力を借りてなんとか出廷しながらも、被害者の声明を発表することなく撤退してしまうのが不甲斐ないです。

失われた記憶を取り戻して心的外傷後ストレス障害を克服するための、マーク・ホーガンキャンプの戦いは始まったばかりです。

小さな世界から抜け出すために

模型のパーツと人形で足の踏み場もない自宅、打ち合わせのために訪れる弁護士事務所、行き着けにしている街角のおもちゃ屋さん。

この3地点をルーティンワークのごとく行ったり来たりする、決まりきったマークの日常生活が印象深かったです。

ある日何気なく通りの向こう側へと視線を送った時に、見知らぬ女性の姿を目の当たりにシーンが鮮烈でした。

美しくも何処か陰りを帯びた佇まいの隣人、ニコルにあっという間に心を奪われてしまうのも致し方ありません。

勇気を振り絞って自身の行動範囲を広げていくうちに、マーウェンの戦況の方も徐々に大詰めを迎えていきます。

ありのままの自分を見詰める

ようやく自分の現状を受け入れて前々から想いを寄せていたニコルに告白しながらも、見事に玉砕してしまうマークがほろ苦いです。

その一方ではホビーストアのロバータとは、単なる店員と常連さん以上の関係が芽生えていきそうで微笑ましく映りました。

これまでに起こった良いことも悪いことも、全てを創作活動に役立てていくマークの強かさに感心させられます。

長い人生の中でも最も苦しい時期を抜け出したマークが、小さな1歩を踏み出していく瞬間を切り取っていました。

こんな人におすすめ

紆余曲折の末に開催に漕ぎ着けた個展で、マークに手を差し伸べた思わぬ人物には心温まるものがありました。

自分の好きなことにとことん打ち込んでいく素晴らしさと、目の前の壁を乗り越えていくコツについても学ぶことが出来ます。

子供の頃にGIジョーを始めとする兵隊フィギュアに夢中になった世代の皆さんには、是非ともオススメしたい1本です。

マークがその後どうなったか知りたいかたは、ジェフ・マルムバーグ監督のドキュメンタリー「Marwencol」をご覧ください。

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